模擬戦、白熱!
『ヴァルツァー1より各機へ、訓練とは言え、多少は痛いから気を付けろよ!』
ヴァルツァー1が部下たちに発破をかける。
『了解です!』
部下たちもそれに返礼した。
『隊長、お聞きしてもよろしいでしょうか?』
ヴァルツァー3がヴァルツァー1に質問する。
『何だ?』
『帝国軍は新型機の開発に躍起になっていると聞きます。 わが軍は大丈夫でしょうか?』
その発言は2083年現在の状況を示していた。
同盟軍がVDを開発したことにより、戦況は泥沼と化し、膠着状態が続いている。
それでも、小規模な武力衝突は続いている。
未だくすぶっている火種は、何時燃え上がるのかわからない状況にあった。
『気にするな。 そう言う事も踏まえて、このケーファーは開発されたんだ』
ヴァルツァー1がその心配を吹き飛ばす。
ケーファーは、同盟軍VD開発に於いて、帝国軍が新型機を投入することも想定し、戦闘データを収集し、更なるアップデートや、新型機の開発につなげている。
帝国軍も同様に対VD白兵戦を考慮してなかったことを踏まえ、白兵戦用の装備をやっとのことで開発にこぎ着けた。
VD同士の戦闘は熾烈を極め、現在の膠着状態に至っている。
ヴァルツァー1たちが市街エリアに差し掛かる。
「ノーム2より各機へ、ノーム1の手はず通りに!」
コックピット内で金髪巨乳の女性が仲間に指示を出す。
『ノーム3、了解!』
『ノーム4、了解!』
ノーム2たちが身を隠しているビルの陰から飛び出した。
『敵さんが飛び出してきたぞ! 各機、散開して食い散らかせ!』
ヴァルツァー1が指示を出す。
それに呼応するかのごとく部下たちは散開した。
「やはりそう来たか!」
ノーム2は笑顔で応戦する。
「ノーム1、敵さんはやっぱり各個撃破がお好みよ!」
その通信を聞いた悟は、
「聞こえたな? ノーム6からノーム9は、俺と共にノーム2たちの援護をしつつ敵部隊を誘導! 狙撃班は俺の合図が下り次第、砲狙撃戦を開始せよ!」
悟は細かく指示を出す。
『了解!』
『狙撃班、了解!!』
それぞれの返礼を聞き、悟は自分のやることに集中した。
ヴァルツァー1は手にした76mmサブマシンガンでノーム2たちを攻撃する。
ノーム2は、防弾シールドでそれを防ぐ。
青みがかった白いペイント弾が、その命中を物語る。
ノーム3が負けじと80mm軽機関銃で応戦する。
それがヴァルツァー4の機体を真っ赤に染め上げる。
『やった!』
勝ちを確信した途端、先程のヴァルツァーからしっぺ返しにと1発浴びせた。
『うわっ!?』
『勝ったと思った時こそ一番気を抜かない! 戦場での鉄則だぞ坊や』
ヴァルツァー4からの手厳しい言葉に、
『はい、精進いたします!』
ノーム4はそれを真摯に受け止めた。
訓練はまだ終わってはいない。
一方、ロシアにある同盟軍防衛技術研究所では、今後の戦闘に備えて新型機の開発に着手していた。
「帝国軍はいつここを襲ってくるか分からないが、万全の備えをしておくべきだな」
自室で一人ぼやく初老の男性。
名は荒谷志岐。
同盟軍VD開発の第1人者で、多くの人物から信頼を寄せている。
「博士、失礼します」
自室に入ってくる秘書らしき女性。
体格に合わせたスーツの上からもわかるスタイルの良さ。
茶色のポニーテールと鮮やかなルージュを引いた唇が、妖艶な魅力を醸し出している。
「何かね?」
「参謀本部より、新型機の開発要請が着ました」
その知らせは、後の状況を変える事になる
久々に高まるこの創作意欲、ロボット物の戦闘シーンは、奥が深いですね。
みなさんは、この作品をどう思っていますか?