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解放戦線 ~誰がために我らは戦場に立つ~  作者: 騎士誠一郎
第1部 戦場への旅立ち
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商売をする人間にとって「戦争」とは、最もこの上なく儲かる「ビジネス」である。

 南太平洋に浮かぶとある島。

 その規模は決して大きくはないが、大富豪たちの避暑地としては十分な規模だった。

 そう、表向きでは。

 島で一番小高い丘にそびえる、大富豪の館、そこでは多くの商人たちが談話している。


 「ほう、帝国軍をわざと抜けさせて、打撃を与えるとな?」


 その談話の一部を聞いた白髪が似合う豪商、アフレッド・スーフィリアが耳を傾けた。


 「はい。 我が商会のエージェントが手にした情報を、同盟軍が高く買い取ったおかげで、作戦が立案できたと」


 商会を名乗る団体長身男性メンバーの一人、ギース・ウヴァルが確かな報告をする。


 「わたくしが、帝国に同盟軍士官学校の卒業試験情報を売ったから、こう言う戦争ゲームが楽しめるのではなくて?」


 その場にいた妖艶な女性、ナリア・フォン・シレーヌがせせら笑う。


 「しかしながら、我が商会が作り上げる兵器群が飛ぶように売れたのも、情報売買部が活躍してくれたおかげですな」


 ワイングラスをくるくると回す小太りの中年男性、マギアード・ヘリオスが陽気に笑った。

 どうやら彼らは両軍に兵器を売るどころか、情報までも商品としているようだ。


 「そうですな。 我らは、戦争と言う最も儲かるビジネスで成り立っていますからな」


 アフレッドは、そう言いながらドンペリを口に含む。


 「VDの製造状況は?」

 「ようやく生産体制に入りました。 両軍が万が一和睦に入った時に備えて着実に進めております」


 マギアードの質問に、秘書が答えた。


 「しかし、両軍が和平交渉に入られたら、我らの意義は失われたも同然。 その為にも、戦争は続けて欲しいですな」


 アフレッドは、ドンペリで喉を潤すと、座っていたソファから立ち上がる。


 「中立国やPMCへの納品状況は?」


 SP達にアフレッドは、こんな質問をぶつける。


 「今月納品する機体や、武装なども手はず通りに。 来月は嵐が起こりそうですから、より一層潤沢になることでしょう」

 「我らは、戦争と言う最もこの上ないビジネスをしているのですから」


 SP達がそれに答える。


 「旦那様、エージェントたちが珍しい情報を入手したと」


侍女らしき女性が、アフレッドに報告する。


 「どんな話かね?」


 興味津々に耳を傾ける。


 「それは……」


侍女が語る話に、


 「これは中々、愉快な話ですな!」

 「これを帝国に売れば、更なる利益が見込まれて?」

 「帝国側の情報を同盟に売り渡せば、もっと見込まれますぞ!」


 この場にいた人々が歓喜した。

 アフレッドが軽く咳払いする。


 「諸君、これからだよ。 これからが我ら《ギガノマギア通商連合会》の稼ぎ時だ」


 この言葉によって、

 「その通りでありますわ」

 「燃料や弾薬も、売りまくりましょう!」


 マギアードとナリアが気を引き締め、


 「我らこそが、この戦争を牛耳る神の使者!」

 「巨万の富を得れば、我らの暮らしは安泰ですぞ!!」


 他の商人たちも大いに喜んだ。

 この日、彼らは来月3日始まる新たな戦争に備えて、商品やサービスの準備に勤しんだ。


 その日の夜、アフレッドは自宅に商人仲間を集めて、盛大なパーティーを開いた。


 「アフレッド様、今宵はわたくしと踊らなくて?」

 「いいえ、今宵こそはわたくしがお似合いですわ!」


 華やかなドレスを纏った女性たちが、アフレッドを巡って口論する。


 「落ち着き給え。 このような場で喧嘩は良くありませんぞ」


 アフレッドがこの場をなだめながら、バルコニーへと赴く。


 「よろしいのですか? 旦那様」


 そこには、漆黒のスーツを纏った凛々しい顔立ちの男性が待っていた。


 「勿論だとも。 君たちが働いてくれたおかげで、小規模だった我らもこんな規模になったよ」


 アフレッドは、その男の質問に答えながら、グラスのワインを飲む。

 果たして、彼らは何をもたらすのか?

戦争小説に於いて、商人と言う存在は、斬っても切れない関係ですよね。

彼らの背後にいる謎の男は、物語の重要な鍵を握る存在です。

その辺りにも、期待してください!!

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