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憧れの人が期間限定の恋人になってくれるそうです。  作者: 島城笑美


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24/24

024 あなたと共に生きるために

最終話は明日の更新のものですが、二人のクライマックスです。

先ほどの騒動は早い時間に起こった為、そう多くの目に映ることなく終息した。目撃した者のほとんどが、王家に仕える高位貴族であった事も起因するだろうが、王太子による采配に否を唱える者は無くミュールマイスター公爵令嬢の行動も醜聞とまではならなく王太子が納めた。


卒業パーティーは第三皇子であるデオフィル王太子殿下の祝いの言葉に始まり、オクタヴィアン殿下とカディア様のファーストダンスで幕を開けた。自分の立場を固める為に、王族に挨拶する者。自身の職場の上司に紹介されたり、友人たちとの別れを惜しむ者、ダンスを楽しむ者。


其々が思い思いに過ごしていた。ステファンは、ユルシュルとファーストダンスをすると晩餐の日を思い出し本当の初めてのダンスを覚えて無い事を悔しく思い苦い顔をしてユルシュルにもオデットにも笑われた。


ユルシュルは、女性王族に仕えるつもりで学園の講義を取っていたので男性パートも熟し、オデットや保護者枠のウルズラともに踊った。カディア様にもお願いされて踊った。


オクタヴィアン殿下にも、ダンスに誘われ。曲の終わりにすまなかったと一言いい逃げをされた。さっとカディア様と共に離れて行った。


ケヴィンとも踊り、ステファンをヤキモキさせて再び、ステファンと踊ると嬉しそうに可愛く笑った。ステファンが見たかったユリスに見せる笑った顔で気を許している顔だった。ステファンは抱きしめるように踊った。


踊り疲れた二人は、ランタンが多く飾られた中庭に出る。先ほどまでの広間の喧騒から離れ、ダンスの余韻にひたりながらも火照った身体を涼ませる。ランタンで明かりがちらほらあるが、今日は満月で月明りは中庭の遊歩道にひきつめれてた真っ白な石たちを照らし光の道を作っていた。


少し開けたところには低い噴水と周りにはベンチが置かれていた。その一つにステファンはユルシュルをエスコートする。なんとなく、沈黙していた。でも、それが心地よく。そして離れがたいと思った。夜空を眺めるユルシュルの顔は月明かりに照らされて美しかった。ふと、ユルシュルが口を開く。瞳はまだ夜空をうつしたまま。


「ステファン様・・・・・いえっ、ステフ・・・この半年、本当に幸せでした」


それは、この関係の終わりを告げる言葉だった。ステファンは覚悟はしていたが血の気が引いた。けれど、ステファンは準備をしていた。ユルシュルの膝の上の手を掬い上げ。ユルシュルの目線を自分に向ける。


「ステフ?」


「君は明日から、トリュフォー卿と呼ぶつもり?」


ユルシュルは、呼び方を愛称に変えてしまった事を後悔した。『ステフ』と呼んだ後に『トリュフォー卿』に戻す寂しさを考えていなかった。いやっ分かっていた。けれど、考えない様にしていただけだった。


「君は、私と離れても平気?」


「なんで、そんな意地悪をいうのですか?」


優しい声で意地悪を言うステファンに、ユルシュルは睨みつけながら問いかける。しかし、そのスカイグレイの瞳は潤み。なんとも、迫力がない。


「君が先に意地悪を言ったんだろう?」


え?とユルシュルは目を瞬く。ステファンはふてくされたように続ける。


「ずっと、ステフと呼んでほしいと言っていたのに今日呼んでくれたと思ったら最後の様な言葉を言ったじゃないか」


ステファンの声も震える。二人とも泣き虫なのねというユルシュルも声が震える。目線がすーっとしたに下がる。握りしめられている手を見つめる。


「シェルは、私と一緒に居たいと思ってくれている?」


「・・・・・私は・・・私を曲げれない」


「うん」


「ウルリーケ殿下に忠誠を誓ったの。これは、私であっても曲げられない。ステファンを軽んじてるわけではないの。でも、無理なの」


「わかってる」


「ごめんなさい」


「そうじゃない。私が聞きたいのは君の気持ちだ。君の望みを聞きたい」


ユルシュルは俯いていた顔を上げ、ステファンを見る。ステファンのターコイズブルーの瞳はいつもの甘やか熱では無く。それよりも真剣な焦燥、懇願、切望、そんな熱を持っているとユルシュルは思った。


それは、ユルシュルにとって都合のいい解釈では無いかとまた悪い癖が顔を出す。絞り出すように、ユルシュルは自分の望みを素直に言葉にする。


「わ・・・私は・・・ステファン様とステフと・・・・・ずっと・・・・・一緒に・・・・いたい・・・・」


ユルシュルが言い終えると、ステファンはユルシュルを抱き寄せきつく抱きしめた。


「うん。一緒に居よう」


ユルシュルは幻聴かと思った。ユルシュルにとって都合のいい事を言うステファンに動揺する。彼の腕の中から上を向き、ステファンの顔を見つめる。ステファンも目線をユルシュルに降ろしもう一度言う。


「ずっと一緒に居よう」


ユルシュルは、目の奥に熱いものを感じ、それはボロボロとあふれ出る。お化粧してるからずっと我慢してるのに。なんてことを無責任に言うんだとステファンを睨んで言う。


「私は残れない」


ユルシュルの言葉に、ステファンはにっこりと微笑み続ける。


「あぁ。私がついて行く。


君はもう私を捨てられなくなったよ。ランゲリーヴにいい男がいても、離してあげない。離してあげれない」


ユルシュルの溢れて止まらないと思った涙がピタリと止まった。分からないって顔をするユルシュルの額にステファンは優しくキスを落とす。


「夢かもとか思ってない?」


思ってたユルシュルはコクコクと頷く。可愛い。ふふっと笑うとステファンは続ける。


「現実。


オクタヴィアン殿下の許可も得た。まぁ、先にケヴィンが何故か言質をとってたんだけど・・・

ウルリーケ殿下の従者の交渉にも行った。何故か、雇用契約書の書類が準備されてたけど・・・

私の家族にも、ユリス様経由で君の家族にも許可を取った!


もう、君は私から逃げられないよ」


茶目っ気たっぷりに震えた声でそんなことを言うステファンにユルシュルギュッと抱き着く。


「逃げれないのはステフだから」


と悪態をついてみた。夢の様な状況だけど伝わる熱が温かくずっとずっとこうしていたいと言ったユルシュルに、私はもっとイチャイチャしたいと返すステファンに苦笑いで返す。

拝読ありがとうございます。


短くなりましたが、これ以上書き連ねたくなくて

これにて二人のお話は終了です。


最終はあの人の回です。

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