トイレの○○ 問題編
学校の不思議。うちの高校にもあって、最近噂になっているのが、トイレの花岡さんだ。
旧校舎女子トイレ、用を足していると。ノックされる、それに「花岡さん?」と問いかけると、性的に何かされてしまうらしい。「ねえ、ねえ。知ってる?」が切り出しの女子お得意の噂話し。その噂は勢いよく拡散をした。
「ねえ、ねえ一真」
俺の隣に由梨絵は座る。
「花岡さんだろ?」
「なんで、わかったの?まあいいわ。でね、これは事件なのよ。」
「学校の七不思議として、処理してやってくれよ」
由梨絵は顎に手を当て、困った顔をする。その表情を俺が好きなのは内緒だ。
「そう言う訳にもいかなくてね」
「俺は何をすればいい?」
「ありがとう一真。同級生、幼馴染で私のファンの一真」
「…何だ、それ。」
「いいの」ふわりと彼女の髪が揺れる。
「で、あたりはついているのか?」
「もちろん」
「そうか」
「でもただ捕まえてもしょうがないわ。」
「どうして?」
笑う、その表情たまらなく好きだ。顎に手をあて思案のポーズ。
「そんなのミステリィじゃないわ」
「この事件のロジックは私たちが解くのよ。私の幼馴染で『助手』の一真」
「なった覚えはないよ。」
「だってあなたには助手にうって付けの能力があるでしょ?」由梨絵は自分の右こめかみをトントンとたたく。
「んー。まあ、そうかな」助手に向くのか、それは疑問だ。
「私が作った名簿は頭にはいってるでしょ?」
「科学がA判定、かつ名前に『え』がはいる通学に5分から15分までの男子は?」「山田明夫。野球部の補欠。2年の奴だ」
「その従兄弟は?」
「環だろ?後ろにいる」
「正解」
「先生を若い順に並べて。」
「坂上忍。山田亮司…まあたくさん。いっくらでも言えるけど、意味あるか?」ふふっと笑う。
「いいわ、さすがよ」
「俺は今回なにをすればいい?」
「一真には校門前で見張りをして欲しいの。右手に引っかき傷をつけるわ」
「そいつが犯人?」
「そう、でも予定ね」
「へーそう。」
「できる限り可能性を高めるの。」
「だから、今日なのよ」
「それはなぜか?」
「起こっているのは金曜日。手前のトイレに入っている時。後は、バト部が上がる時間」
「あとあいつ教師だから」だから、はあえて説明しなくていいのだろうね。
「行動はこうよ。バト部が上がる時間を見計らい通りがかる、廊下から、手前のトイレに入っている事を確認。ノックを。そこで」
「花岡さん?と聞いてくる女子を襲うと、そう言うことだよな。」
「そうよ今回のターゲットは私」
「犯人わかっているなら、囮にならなくてもいいじゃないのか?」
首を横に振る。「囮になりたいのよ」「えっ
」
ふふふ。そう言って俺をかわした。
さてと。私はつぶやく、
例のトイレに入ると、ツンとするアンモニア臭。イラっとした。手前のトイレに入りターゲットを待つ。来ない可能性だってあるの。
とんとん、ドアがノックされる。
腕を組み壁に寄りかかりながら。 「花岡さん?」
ストッキングを被った顔、上半身がヌッと出てくる。目が合うとストッキング男はギョッとした。
やっぱり、あなたね。
私は軽く飛び上がりポロシャツの襟を掴み引き寄せる、半分こちらに乗りかかっていたので、簡単に引き込める。
「いぎゃぁ」床にバウンドして、悲鳴を上げ奴はもがいた。ゴキブリみたい。
「な、なんで…」「なんで?じゃないの。まったく…」私は髪をかきあげる。
「謎を出しなさい」
「へ?」
「なぞなぞレベルでいいから! 私のパートナーに解かせるのよ……早く」
「急に言われても…」
「じゃあ警察に突き出す」頭を叩くと、ひぃと悲鳴を上げた。そう言えばゴキブリも押さえつけるとキーキー言うなぁ。
「そうだな……『僕は。 あか かける あか だ。』」
私は顎に手を当てる……。
「うん、悪くないわ」
「じゃあ、右手出して。」「いやだ」「右手を!出すの!」
「もう勘弁して……許して下さい」
「ねえ、痴漢。右手を出せば見逃すわ」
震えながら右手が差し出される。目印に大きく引っ掻く。
「ぎゃあ」
トイレの鍵を開ける。
「逃げなさい。校門から帰るのよ」ばたばたと逃げて行った。
「ゴキブリに似てるわ」
背中に呟いた。
それを見送り。30分後校門にいる一真と合流した。
「右手に傷あったでしょ?」
「でもポケットに手を突っ込んでいる奴もだよな……」
「そうね、で、ヒントは『あか かける あか』」
「◯◯か?」「そうよ」「◯◯先生だろ?」
「正解。さすが一真ね」
【俺の頭にある容疑者リスト】
土田涼。
井岡隆。
鈴木卓郎。
村瀬良平。
杉浦隆盛。
川島涼。
高梨慎司。
佐藤純平。
長嶋一。
竜崎健吾。
石川良。
赤田宗男。
青島真二。
君島理香子。」
【暗号】
『あか かける あか』
【この時点で解けます。自信のある方はぜひ挑戦してみて下さい】