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黒上パネスはオレオレ詐欺にあう  作者: ラブホおじさん
3/4

談笑クロガミパネス

今日はいい日だ、やっぱり彼らに相談も兼ねてまた会うしかないな。


____________________________


ようこそ自分相談サービス【ジブミー】へ!

黒上パネス様ですね、【ジブミー】ご利用2回目誠にありがとうございます。

【ジブミー】を開始しますか?

今日はこれからテスト終わりの飲み会に行こうとしていたのだがいつぞやぶりの呼び出しを食らった。その呼び出し相手は他でもない別世界の俺こと黒上パネスなわけだ。

「やぁー!パネス達久しぶり。」

イケメンは相変わらずイケメンで満面の笑みで俺達を迎えている。

「ふぅ、また貴様ら幻惑か。一体どこのサキュバスが俺様のことを誘惑しているというのか。これだからモテる勇者は罪だな。」

サイコパス詐欺師こと自称勇者のおっさん、村人パネスは大して長くもない前髪を掻き分けて格好をつけてはいるが何一つ決まってはいない。

「あれ?急に明るいと思ったら皆こんばんは」

超能力者らしい黒頭巾パネスは体育座りをしながら冷静に挨拶をする。

「いやー夕子ちゃんこの酢豚最高に美味しいでござるよ!それがしが取り分けるでござ、るでしょ夕子ちゃーん!?」

こちらも変わらずテンションがしっかり高くいちゃいちゃしていた所を突然呼出をくらったのはわかる。解るがござるよ、お前は受験前のこの時期に何を夕子といちゃついて過ごしているのか受験浪人の風上にも置けない。それよりもなんで蝶ネクタイにタキシード着てるのに長髪は相変わらずでヘアバンドをしたままなんだお前は。

「ござるは受験余裕そうで俺は安心したよ。皆元気そうでなによりだな。それで今回はどうしたんだよイケメン。」

呼び出された理由は前回と同じで何かしらイケメンが俺達に話があるからに違いないのだがイケメンは随分と鼻の下を伸ばしている。これは話を聞くまでも無さそうだ。

「皆!僕ついにやったよタケルくんから夕子ちゃんを取り戻したよ!」

「ふん、まだあんな女の事を言うのか。幻惑を断ち切るにはこの一帯をぶち壊さなければならんな!荒れ狂う風よ、我を惑わす存在を斬り刻めウインドカッター!」

サイコパスなおっさんはまた何か唱えて如何にも俺達を斬ったかのように横一直線に右腕を振ってみせたが何も起こらない。

「あー、そうそうこの前は僕も初めて【ジブミー】を使ったから説明し忘れたんだけどそれぞれの世界の異能は使えないからね!」

そういえば前回最後に何か言いかけていたがそういう事だったらしい。しかし異能ということはあの変な詠唱はやはり魔法なのか。

「やっぱりそうだったのか、僕もそこのおっさんがうざいから腕でも念動力で捻ってやろうと思ったら何も出来なかったし。」

黒頭巾パネス、お前はなんでそんなに毎回話題や思考がそんなに物騒なんだ。いや物騒というか可哀想な目に合っていたのは間違いないし物騒な話題だったのを引き出したのは全てイケメンの責任なのだが。

「それはそうとイケメン殿おめでたいですな。遂に夕子ちゃんと結婚でござりますかな?いやー先を越されましたなー!」

「浪人パネス違うよ、結婚じゃなくて初デートなんだ。夕子ちゃんとの初デート今から楽しみだなぁ。」

「幻惑共め、まだ俺様の邪魔をするか!唸れ我が魔力、吠えろ我が筋力!我の前に平伏せ雑魚共バーニングボールダンス!」

イケメンは初デートの約束を取り付けて喜んでいる様だがござるは早とちりが過ぎる。

「初デートって何をすればいいのかはわからないけど僕なりに頑張るつもりだし皆にもっといい報告が出来る様にがんばるね!」

イケメンはそんな事をいいつつウインクをして右手親指まで立てて有頂天もいいところだ。俺としてはそんなに恋愛で楽しめるのは羨ましいことこの上ないのは間違いないのだが。

「デートか、いいね。君は僕みたいに独りにならない様にね。クリスマスを一人で過ごすのってこんなに辛いなんて知らなかったよ。」

黒頭巾は体育座りのまま余りにも悲しい事を言い出した。だが一つだけ言いたいのはクリスマスなんて俺はいつも一人だ。

「超能力者殿はその後どうされましたかな?その、例のあれは決行されたのでござりましょうか?」

例のあれとは局部切取り刑のことだろうが、そもそも黒頭巾の言い分からして夕子も出て行ってしまった様だし傷に塩を塗ることをこうも簡単にやってのけるとはござるもイケメン同様天然なのかもしれない、だが悪く言えば自分勝手な訳だが。

「あぁ夕子は子供を産むといって出て行ったよ。ただタケルはその後すぐ運悪くエリート超能力との闘いになって夕子を奪い取られたのさ。あいつは全てを失って暴徒になったけど僕が直ぐに鎮圧してやったよ。ざまぁないねあの落ちぶれ様は人の幸せを奪った罰さ。ひひっ。」

