表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒上パネスはオレオレ詐欺にあう  作者: ラブホおじさん
1/4

集うクロガミパネス 上

「違う世界の自分はどんな自分なのだろう」黒上くろがみパネスはそんなことも考えずに今日も元気にそして適当に生きている帝王大学一年生。大好きな幼馴染の古川夕子ふるかわゆうこと大親友タケシとの楽しいスクールライフの前に別世界の自称自分の相談を聞かなければいけなくなってしまう。


パネスお前は生き残る事が出来るか!?

俺の名前は黒上パネス、どこにでもいる大学一年生だ。


今日も新しい朝が出荷されたと思い歯を磨こうと洗面台に行く為に歩いていたら何故か知らない場所で知らない男4人と俺の計5人は狭い真っ白な部屋に閉じ込められている。


「良く来てくれたねパネス達」


知らない爽やかイケメンが意味不明な事を言う。


「パネスとはそれがしのこと、達ってなんでござるか?」


知らない不細工ロン毛語尾はござるがわけのわからない事を言う。


「おめぇたち勇者パネス様とは俺様のことだ!そんなことよりここはどこだ!?どうなってんだ!」


知らないテンション高めのおっさんが最後だけまともなことを言う。


「えっと僕もパネスなんですけどどうなってるんですかね」


少し遅れて俺もイケメンに問い掛ける。


「紹介が遅れたね。僕たちはそれぞれの世界線に存在する黒上パネスだ。」


爽やかイケメンはまた意味不明な事を言った。


「いやいやいやいやっ何それ、貴様っアニメの見すぎでござるかw」


汗を書きながら不細工ロン毛は食い気味に突っ込む。


長い髪を右手人差し指でクルクル巻いているがお前は何処ぞの意識高い系の美人かよと俺も心の中で突っ込まずにはいられなかった。


「なるほどこの勇者に助けを求めたか!賢い選択だパネス!」


テンションがやたら高いおっさんは勝手に納得していたがどれだけ理解しているのかは謎だ。


「助けというか助言が欲しくてパネス達を呼んだんだ。部屋の角のパネスもこっちに来てくれないか?」


爽やかイケメンは混乱している俺の事に構わず部屋の角にいる目元以外黒一色のパネスに声をかけていた。


自分の後ろに人がいたなどと気付かなかった俺は少し驚いたが黒一色のパネスもイケメンに促され俺達の円に加わる。


謎の沈黙が始まったと思ったがどうやらこの黒頭巾と黒い服で統一された小柄な少年は身体を震わせて物凄く小さな声でパネスですと自己紹介をしたのだった。


「よーっし皆別世界の黒上パネスなんだ。つまり僕らは同じ存在と言っても過言じゃないのさ!とにかく僕の話を聞いてくれ!」


パンと一つ手を叩いて話をどんどん勝手に話を進めるイケメンに俺は正直困惑している。


「実はさ、どーやったら女の子と付き合えるのかそれが知りたくて」


それは俺も知りてーよという具合の話なのだがイケメンお前一体何を言っているんだ。


そもそもこれだけ容姿端麗なイケメンなら女子なんていくらでも寄ってくるのではなかろうか?


「そんなことをこの偉大な勇者パネス様に求めるとは貴様金貨10枚取り敢えず寄越せっ!」


「はぁ、そんな意味不明な事に付き合いきれませんな。それがし受験勉強がありますゆえ此れで失礼するでござる!」


そんな単純な疑問を抱いている俺を余所に自称勇者のおっさんと語尾ござるがやたら息巻いて話を始めた。


「ごめんよー村人と受験浪人のパネス達。でも僕は君たちの様なイケメンにこそ助言をもらいたいんだ!」


「俺様は勇者だ!村人なんかと一緒にするなっ!もう一度言うぞ俺達は勇者パネスだ!!!」


「そうですぞっ、某今年こそ帝王大学に受かって古川夕子ちゃんにプロポーズをするでござる!」


イケメンだと言われて二人とも否定もしなければ受験浪人らしい語尾ござるは大学に受かったらプロポーズをするとのことだがその相手の名前が聞き捨てならなかった。


古川夕子とは俺の幼馴染で幼稚園と小学中学はたまた高校そしてまさかの大学の進学した学部まで同じという正に運命の赤い糸で結ばれているかもしれないというかそうであると信じたい純情可憐な優しい女性である。


この受験浪人がプロポーズしようとしている古川夕子は俺の好きなあの古川夕子なのか確認する必要が出てきてしまった。


「やっぱり僕達は同じ相手を好きになっているんだね!そうだよ夕子ちゃん、夕子ちゃんと本当は付き合いたいんだけど最近全く相手にしてくれなくて。受験浪人パネスどうすれば僕は夕子ちゃんと付き合えるんだい?」


