meeting
今回は会話が多すぎて読みにくいかもしれませぬ・・・。
「翔ー入るぞー。」
「おー。」
翔の部屋のドアを開けて中に入る。中は男子にしてはきれいにしてあって特に目立つものはなく、強いて言うなら机にサッカーボールが置いてあるくらいか。部屋の主である翔はというと、ベッドに横になって携帯をいじっていた。
「翔、今いい?」
「ん?どした?」
翔は携帯をいじる手を止め、体を起こす。
「ちょっと相談が・・・。」
「相談?いいぞー。まあ座れよ。」
「うん、ありがと。」
ベッドの上にいる翔の隣に座る。体重で布団が少しだけ沈むのがわかった。このベッドは低反発か。いいなー。僕も欲しい。
「お、おお、おま、おま!」
「翔?どうしたの?それなんのモノマネ?」
「ちげえよ!別にモノマネじゃねえよ!何ナチュラルに俺の隣に、しかもベッドの上に来てんだよ!馬鹿か!」
そう言って翔は立ち上がり、顔を真っ赤にさせた。
「何って別にいいじゃん。減るもんじゃないし。」
「そういう問題じゃねえんだよ!お前はもう少し自覚を持てよ!さっきも怒られたじゃねえかよ!」
「え?あ、あー・・・。」
忘れもしない、先ほどのお母さんの三時間の説教は僕の人格を変えてしまうんじゃないかというほど恐ろしかった。しかし、今それがどう関係しているのだろうか?
「あ、あーって・・・お前さ、夜、女が男の部屋に入ってベッドに座るって想像してみ?」
想像してみた、うん。なるほど。僕は翔の言いたいことをすべて理解した。
「わかった。ありがとう。つまり、翔は僕をそういう対象として見てるってことだね?」
「いや、別にそういうことを言ってるわけでは・・・。」
「つまり、翔はホモなんだ。変態なんだ。やっぱり男はどこまで行ってもケダモノだな!そういうことしか考えてないのか!このホモサピエンス!」
「ホモって、お前そういう人のこと悪く言うなよ!その人たちにとってはそっちのが普通なんだから!てか変態とかケダモノとか、俺がそういうこと考えたのはお前のせいだからな!お前風呂上がりだろ!微かに髪濡れてるし、いい匂いするし、そんな状態で近づいてくるし!俺の理性が飛ばなかったことのほうが驚きだよ!」
「この変態!もう知らない!」
部屋の外に出てバタンと勢いよくドアを閉める。廊下のひんやりした空気で頭が冷えると、冷静さを取り戻し、すぐに部屋の中に戻る。
「まだなんかあんのか!?」
「いや、本題忘れてた。」
「あ、あー相談だっけ?」
「うん。」
次は気をつけて、部屋の中央に置いてある机のあたりにペタンと座る。
「なんか今日、部活に誘われたんだー。」
「へえ、良かったじゃん。なんて部活?」
「奉仕部だって。」
「よし、却下だ。」
「ちょっと、話はちゃんと最後まで聞いてって!」
「ああ、悪い・・・。」
「なんか、その部活は生徒の悩みを解決するっていう活動をしてるんだって。なんか人数がいなくて存続の危機らしくて入って欲しいって・・・。」
「あーやめとけ。」
「どうして?」
「そう言う奴らが欲しがるのはたいてい部室と部費だ。奉仕部なんて部活俺は聞いたことがなかったし、その話を聞いただけなら本当に活動しているのか怪しいところだな。」
「うぅ・・・。」
言われてみるとたしかにそうかもしれない。実際中学校にもそういう部活動は存在した。名前だけ立派で、部室で駄弁るだけというようなものだった。この奉仕部というのもそういうのなのだろうか?
「悪いことは言わねえからやめとけって。」
「・・・・でも、やっぱり自分の目で確かめたい。」
「そうか、別にそれならそれでいいと思うぞ。俺も確信を持って言ってるわけじゃないからな。だが、やっぱりおすすめはできないな。」
「うん、わかってる。明日確かめてくるよ。」
「・・・・相談ってそれだけか?」
「え?うん。ありがとう。」
「あ、ああ・・・。」
「どうしたの?」
翔の歯切れが悪い。
「いや、渡からメール来たか?」
「渡?誰それ?」
「おい。昨日アドレス交換しただろうが。」
「昨日?アドレス?・・・・・あ!」
思い出した。そういえばそんなこともあったな。すっかり忘れていた。
「でも、どうしてメール来たかなんて知りたいの?」
「いや、別に・・・。」
「変なのー。一応来たよ。はい。」
携帯を点け、渡りからのメールを開き翔に見せる。
「『渡 秀平です!奥田さんよろしくね!』・・・・か。」
「別に普通でしょ。」
「ああ、安心した。」
「え、どういうこと?」
翔はなにも答えてくれなかった。その代わり、もう遅いからと部屋を追い出された。仕方なく自室に戻る。とにかく明日は奉仕部とやらの真相を暴くとしよう。