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侍とギルド

第4話です。



次の日、目が覚めた俺は夢の内容を思い返していた。


「なんなんだよ、あの女は。俺たちにしか出来ないことって……」


なんだか、頭が痛くなって来たな。下の食堂に降りていくと、タケユとカミルとkannaがすでに起きていた。女将さんに水を貰って一息に飲み干すと、3人の座っている席についた。座るやいなや、タケユが聞いてきた。


「ねぇ。昨日おかしな夢を見たんだけど……それも私だけじゃなくて、2人も見たらしいんだ」


「それって、天使みたいな羽つけた女が出て来たか?」


「うん! やっぱりtakaも見たの?」


「あぁ、何がなんだかよくわからなかったが、死ぬことは許されないってのはわかったな。まぁ、あの女の話を信じるならの話だが」


「そこなんだ。あの女の話を素直に信じていいのか、そこがわからないんだよな」


kannaが朝飯の魚を頬張りながら、当然の疑問を聞いてくる。タケユとカミルはすでに朝飯を済ませたらしい。俺も女将さんに飯を頼みながら、kannaの質問に返事をする。


「それは俺に聞かれても知らねぇよ。でも、多分この4人が見たということは、おそらく残りのあいつらも見たんだろう。……あいつらいつまで寝てんだ」


時計の針は、すでに11時を回っている。俺も人のことを言えないが、あいつらは人に起こされるまで寝続けるタイプなのだろう。まったく、めんどくさい奴らだな。俺以外の3人が、残りのメンバーを起こしに上へ上がって行くのを見ながら、カボチャの冷製スープのような物を飲む。おぉ、普通に美味しいな。これは、ハマる。


やはりというか、残りの5人も同じ夢を見たようだ。俺たちはあの女の話を一応は信じてみることにした。全員が食事を取った後、みんなで冒険者ギルドに行く。冒険者ギルドは、木造2階建ての、大きめの家というような印象を受けた。これが、王都のギルドになると桁違いにデカくなるらしい。まぁ、大陸の端の田舎町ではこんな物だろうと、納得しながら中に入る。中は、酒場と同じように丸テーブルが置かれていて、冒険者らしき奴らが酒を飲んだり、固まって話し合ったりしている。俺たち全員が中に入ると、一瞬驚いた顔でこちらを見るがすぐに元に戻る。とりあえず、受付と書かれたカウンターにいるお姉さんに話しかける。


「すいません、俺たちこの街に流されたんですけど、ここは何ですか?」


「それは大変ですね! ここは、冒険者ギルドです。私は、ここで受付をしています、シェリルと申します。様々な人や組織から依頼されたクエストを、仲介して冒険者に依頼します。また、冒険者になるためにはここで手続きが必要ですが、すでに冒険者登録はされていますか?」


「いや、まだしていない……はずだ」


シェリルは少し首を傾げたが、聞こえなかったふりをしてくれたのか、すぐに話し始める。


「後ろの方々もお仲間さんですか? ……わかりました。それでは手続きをいたしますので、この書類に名前と種族、職業をお書きください」


そういって手渡された羊皮紙に、各々必要なことを書いていく。全員が書き終わると纏めてシェリルに渡す。


「はい……はい、大丈夫ですね。それでは、少しお待ちください」


そういうと、裏の方に入っていく。だいたい2分ほど待っていたら、シェリルが出て来た。手には小さなネームタグのような物を持っている。


「お待たせしました。それでは、このタグをお渡しします。これは、冒険者タグといって、身分証明代わりになります。クエストや冒険者、ギルドについて説明をお聞きしますか?」


「おねがいします」


「はい。クエストはギルドに入って右手にある、掲示板から選べます。そこに掲示してある紙を持ってこの受付に来ていただいて、クエストの受注が出来ます。冒険者にはランクがあって、下から順にE、D、C、B、A、Sとなっています。最初はみなさん、Eランクから始めていただきます。ランクが上がると、さらに難しいクエストを受けることが出来ます。ギルドに入って左手にあるのは素材買い取り受付です。クエストを受けていなくても、外で倒したモンスターの素材はギルドが買い取りいたします。以上で何か質問はあるでしょうか?」


「そうだ、ギルドを作るにはどうすればいいの?」


「ギルド? ……あぁ。レギオンの事でしょうか? レギオンは冒険者ランクがA以上の冒険者が3人以上集まると設立することが出来ます。レギオンを設立すると、依頼主からギルドを介さずに直接依頼を受けることが出来たり、ギルドでは解決出来ないような難題を依頼することもございます。これで大丈夫でしょうか?」


「あ、うん! ありがとう!」


一度受付を離れた俺たちは、昨日言ってたとおり、クエストを受ける班と、街を探索する班に分かれることにした。街を探索する班に俺、カミル、コトコト、ヨシ。クエストを受ける班にカルマ、アリス、タケユ、ミョウ、kannaに分かれた。


「しっかり稼いでこいよ!」


「そっちこそいい物探し出せよ」


そんな軽口を言い合った後、俺たちは二手に分かれた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「しっかしまぁ、この街は狭いな」


