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FATE  作者: おしょくじけん
新しい生活
10/11

club

久しぶりの更新です!遅くなってすいませんでした・・・!

 次の日の放課後、僕は一人で教室にいた。水希はバレー部、翔もサッカー部を見に行くとかで渡りもそれについていった。まあ渡は入るつもりはないらしいが。まあそういうわけでただいま絶賛ぼっちである。基本的にあまり人と話すことが得意でない僕だが、女子相手となれば話しかけるのは男子の比じゃないくらい緊張するのだ。かと言って男子と話そうとすると何故か翔が止めに入るし・・・。


「僕もなんか部活入ろっかなー。」


 特にやりたいことがあるわけではないが、まあ何かやってみるのもいいかもしれない。そしたら友達もできるかも。


「うん。そうしようかな。でも今日は、その、夕飯の準備があるからまた明日ね!」


 独り言で言い訳をする姿は周りから見たらおそらく気味の悪い行動だったと思う。そんなことはお構いなしにカバンの準備をしてそそくさと教室をでる。


「ちょっと待ちなさい!」


 教室を出た瞬間誰かが叫んだ。だが、僕には関係のないことなので気にせず進む。


「ちょ、何無視してるのよ!待ちなさい!」


 今日の夕飯は何にしようか。お母さんがたしかお好み焼きしようって言ってたっけ。買い物して帰ることメールしとこうかな。


「あなた、いいかげんにしなさいよ!」


「え、もしかして僕ですか?」


「当たり前でしょ!さっきからずっと呼んでるじゃないの!」


 気付かなかった。まさかあれが僕のことを呼んでいるとは。


「でも何の用ですか?」


「あなた今部活に入っていないらしいわね?」


「ええ、まあ。」


「じゃあ私たちの部活に入らない!?」


「何の部活ですか?」


「よくぞ聞いてくれたわね!私たちの部活は、ズバリ、奉仕部よ!」


「奉仕部?」


「そう、まあ簡単に言えば何でも屋。生徒の悩みを解決する慈善団体よ!」


「あーなるほど。おもしろそうですね。」


「でしょ!?やってみる価値はあると思うわ!」


「そうですね。丁重にお断りさせていただきます。」


「なんですとぅ!」


「すいません、ではこれで。」


「ちょっと待って頂戴!どうして!?どうしてダメなの!?」


「いや、なんか得体の知れない部活に入るのはちょっと・・・。」


「得体の知れないとは何!?大丈夫!生徒の悩みを解決してるだけだから!」


「そうは言われましても・・・。」


「今の社会に足りないことは何!?そう、助け合う心よ!道端に倒れている人がいたら、誰が助けるの!?きっとほとんどの人が見て見ぬふりをするんだわ!そんな時私たちが助けてあげるの!困っている人を一人でも少なくしたいから!」


「う・・・。」


「でも今私たちの部活は存続の危機に陥ってしまった!それを助けることができるのはあなたしかいないの!どうか、私たちのためだと思って!」


「うぅ・・・・。」


 どうやら僕は押しに弱いようだ。威圧感に押され数歩後ろに下がる。


「これ入部届けよ!明日待ってるわ!」


 そう言って彼女は去っていった。


「なんだったんだろう・・・・。」


 嵐のようにあらわれ嵐のように去っていった。というか誰だったんだろう。名前聞いてないや。


「奉仕部・・・ねえ。」


 特に入りたい部活があるわけでもなし、入ってみるのもありかな。まあ相談してみよう。それより今は夕飯の準備だなー。

 僕は夕暮れの道を一人歩いていく。一人で・・・・クソッ。



 ―――――



 家に帰り、お母さんと夕飯の準備をしていると玄関の戸が開く音がした。


「ただいま~。」


 翔の声だ。そのままの足取りでリビングへと入ってきた。


「おーいい匂い!今日はお好み焼きか!」


「翔、あなたそこに座りなさい。」


「・・・え?」


 お母さんが翔を食卓の椅子に座らせる。しかも目が据わっている。どうしたのだろう?


「翔、あなた悠ちゃんを一人で帰らせるってどういうつもり?」


「あ・・・・。」


 翔がしまったというような顔をする。いや、一人で帰ることになんの問題があるのだ。


「もし、もし悠ちゃんにもしものことがあったら翔!あんたどうすんの!」


「う・・・。」


「現に一度悠ちゃんは事故に遭ってるんだからね!気をつけなさい!」


「・・・ごめんなさい。」


 どうやら翔は母親には頭が上がらないようだ。まあ分かっていたけど。


「悠ちゃんは女の子なんだから、暗くなってくると一人は危ないの。わかってるでしょ?」


「ああ、つい今までと同じように感じて、悠のことを忘れてた。」


「いやいやいや、僕ひとりで帰れますよ?っていうか女の子って言ったって元は男ですからね?大丈夫ですよ?」


 そういう僕に二人がやれやれといった目を向けてくる。


「ごめんなさい翔。全部あなたの責任、というわけではなかったようね。」


「そうだな、悠の危機感のなさが問題だと思う。」


 あれ、何故か矛先が僕に向いているぞ?


「悠ちゃん?夕飯が終わったらお話があるから。」


 満面の笑みを僕に向けるお母さん。これは明らかに裏があるときの顔だ。小さい頃からの付き合いだ。そんなこと顔を見ればすぐわかる。


「いやー、僕、そのー今日は早めに寝たいなーなんて・・・。」


 お母さんは笑顔を崩さない。僕は逃げることを諦め、夕飯の準備の続きを始めた。

 夕食後、3時間に及ぶ説教は忘れられない僕の記憶となっている。忘れられないというのは、脳に鮮明に焼きついて離れない、ただのトラウマである。

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