-姫の操る海馬の街-
馬ってこっちの馬かーい!(前回の後書参照。)
はい皆さん今日は。はい、タイトル通りです。今回はあの角のある方でも、翼のある方でもなく、滄溟の馬にしました。・・・龍の落とし子ではありませんよ?
海馬、ヒポカンポスです!魚の鱗と尾、角を持つ御馬さんです。走ると泡が立つとも言われています。良く人を乗せてざぶざぶ潜っちゃう子ですね。
御友達にケルピーやシーフォース、アハ・イシュケ、ヒッポカムポスとか色々いるんですけれど、何だか今回は此の子にしました。何だか名前の響きが好きなんですよね。
滄溟の話は好きですよ、神殿だとか城だとか、宝石だとか島だとか、色々な物語に出てくる大いなる母です。書き易いし、今後も沢山出て来ると思います。
さて、ヒポカンポスは今日も滄溟辺に彳んでいます。誘われた蒼の世界の底には何があるんでしょうね。
此処はとある港街
出来た許りの、余り歴史も無い此の街には、唯一、伝えられている物語がありました
此処には黄金色に輝く蒼い夢がある
其は滄溟の底の街の見る夢
港街の若者が求める夢の物語
千の廻瀾は語り継ぐ
滄溟の底の御伽の街を
其の街は姫が統べる街
人魚であった街の住人は、珊瑚や貝の美しき輝石により、己の美を誇っていた
美しき人々、美しき街
でも或る日、大津波が街を襲い、住人を一人残らず、攫って行きました
取り残された滄溟の街
其処には財宝が残る丈
其処へ行く迄に待ち受ける、様々な試練に耐え得る者丈が、其を手に出来るのです
古の物語、今も語られる物語
では試練とは何なのか
其は滄溟の底に棲む海馬、ヒポカンポス
其の者は龍の駒ではなく、海象でもない
角と輝く鱗を有した、魚の尾を持つ馬である
銀の泡と共に現れ、蒼い飛沫を残して去って行く
夢見る者は其の後を追う
其の先が、絳き滄溟と知らずに
一人の屈強な青年は、心臓を一突きにされた
一人の小賢しい青年は、尾で扇がれ、滄溟底の漆黔に堕とされた
一人の素直な青年は、踏まれて体中の骨を砕かれた
でも彼等は地の果て迄求め続けるのだろう
一時の甘美の為に
・・・・・
港街に住む老人
一人悲しく詠を紡ぐ
廻瀾に掻き消されそうな声で、一人一人に語り掛ける
己が祖先は建築家
あの街を造った者の一人だと
だから知っている
あの街が何なのか
我等が住む此の地に、嘗て一つの国があった
其処を統べし王は、一人の姫と暮らしていた
姫は言った、自分の国が欲しいと
王は言った、滄溟の底に其方の国を造ろうと
王は人々に命じた
滄溟の底に街を
姫の願いの為に
姫の夢の為に
我が祖先は言った
模型を造り、後から装飾を施そうと
賊に入られない様に、海馬を放とうと
程無くして街は出来た
姫の為の人形の街
でも其処で国が傾いた
滄溟の街と言う何の得でもない物を造る為に蔑ろにして来た全ての物が国を襲った
富を、権力を、夢を失った国は滅んだ
未完成の模型丈の街、夢の街を残して
其の上に出来たのが此の港街と、老人は言う
だから何もあの街には無い
只姫の操る街が其処にある丈だと
そしてあの忌わしき街は、黄金の夢を纏う丈の街は、全てを奪って行くのだと
己の美の為に
国からは富を
港街からは青年の夢を、命を
老人は冥く、蒼い涙を流す
だが夢に焦がれし若者は、黄金の滄溟を求めて、今宵も絳き滄溟に没するのだった
-Fin-
御疲れ様です。まぁ現実って然う言う物ですよね。頑張ったからって方向性を見失っていては只の狂いだし、目的を忘れたら愚かで余りにも滑稽です。
でも実際問題、其の結果に自分が満足するかですよね。盗賊が十年掛けて探し出した宝箱と、拾った宝籤で当たった札束。重さも重みも全く違います。
・・・まぁそんな事は如何でも良いんですけれどね!私別に論者や師になりたい訳じゃありませんから。DeadEndが見られれば満足なんですから!(酷い纏めだ。)
そんな訳で次回予告。リア充な鳥、行きたいですね。屹度爆発より汚い花火が見れますよ。楽しみだなぁ。
では良い物語を。