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解放戦線 ~誰がために我らは戦場に立つ~  作者: 騎士誠一郎
第1部 戦場への旅立ち
8/33

嵐の前の静けさ、林のごとく

「諸君! 君たちに重要な知らせがある!」


 この日、教官は訓練生たちに重大なことを話し始める。


 「いよいよ来月3日は、この極東士官学校卒業試験である!」


 その発言に、悟たち訓練生は大いに湧き立つ。


 「しかし! 卒業試験だからと言って、タカをくくられては困る! 何しろ我が極東士官学校の卒業試験は、実際の戦場にて行う! すなわち、この試験に落ちれば死を意味するのだ!」


 その発言に対し、訓練生たちはどよめき始めた。

 無理もない。

 卒業をかけた試験が実戦である以上、それなりの覚悟を持って臨まなければならない。

 さもなくば、死へと直結するが故に。

 この試験が如何に死と隣り合わせの戦場で行われる理由は一つ。

 一人でも多くの優秀なパイロットを選出するためだ。

 優秀なパイロットを選出する最も手っ取り早い方法だが、それが戦場と言うのは流石に酷であり、市民からも改善を求める声が上がっている。

 だが、それは一部の少数派意見であり、多数派はこの選別はやむを得ないと主張している。

 どちらにしろ、軍と言う物は国に左右されやすい存在である。


 「卒業試験内容は後日発表する! それまではみっちりしごいてやるから、覚悟しておけよひよっこ共!!」


 「「はい!!」」


 悟をはじめとした訓練生たちは、来るべき卒業試験へ向けてさらに気を引き締めた。

 これからはさらに厳しい訓練になることを覚悟し、パイロットとして1日でも長く生き延びるために。


 一方、漆黒の猟犬(エリアスたち)は敵がいない山岳の森林で昼食を摂っていた。

 彼らが口にしているのは、帝国軍生活環境提供科が支給した凍結乾燥携帯糧食フリーズドライモバイルレーション


 「しかし、大尉も良くこいつを口に出来ますな? 他の連中は余りにも不味くて食えたものじゃないと言ってますよ」


 漆黒の猟犬でエリアスの補佐を務めるナスカー・アシム中尉は、こんな愚痴を漏らす。

 このレーションは、水やお湯を入れて戻すことで口にできるが、遠征中は水が貴重なため、そのまま口にするのがほとんどた。

 その状態で食べた兵士たちからは余りにも不評だったらしい。


 「仕方あるまい。 こう言う遠征時は水は貴重だ。 それに、私とてこのまま食べるのはどうかと思っている」


 エリアスも不満を漏らしていた。


 「大尉、敵の哨戒機は現在確認できません!」

 「引き続き、警戒を頼む。 5分後にセシムと交代するように!」

 「了解!」


 哨戒担当の兵士の報告にエリアスは的確な指示を出す。


 「さて、これより我が隊は30分後に移動を再開する! 目的地は既に廃墟となった農村だ」

 「言いますと?」

 「参謀本部から、補給用の輸送機を其処に向かわせていると聞いた。 そこで補給を済ませ、邪魔な種どもをつぶす!」

 

 ナスカーの問いに、エリアスは先ほど入った伝令文の内容を説明した。

 「たしかに、遠征用の食料や水が底をつきかけたようですし、有り難いですな」

 「しかし、あくまでもここは敵の領土。 輸送機には光学迷彩をかけておくよう伝えてある。 万が一知られたら元も子もない」

 「御意に」


 漆黒の猟犬は、一時の休息をかみしめることにした。


 防衛技術研究所では、新型機の開発について議論が交わされていた。

 「この機体こそが、我が同盟軍の希望であり、勝利をもたらす存在であります!」

 荒谷博士は幹部たちを前に高らかに声を上げた。

 「しかし、それが敵に察知されたら、元も子もないのでは?」

 「だが、そうとも限らないぞ?」

 幹部たちは意見を出し合い始めた。

 その様子を見て、

 「やれやれ、お偉方と言う物たちは……。 どうして自らのことしか」

 荒谷博士がため息をついた。

遠征時の食料は美味しいらしいですが、作品の中ではどうだろうと考えてみました。

何か変わったことがありましたら、私宛に一言お願いします。

感想やレビューも受け付けておりますので、良かったら是非!

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