イケメンパネスはやたらと興奮しているが本当に俺達は別世界のパネスなのかもしれない。


彼の言葉を信じるならばそれぞれの世界にそれぞれの俺達黒上パネスと古川夕子が存在しているのかも。


しかも受験浪人という立場でありながらござるパネスはなんだか夕子と付き合っている様な話しぶりだしどーなっているんだろうか。


「ユウコ?あんな女骨の髄までしゃぶり尽くしてもう捨ててやったさ。あんな女もものに出来ないとは見所がないなおまえっ!」


やたらと偉そうにイケメンに指を差すおっさんだが今度もとても信じられない様な事を堂々と宣言しているがこのおっさんの話などどうでもいい。


自分の事をやたらと誇大している様にしか見えないしイケメンはこいつのことを村人と言っていたしで信じるに値しない詐欺師といった感じか、こいつの事は詐欺師パネスとでも呼ぶ事にしよう。 


それに俺の知る夕子ならこんなおっさんとは関係なんて持たないに違いない。


「あのー俺も幼馴染で古川夕子とは知り合いだけどみんなの知ってる古川夕子ってどんな感じ?俺の知ってる古川夕子は綺麗で優しい細身で身長は大体150センチくらいの黒髪ロングの人なんだけど」


兎に角何が何でも俺の知ってる古川夕子なのか違うのかハッキリさせたいので他の奴らの知る古川夕子の情報を聞き出さなくては。


「某が将来を誓いあった夕子ちゃんは身長180センチの茶髪のセミロングヘアーでござるよ。」 


ござるの知る夕子はどうやら別人のようで一安心だ。


「ユウコは筋肉隆々だが俺様の様な男の中の男にはべたぼれだったな。だからこそ他の男の相手をさせて金を稼ぐ従順な女さ。」


詐欺師の話はどうでもいいしクズエピソード自慢をされても共感なんて何一つ出来ない。


「ユウコちゃんはやっぱりどの世界でも美人なんだろなぁ。僕の世界の夕子ちゃんは勿論美人でとっても膨よかさ。身長は160センチも越えていてロリータファッションをいつも好きで着ているよ。」


イケメンの世界の夕子は別次元で全く別の存在として生きている様だこれ以上触れる必要も無さそうだが。


「・・・夕子は僕の奥さんだよ、今度子供を産むんだ」


誰が話したかと思えば黒尽くめの子供お前何を言っているんだ。


「流石だよパネェース!もう結婚までしているなんて超能力者サイキッカーパネスが一番関係を進展させていたんだね!」


イケメンは物凄く喜んでいるがお前は自分の恋を実らせたいから俺達を呼んだんだろうに。


いつの間にか他の世界のパネスという話を俺も信じてしまっている。


「関係だけはそうかもしれないけど子供は子供でも浮気していたタケシの子供を夕子は産むんだよ。」


なんとなくではあるが温まりつつある空気が一瞬にして凍り付く。


恐ろしいタイミングのカミングアウトにもう何にも言えませんっ!


イケメンは別に地雷をこれでもかと意図的に踏みに行ったわけではないのは明確であるからこそこんなに信じ難い事になってしまうとはこれ如何に。


まさか自分の子供じゃないとか、それにタケシという存在まさか俺の場合なら高校の時からの悪友兼大親友のあのタケシいやまさかそんなことがあってたまるか。


「丁度タケシにどうやってケジメをつけてもらおうかと話し合っていたらこんな所に呼び出されてね。ねぇどうしてくれるんだい?」


最初の聴こえない程の小さな声はなんだったのかこの黒尽くめの子供はイケメン曰くサイキッカーとか言っていたがえぇこれ大丈夫何でしょうかとても不安です。


「ごっごめんねぇー。まさかそんな事になってるだなんてははは。でもタケシくんはやっぱり夕子ちゃんと」


イケメンの顔が明らかに引き釣っている、いやそうなるのは頷けるのだが。


それよりイケメンタケシが夕子どうとか言いかけていたがなんだと言うのか早く言ってほしい。


「そうだそうだ俺様も街の奴らから税金の徴収をしようとしていたらこんな所に転移させられたんだ。迷惑なやつめ金を払え!」


村人のおっさんお前は金にがめついなというか勇者は税金の徴収なんてしねーだろ。


「大体某の夕子ちゃんとの明るい未来を邪魔するつもりがないならさっさと元に戻してほしいでござる!」


ござるの言うとおりだ。


正直まとまりがないどころか余りにも酷い話題になってしまったしここにはいづらい。


「イケメンさ悪いけど俺達をもう元に戻してくれないかな。俺も大学に行く前だったしさ頼むよ。」


「あぁーその事なんだけどこれって君たちの世界の時間には干渉しないシステムだから時間は一秒たりとも動いてないから心配しないで。それにこれは起動すると1時間はここにいてもらわなきゃならないんだ。えーっとあと24分はここで大人しく頼むよ!」


右手を差し出し親指を突き立てウインクまで決めてはいるがとんでもない自己中に巻き込まれてしまったと今更理解する俺なのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