表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】憧れの人が期間限定の恋人になってくれるそうです。  作者: 島城笑美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

021 楽しい側近生活と晩餐~ユルシュル・シュミット子爵令嬢side~

今度はユルシュルのお仕事風景かな。

新年の宴の直前に到着したウルリーケ様の婚約者であるランゲリーヴ王国の第二王子殿下は輝く銀色の長髪に青紫の瞳の神秘的で女性的な顔立ちであったが、私的な空間になると砕けた言葉をお使いになる気さくな方だった。


ウルリーケ様より1つ上で、我が国の魔術学園マジーン学園と中央バレンティ学園とに其々1年留学していた。バレンティ学園に留学中に1つ上の第三王子テオフィル殿下と1つ下の第二皇女ウルリーケ皇女殿下と友好を深めたと話してくださった。


ランゲリーヴ王国は、13歳から16歳の4年間学校に通い学ぶため、13歳は自国、14歳は魔術学園マジーン、15歳は帝国中央のバレンティ、最終学年は自国の学院に戻ったとかなり行動的な方でウルリーケ殿下との会話は、甘い恋人というより親友のような親しさを強く感じる関係であるが関係が良好なようでユルシュルは安堵を感じた。


新年の宴では側近として仕事に就く両者の側近同士の交流という事で、数日後に迎える晩餐の予定は以前より聞かされていた。


「晩餐にパートナーでしょうか?」


今日は午前からウルリーケ殿下のところへ出仕して各手紙の清書や招待状の定型文部分の作成を行っていた。この場合、学園の授業は現場研修という事で履修になるのはありがたい。評価は殿下から学園側へ出されるので心配していたら、ダニエラ様にユルシュルは普通にしていたら問題ないですと太鼓判を押して頂いた。


招待状も30名ほど書き終えると、ウルリーケ殿下に呼ばれ晩餐のパートナーは決まっているかとの話だった。ユルシュルは、まだ学園も卒業していない未成年で婚約者もいないので、通常の晩餐の様に叔母に付添人を頼む予定だと伝えるとウルリーケ殿下が考え込んでしまわれた。


「今回の晩餐は、ハーシェルヒルム殿下の側近との交流になるのだ。シュミット女医が来ても面白いとは思うのだが・・・同世代で交流をしたくてな」


と仰りながらニヤァと口角を上げる。やはり、オクタヴィアン殿下とは母親が違うとはいえ姉弟なんだなと実感する。こういう顔は似ている。


「ステファンとはうまくいってるんだろう?同伴を願ってはどうだ?」


「いえ、ステファン様とはお付き合いさせて頂いておりますが、婚約者というわけでは無く・・・公式の場には聊か障り(いささかさわり)があるかと・・・」


ユルシュルは困りながら断る言葉を探す。ステファンとは確かに両想いにはなった。しかし、今後の事、将来のことに関しては何も話していない。ユルシュルはウルリーケ殿下に着いていく心づもりであるし、ステファンはオクタヴィアン殿下の側近である。この関係はやはり卒業式までのお付き合いであるとユルシュルは思っている。


「なんだ。ユルシュルは帝国に残るのではないのか?」


「そんな!私はウルリーケ殿下に生涯お仕えする所存にございます!」


「それは嬉しいな。では、ステファンを引き抜くか?」


「殿下。殿下のお心使いには痛み入るのではありますが、ステファン様に無為に強要される事は私は望んでおりません。いいのです。私は、たくさんの思い出を頂きました。その思い出と・・・頂いた思い出の品だけで十分でございます。ステファン様にお返しが出来ないのが心残りにございますが・・・・」


ウルリーケ殿下は、唇を一文字にして頬につまむような仕草で思考される。何を考えているのか怖い。


「そうか。わかった。だが、晩餐には参加可能か聞いてみてくれないか?オクタヴィアンの側近として紹介しよう。オクタヴィアンも繋がりが出来て損なことはあるまい?」


「畏まりました。殿下の御心遣いに感謝致します」


◇◇◇◇◇


晩餐は3日後と緊急のお誘いになったが、ステファンからはすぐに了承とお返事を頂き、晩餐の賓客のリストや現状までに見知ったハーシェルヒルム殿下側の側近たちの情報や衣装の相談をしているうちに晩餐当日を迎えた。


