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地球最強の舞踏家
なぜこのようなことを思うようになったのかは思い出せないが、俺は「最強」というものにあこがれていた。
戦闘であろうが、医療であろうが何でもいい、それらを収める者たちのなかで一番になりたかった。
手早く収められるものは何か考えた末、選んだのが習い事をしたなかでも一番しっくりときた舞踏家の道だった。
師匠はとても厳しく、ハードなトレーニングをしてきたが、つらいと思ったことはなかった。
15になったときついに師を超え、18になった今では俺に勝てる奴はいなくなった。
孤独だった。確かに強くなれるために最善を尽くしてきたが、自分に歯向かえるものがいないとなるとどうしても上達が遅いし、モチベーションを下がる。
悶々とした気分で修行から帰っていると一瞬だが河川敷のところで扉のようなかたちをした黒い靄ができ、消えていった。