俺たちは二手に分かれた後、近くにあった雑貨屋に行って、この大陸の地図を買った。どうやらこのナイレ村は、大陸の東端に位置するらしい。あまり頻繁にモンスターはでないのか、この街には冒険者は少ないようだ。そして西端にはレベルが高いモンスターが大量に棲息するらしく西の方には街は無い。この街を北に進むと、港があって、そこから王都行きの船があるらしい。南には砂漠があるようで、街は二つしかない。

街を歩いていると畑がたくさんあることから、この街は農作が盛んなようだ。ときおり、畑仕事をしている人と話をするがこれといった情報はない。一通り探索した後、酒場にいってみた。情報収集は酒場がテンプレだろう。


真ん中で偉そうに酒を煽っている3人の男がいた。首から冒険者タグを下げているので冒険者だろう。


「失礼。少し聞きたいことがあるんだが」


「んぁ? なんだ、こないだ来たケツの青い新入りか。この街は狭いからな、すぐに情報は回るんだ。んで? 先輩に指導して欲しいのか?」


所どころ喧嘩を売ってるような言葉が出てくる。こいつらそんなに強いのかよ。


「あぁ、あんたらはランクいくつだ? それと、この周辺に強いモンスターはいるか?」


「俺たちはランクCだよ。この辺には雑魚しかいねぇよ。仕事が楽だからここに住み着いてるんだ。なんでそんなこと聞く? 死に急ぎ野郎か?」


「黙れ、デブ。てめぇごとき2秒で殺せるよ。ご指導どうも、せんぱい」


そう言い放ち、酒場の主人に話を聞こうと奥に進んだとき、後ろで机を蹴っ飛ばす音が聞こえた。


「おい、聞き捨てならねぇなぁ。今日冒険者になったばかりのクソガキにCランクの俺が負けるわけねぇだろ。ぶっ殺すぞコラァ!」


……煽り耐性低すぎんだろこのデブ」


あ、心の中で言ったつもりが言葉に出てしまった。


「あぁ!? てめぇ、表出やがれガキンチョ」


そういうと、無駄にデカイ斧を持って表に出て行く。まぁ、ああいう奴はほっとくに限るか。そう思い、改めて主人に話を聞く。


「すまない、王都に行くにはどれくらいかかる? できれば陸路と海路。両方教えて…「ゴルァ! クソガキィ! 舐めてんじゃねぇぞ!!」……すまない。あっちを終わらせてくる。カミル、話を聞いといてくれ」


カミルが頷くのを確認すると、表に出て行く。


「やっと出て来たか。どうせビビってどうしようか悩んでたんだろ? 今なら土下座で許してやってもい…「御託はいいからさっさとかかってこいよ」ぶっ殺してやる」


斧を振り上げて、走ってくる。遅すぎるだろ、これは素手でも倒せるな。振り下ろされた斧を半身になって避けると同時に、斧を持つ手に手刀を入れる。力を込めすぎたのか、斧から手を離して痛がっている。お、怒ってる怒ってる。その方が動きが単調になるから、やりやすいんだよな。真っ直ぐに殴りかかってくる拳を避けて、足を引っ掛けて転ばせ、刀を抜刀して首筋に当てる。


「これでもまだやるか?」


男はビビったのか、顔を青くしてしきりに頷いている。俺の勝ちで良さそうだな。刀を鞘に収めると、ヤジを飛ばしていた取り巻き2人が、後ろから同時に殴りかかってくる。狙いはいいが、いかんせん動きが遅いし分かり易すぎる。バク宙で避けて、2人の上を飛び越えるときに、首に蹴りを当てる。ちゃんと手加減したから頸椎を折るなんてことは無い。倒れこんだ2人を睨みながら刀に手をかけると、すぐに土下座で謝りだした。


「これからは、あまりいい気にならないことだな」


そう言い放ち、酒場に戻る。3人はアホズラ引っさげて地面に座り込んでいる。酒場に入ると、近くに座っていたおっさんが礼を言ってきた。どういうことか話を聞くと、どうやらあの3人は普段から威張り散らしてたらしく、この町の住人も迷惑してたそうだ。この街では一番強いらしく、誰も注意はできなかったそうな。ほんっとに救いようのないバカだな。これで学べばいいが。

主人の所に行くと、すでに話は終わってたらしく、コトコトとヨシが酒を呑んでた。……おまえら酒以外にすること探せ。


「で? どうだったの?」


「あぁ、2秒では無理だった」


「あぁ、勝ったんだ。まぁ、当たり前か。王都に行くにはこの街から、北にある港から行く方法と、街道を通って行く方法があるらしい。港にある王都行きの船は2日に一回出るらしいよ。街道はこの街から西に少し行くとある、リシウムという街かららしい。どっちも恐らく同じくらい時間がかるだろうっていうのが、ご主人の意見だけど。さて、どっちから行く?」


うむ。これは思案のしどころだな。海から行くとすると、港に着いたその日に行けた場合は1日節約できる。陸路だと自分たちのペースでいけるけど、モンスターを狩ったりしてる間に時間が過ぎる可能性がある。うーん、これはどうするべきか。


「よし。それじゃあとりあえずクエスト班が帰って来るのを待って、相談しよう。ひとまず宿に帰るか」

ありがとうございました。

もうすぐ秋ですね。

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