今日はユルシュルは、ウルリーケ殿下の側近としての仕事では無く、ウルリーケ殿下とハーシェルヒルム殿下の招待客として城の小規模の晩餐室へと招かれた。小と言っても城の規模であり側近がそれぞれ10名ほど参加の上、側近同士でパートナーを作る者もいたが、別のパートナーを伴っているの者もいるので30名近い人数の晩餐会となった。


晩餐会の後は通常、談話室等に男女で別れるが、今回は交流を目的とした晩餐である為、小ホールでの楽団も待機させた小さなダンスパーティーを催すとウルリーケ殿下が提案された。


二人の準備期間が短かった為、今回は手持ちの衣装で雰囲気が近く揃いに見えるで在ろうものにした。正直、晩餐ともなるきちんとしたドレスはユルシュルは持っていなかった為、家格が同じ侍女仲間のナディヤ様の昔の衣装を譲り受け手直しをした。


ユルシュルはオリエンタルブルーのAラインのドレス、ステファンはそれに合わせたミットナイトブルーのテールコートと服装を揃え会場へと足を運ぶ。主催者として賓客を向かい入れる場に、ウルリーケ殿下とハーシェルヒルム殿下が並んで待っていた。招待客であるのはユルシュルだが、名を指してパートナーとして招待されたステファンが挨拶を述べる。


「本日は、(わたくし)などにお声がけ頂き大変光栄でございます。ハーシェルヒルム第二王子殿下とこうしてお目見えできましたこと幸甚に至ります。以後お見知りおき下さいますようよろしくお願い致します。


リーヴバレンティ帝国第五皇子オクタヴィアンに侍らせて頂いております。トリュフォー侯爵家ステファンと申します」


「あぁ。オクタヴィアン殿下とも二日後に歓談の予定があったな。そなたと今日会えたことに感謝しよう。見知った顔がいるのは心強い」


ハーシェルヒルム殿下は美しいが人好きする笑顔で鷹揚に返した。ユルシュルも改めて自己紹介し、それぞれが晩餐席に案内される。


晩餐会は、交流を兼ねているのでリーヴバレンティ帝国側の側近とランゲリーヴ王国側の側近の男女を交互に配置さてステファンとは離れてしまった。ステファンは侯爵令息とあり主催であるウルリーケ殿下やハーシェルヒルム殿下の近くの席で、殿下に何か良からぬことを言われないかユルシュルは心配していたがステファンの隣はウルリーケ殿下の侍女長ダニエラであったので少しばかり安心した。


「こんばんは。私はナサニエル・イーストンです。子爵家の次男です。貴方はユルシュル・シュミット嬢でよろしかったでしょうか?」


ふと、ステファンと反対側の席に人が着席した気配の後、声がかけられた。顔を向けると、中世的な顔立ちで秋桜のような華やかなピンク色のふわふわの短い髪を後ろになでつけ、ガーネットの様な赤い瞳の青年が声をかけて来た。彼は、ハーシェルヒルム殿下の最も近くで侍っている従者だった。


「ご挨拶ありがとう存じます。ユルシュル・シュミットです。私も子爵家で第二子の長女になります。イーストン子爵令息はこちらの席になるのですか?」


「えぇ。しがない子爵家ですので。本日は初対面の方が多いので家格順の席でも良いかとウルリーケ殿下より伺っております」


「お気に障ることはございませんでしょうか?私などの隣で失礼ではございませんか?」


ユルシュルの言葉にナサニエルは赤い目を丸くして瞬き、ふっと微笑みゆるゆると首を振って答える。


「なぜ、このように美しい人の隣で気に障ることがございましょうか?」


「ありがとう存じます。イーストン子爵令息は、ハーシェルヒルム殿下に近い方と思いましたので、ご不快では無いかと愚行致しました。私の浅慮でございます。お詫び申し上げます」


「ふふっ。シュミット子爵令嬢は真面目な方なのですね。お気遣いありがとうございます。

あぁ。家格も同じですし、シュミット子爵令嬢はウルリーケ殿下に同行すると伺っています。どうぞ、私のことはナサニエルとお呼び下さい。私もユルシュル嬢とお呼びしても?」


人当たりのよさそうな感じがハーシェルヒルム殿下に似ているが、少し腹黒さも感じながら第二王子の側近として腹芸が出来るのは当たり前のことかとユルシュルはにこやかに応じる。


