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FATE  作者: おしょくじけん
新しい生活
9/11

produce

ホントはあんまり登場人物は増やしたくないのですが・・・。めんどくさいからとかではないですよ!

 入学式は滞りなく行われ、ホームルームの時間となった。


「それでは順番に自己紹介をしてってー。じゃあ一番、えっと、浅井。」


 と、担任の山崎先生が言う。需要はないと思うけど、28歳独身の女性の先生だ。絶賛貰い手募集中らしい。うん。需要なかったね。


「浅井 水希です!9月9日生まれ!O型!好きなことはスポーツ!部活はバレー部にはいろうかと思ってます!嫌いなことは勉強です!よろしくお願いします!」


 先生から帰れと突っ込まれているが、クラスのみんなは笑っている。さすが水希。ちゃんとボケを入れるあたりが人気の秘訣なのだろう。ちなみに水希だけじゃなく翔も同じクラスだよ。


「次ー、二番奥田ー。」


 前の水希から頑張れという言葉を受け、教壇へと上がる。しかし、もとより頑張るつもりはない。できる限り目立たないようにやり過ごすことを考えていた。


「えっと、奥田悠です。趣味は読書と料理とあとはー、音楽です。運動は苦手です。よろしくお願いします。」


 とまあ無難な自己紹介になったと思う。これであまり目立たずに学校生活を送れそうだ。しかし、顔を上げるとクラスのみんなが僕のことを凝視している。なにか続けたほうがいいのかと思い、咄嗟に続きを考える。


「えっと、す、好きな食べ物はピーマン!さっきの浅井さんとは幼馴染です!」


 まだみんなは僕から目を離さない。僕が戸惑っていると、不意に一人の男子生徒が手を挙げた。


「奥田さんは彼氏とかいますか!?」


 ものすごい眼光で僕を見据える彼。


「え、いませんけど・・・。」


「そ、そうですか!ありがとうございます!」


 なぜか頭を下げられてしまった。するとそのあとからどんどんと手が上がっていく。


「好きな男性のタイプはなんですか!」


「好きな女性のタイプはなんですか!」


「彼氏はいなくても好きな人はいますか!」


「後でケー番教えてください!」


「好きだ!」


 なんかよくわからないのがほとんどだったが、収拾がつかなくなってきたので先生が止めに入ってなんとか落ち着いた。自席に戻ると水樹が後ろを振り返る。


「なんかすごかったね。」


「ほんとだよ。なんだったんだろ・・・。」


「え、気づいてないの?」


「え、何が?」


「あー、そっか。やっぱ悠は天然だね・・・。」


 何故か馬鹿にされたけどよくわからない。僕は何に気づいていないのだろうか?


 その後は穏やかに流れていき、翔の番になった。


「清水翔、A型。好きなことはスポーツ。好きな食べ物はカレーです。夢はお婿さんです。」


 クラスの数人が苦笑する。


「あ、やべ!滑った!えっと、あとは特にありません!あ、そういえば、最初の方の浅井と奥田とは幼馴染です。」


 そう言った瞬間、クラスのほぼ全員が翔をものすごい形相で睨んだ気がしたけど気のせいだろう。


「うっ・・・。よろしくお願いします・・・。」


 何故か落ち込んだ感じで教壇を降りていく翔。もしかして気のせいじゃなかったのかもしれない・・・。

 そんなこんなでホームルームも無事(?)終了し、帰る準備をしていると、水希が声をかけてきた。


「悠、あんた部活どうすんのー?」


「部活?あー何も考えてなかった。どうしようかな?」


「一緒にバレー部入る?」


「え!ヤダ!っていうか一緒にって女子バレー部に入れるわけないじゃん。」


「あんた今女子でしょうが・・・。」


「あ、そうか。」


「なんか入っといたほうがいいわよー。」


 そう言ってその場を離れようとする水希。


「あれ?水希どこ行くの?」


「あー私今日からもう部活するから。ここのバレー部結構強くてね。今のうちからやっとこうと思って。」


「そっか、頑張って!」


「あいよー!」


 水希が行くと、取り残された僕は、とりあえず既に友達と楽しく談笑している翔のもとへと歩いて行った。


「翔ー、帰ろー?」


「ん?おー。っておい!お前バカ!」


「え、何が?」


 その瞬間翔と話していた男子が僕と翔の間に入り込む。


「清水ー!やはり貴様奥田さんと付き合っているのではないか!嘘つき!」


「だーかーらー!別に付き合ってねえって!なんでそう短絡的なんだよ!別に一緒に帰るくらい普通だろ!一緒の家住んでんだから!」


 そう言った瞬間の翔のやべえ!って顔は誰が見てもわかっただろう。


「な、なにいいいいいい!同棲だとおおおおお!」


「違うわ!いろいろあんだよ!」


「ゆ、許さんぞ!もう絶好だ!」


「絶好もなにも今日出会ったばかりじゃねえか!」


「うるさいうるさい!どうしてもというなら奥田さんの連絡先を教えろ!」


 そう言って彼は自分のスマホを突き出す。


「お前最初からそれが狙いだったのか!っていうか別に自分で聞けばいいだろ!」


「そ、そんな恐れ多いこと俺に出来るわけないだろう!頼む!この通りだ!」


「立場逆転してんじゃねえか!・・・・悠、いいか?」


 翔はやれやれといった目で僕を見てきた。別に友達になるチャンスなのだから、こっちからお願いしたいぐらいだ。


「もちろん。拒む理由がないでしょ。」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


 そう言って彼は僕に頭を下げてくる。そういえばこいつ、自己紹介の時に最初に質問してきたやつじゃないか・・・?

 赤外線で連絡先を交換すると、名前にわたり 秀平しゅうへいと出ていた。


「わたり・・・しゅうへいくん?」


「お、おぉ・・・。て、天使。」


 一体何なんだろうか・・・。流石にここまで来ると気持ち悪いものがある。


「てめえいい加減にしろ。」


 翔が渡にげんこつを与える。


「くっ・・・。そうだな、今日はこのくらいにしとこう。それじゃあ奥田さん!また明日!」


「う、うん。また明日・・・。」


 渡が教室を出て行くと教室は急に静かになった。


「・・・・。」


「・・・・。」


「悠、帰るか。」


「・・・うん。」

誤字、脱字、その他諸々あれば連絡お願いします!

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