「そんな事になっていたのですなぁ。いやいや拙者は元の世界に戻ったあと暗殺者を依頼しましてな、しっかりとタケル氏を亡き者に出来ましたから夕子ちゃんも某にしか興味がござりませんので安心ですなっ!あっひゃっひゃっ!」

「黒頭巾も色々あったかもしれないけど、ござるお前何やってんだよ!」

「学生殿、某の世界ではプロの暗殺者を雇った殺しは合法なのですぞ?雇うのも安くありませんし無資格者の暗殺者では雇った者も重い罪で裁かれてしまいますからなっ!学生殿の世界ではその様な制度はござりませんかな?」

「ないよ、というかそれじゃあそこのずっと何か言いながら変なポーズ取り続けてるおっさんと変わらないだろ!お前人殺しは駄目だってあの時言ってたのに見損なったぞござる!」

「何をおっしゃいますかな。某の世界では合法なのです。それにプロの暗殺者を雇えるのは一部の人間だけですぞ。ですので滅多にそんな話世の中には広まりませんから上流階級の人間からすればたしなみですな!」

「ござるお前の世界ってディストピアなのか」

「ディストピアとはまたまた学生殿はご冗談を。某の世界ではそんな情報操作ですとか自由の制限なんて行われておりませんよ!それはあくまで中流・下流の者たち限定でござりますデュフフフ。」

「流石に浪人パネスの世界はディストピアだよね。平和主義者の僕でさえ浪人パネスの感性を疑うところだったよ。」 

「僕に殺人を辞めろって言っといて自分はしっかりやってるじゃない。僕は君のほうがよっぽど怖いね。」

「くそう俺様の最大最強の技で絶対に貴様らを今度こそ消し去る!我が血肉に流れる魔力よ、我が右拳にて凝縮し我が敵滅するべく渦巻き炸裂しろ!エクスプロードブラストナックルー!」

各々が好き勝手に話をしているが最終的にずっと変な事を一人でやり続けていたおっさんの叫びと仕草が一通り終わり皆は静寂を迎えた。

「ちっ、俺様の魔力そのものが全く機能していない。これはどういう事だ。おいそこの不細工幻どーなってる。」

息も絶え絶えやっとこの空間での状況を理解したらしいおっさんはイケメンに詰め寄っているがそれはさっきも説明したでしょうと苦笑いをしてみせた。

「しかしそこのござる幻お前はやっと俺様の言うとおりの方法で解決をしたのか。幻の癖に俺様に魅了されたのか。ふっ、やはり俺様という勇者は存在するだけで罪だな。」

「確かにな人の話も聞かず俺達を幻扱いしてる時点でおっさんがここに居るのは罪だわ。」

「陰険な幻貴様は一番俺様に反抗的だな。ござる幻の様に素直になれ。勇者とは名乗れば勝手に崇められやりたい放題な偉大な職業だ。この幻に包まれる前にも女を飽きる程抱き別に救った訳でもない老人や貴族共が俺様に金も持ってくる。お前らはそんな働き者の俺様に少しは安めというシグナルを発信しているのだろうがまだまだ俺様は飽き足らん。貴様らやはりさっさと消えろ次は本命の女をいただく予定なのだ休む必要など無いぞ俺様は。」

「まてまてまて、じゃあお前散々イケメンに村人って言われてたが本当に勇者でもなんでもねーじゃねーか!」

「馬鹿が!名乗って相手が確認もせずに勝手な世話を焼くならそれを享受して何が悪い!お前はそんなこともわらかないのか!」

「お前みたいなやつのせいで半年前家のかーちゃんがオレオレ詐欺の被害にあったんだよ!お前はオレオレ詐欺どころか勇者詐欺してんじゃねーかこの詐欺師!」

「ちっ、幻の分際でこの俺様にここまで楯突くとはな!いいだろう貴様俺様の最大最強必殺奥義ゲロ聖拳でトドメだ!」

「学生パネスも村人パネスもストーップ!とにかくもう言い争いもやめよう!」

ー 警告 これ以上の騒動は認められません 警告に従わなければ直ちにシステムをシャットダウンします ー

言い争いが激しくなるとブザーが成り機械音でシャットダウンが告げられる。しかしおっさんはより一層際立って変なポーズをとると絶叫しながら拳を俺めがけて放つ。

「ゲロ聖拳奥義 聖王粛清拳!アチョーチョチョチョチョ!」

ー ジブミー空間内での攻撃を検知しました 攻撃を反射しました 5秒後システムをシャットダウンします ー

警告すら無視した拳は俺には届かずおっさんは空を殴り続けていたが突然おっさんの顔面が歪みだす。これが俺の世界よりも発展した科学技術の成せる技なのかどんどんとおっさんの顔は歪みを増していき遂には部屋の反対側まで吹っ飛ばされた。それを全員で見守っているといつの間にか元の世界に戻っていたわけで今回は本当になんの為に呼ばれたのか下手な疲れが増えただけでこの後の飲み会が全力で楽しめるのかただ不安になったのである。


                         おわり

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