「はい。ユルシュルとお呼びください。ナサニエル卿。よろしくお願い致します」


ナサニエルは、話術が巧みでユルシュルとのみ会話をするのではなく。周囲の人間を巻き込み話題を膨らませ、それぞれに発言を求め会話への糸口を提供した。恙なく晩餐会の時間を終わりを迎え小ホールへと移動となった。


先に、席を立ったナサニエルは手を差し出しユルシュルが立ち上がるのをサポートする。その動きは洗練されていて押し付けがましくもない。優雅に立ち上がらせてもらい礼を言う。


「このまま、ユルシュル嬢をエスコートしたのは山々ですがお迎えが来てしまったようです」


ナサニエルの目線に視線を動かせば、優雅ながら早足のステファンが近づいてきている。その姿にふと目元と口元が緩む。


「ナサニエル卿のパートナーもお待ちでございますわ」


と、ユルシュルが返すとあぁアレは妹なんです。そっくりでしょう?と自身の髪の毛をわずかに触れる。彼の目線の先には、女性にしては背の高い秋桜色のふわふわの髪をハーフアップにしたエメラルドの瞳のメリハリのある体格のいい美女がナサニエルを睨み返していた。


「あの()にも、後ほど紹介させて下さい。普段は護衛騎士をしております」


「はい。楽しみにしております」


ユルシュルが微笑み返すと同時にステファンが到着した。少し硬い顔でナサニエルに挨拶をするとユルシュルに手を差し出す。その時に初めて、ユルシュル自身の手がまたナサニエルの掌の上にあることに気づき、ありがとう存じます。と返し離れる。


ステファンの差し出した掌に、手をのせるとぐっと引き寄せられるように力が籠った。少しふらついた体をステファンが支えるが、そのしぐさにナサニエルはふふっと笑いまた後程と自身のパートナーの元へ向かった。


「随分、楽しそうでしたね」


「はい。大変、話題の豊富な方でした」


ステファンの少し拗ねた様な言葉に、ユルシュルはふふっと微笑みながら思ったことを述べる。その表情にステファンは愕然とするが顔に出さない様必死に顔を改める。


「それは、良かったです。あちらに行っても心配御座いませんね」


「えぇ。後ほど、ナサニエル卿の妹君もご紹介いただけるそうです」


ユルシュルの嬉しそうに緩んだ顔にステファンは焦燥を押し殺すことでいっぱいになり、初めてのダンスは気もそぞろに終わった。



◇◆◇◆


「ナサニエル卿。首尾は?」


「上々かと思います。あの顔みましたか?」


「えぇ。わたくし達を前にしているのに全く視線がそちらから離れませんでしたのよ」


「彼は大丈夫なのか?側近の能力として・・・」


「ふふっ執務能力、社交能力、身体能力。全てにおいて秀でておりますわ。会話の受け答えは出来ていたでしょう?目線はおかしかったですが。慕う女性の前では困った癖があるようですね」


ナサニエルとウルリーケの会話に、ハーシェルヒルムは眉を顰め割って入るがウルリーケはころころと大層楽しそうに微笑みながらステファンを称賛しつつも二人を微笑ましく眺める。


「ほう。彼がほしいと?」


「えぇ。まぁ。私の側近男性は少ないですし、臣下の幸せも大事でしょう?」


この様な話がウルリーケ皇女殿下とハーシェルヒルム王子殿下、ナサニエルとされていることはユルシュルもステファンも知らぬことだった。

拝読ありがとうございます!


誤字脱字報告もいつもありがとうございます!

無くすようには努力していく所存でございます・・・


ユルシュル・シュミット子爵令嬢(16)今年で卒業で成人

髪型:ストレートロング一つ三つ編み 髪色:シアン 瞳:スカイグレイ

ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)

髪型:ストレート・ショート・センターパート 髪色:レモンイエロー 瞳:ターコイズ

ウルリーケ第三皇女(18)

髪型:ウェーブロング 髪色:シアン 瞳:チェリーピンク

ハーシェルヒルム第二王子殿下(19)

髪型:腰まのロング、ストレート 髪色:銀 瞳:青紫

ナサニエル・イーストン子爵(20)【ハーシェルヒルム第二王子殿下側近】

髪型:ふわふわ天然パーマショート 髪色:ピンク 瞳:赤

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