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【完結】憧れの人が期間限定の恋人になってくれるそうです。  作者: 島城笑美


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20/25

020 卒業式のドレスは私から! ~ステファン・トリュフォー侯爵子息side~

気持ちが通じたステファンは無双して夢想します。

殿下もちゃんと皇族です。

ユルシュルと気持ちを確認し合って浮かれた気分は、翌日殿下の元に出仕して早々に霧散した。


「おぉ!ステファン!この案件とこの案件の草案を纏めてくれ!ケヴィン!俺の衣装もだがカディアのドレスはどうなる?」


入室した途端に、書類の束を乗せられる。学校も1週間も休んでいたのだから補講の課題を持たされていた。その上にだ。ステファンの大量の課題の上に書類の束が二つ乗せられ少しばかり目を見張りながら自分の執務机に向かう。


「カディア様は明後日出立されるという事で、急ではありますが、デザイナーとカディア様のお時間を明日の午前で頂きました。殿下には第一皇子殿下と面談がありますので同席は叶いません。殿下の衣装は、カディア様のデザインに合わせてカディア様を中心に私とリューイで決定させて頂きます」


ステファンは顔にかかりそうな荷物を自分の執務机の上に置きながら二人の話に耳をかたむけていた。締め切りを確認して優先順位付けが先かなと溜息をつくと、ケヴィンと話をしていたオクタヴィアン殿下は頭を抱える。


「兄上とか・・・面談は、動かせないのか?」


「こちらの殿下からの公務の都合で1度動かしており、第一皇子殿下が領地に戻るギリギリになったのです。もう動かせません。メインデルト殿下は戻る日を絶対(・・)に変更なさいませんのでお会いできなくなります。いいのですか?公爵を賜ってる兄殿下との交流をないがしろにして」


「うぐぅ。良くない。しかも、兄上は鉄道事業に着手していらっしゃる。まずは自領からと仰っていたがその後は、帝都まで延ばされるだろう。我が領は港を開拓する予定だ。延長が成されるか成されないかでは、貿易領としての発展にかかわる」


鉄道事業か、それは気になる。鉄道は24歳になる第一皇子メインデルト殿下に4年前に今の奥方と婚約が決まった頃から話が出ており、1度跨いで乗る形の試作品に乗せて貰ったことがある。動力が面白かった。あれを馬車の様に大型に人が車内に乗って移動する形の物を帝国内を縦断・横断させたいと仰っていた。


「はぁ~カティのドレスは私が選びたかったのに・・・・」


「どうせ、選んでもセンスがないって却下されるんだからいいじゃないですか」


相変わらずのケヴィンの指摘だが、今日はやけに棘があるなと思いながらステファンは自身がユルシュルに卒業パーティーのドレスを準備していないことに気が付いた。卒業パーティーまでは残すところ2月(ふたつき)だ。テイラーは以前予約を入れたが、ユルシュルに断られたので急ぎの衣装を誂えたい他家の侯爵令嬢と予約日を交換したはずだと思い出し手帳を開く。


「あぁ。良かった過ぎてない」


「どうした?ステファン」


ステファンの独り言にオクタヴィアン殿下が反応して声をかけてきたが、「いいえ」と答える。きっと、ユルシュルの成績はどうにかなりそうか?いつごろ別れる予定かなどの心無い事を言われるに決まっている。だから、ステファンは話をそらした。


「カディア様のドレス注文は明日でないといけないのですか?王家お抱えの城の針子が制作するんですよね?来週とか一月くらい余裕がないですか?」


ステファンの質問にオクタヴィアンは眉尻を下げて、困るが致し方ないという言葉を返す。


「いやっ・・・カディア様の母方の曽祖父様がご危篤で、カティは明後日から隣国聖ルゥフィーナに向かうんだ・・・行きだけで半月を超える。卒業式には間に合わせて帰ってくるが、もし亡くなられた場合は葬儀などがあるため、帰国は本当に卒業式のぎりぎりになる」


「そうなんですか?え?その間の公務もありましたよね!」


「そうなんです!今の人数では心もとないので、後輩を数人明日から入れる許可を貰いました。使えそうで、殿下は良いと言うのであれば本人の希望次第でそのまま殿下の側近にしてもよさそうな次男以下で声をかけました」


カディア様が不在となると、カディア様の側近も不在となる。戦力の喪失は免れない。そんな中、新しい人を入れると言い出すケヴィンに驚きの目を向ける。大体、新しく人が入るのを嫌がるのがケヴィンなのだから。しかし、ケヴィンが目を付けていた後輩であれば大丈夫そうでよかったと胸を撫でおろす。


「あれ?来週は新年の宴では無いか?殿下のパートナーはどうすのですか?」


「あぁシュゼットが引き受けてくれた」


ステファンの質問にオクタヴィアンは素っ気なく妹姫の名前を出した。何故か不服そうな顔を不思議に思う間もなくケヴィンの珍しい大きな声が耳に入る。


「聞いてくださいよ。ステファン!オクト殿下。ウルリーケ殿下にお伺いを立てようとしてたんですよ。今回の新年の宴は殿下の婚約者が来訪されて、初のお披露目なのに!何で弟にエスコートされなきゃいけないんだか!」


ケヴィンが荒ぶっている。こんな状況なのにステファンには休めと言って身体を気遣って更にユルシュルとの仲を取り持つ手伝いまでしてたのかと・・・ステファンは最近めっきり緩くなった涙腺がまた開き始めたが、殿下とケヴィンの会話で、まぁ霧散した。


「いやっ去年まで、姉上も兄上との参加だったではないか!カティが不在だから仕方なくな!今年くらいは私とと思って・・・」


「あぁ。第三皇子殿下も、口説いている相手がいるようで婚約者が決まりませんからね・・・立太子も控えているのに・・・自由すぎる。この国の皇子たち」


「ケヴィン。私の体調はもう大丈夫だ。先週の分まで働くから何でも言ってくれ!」


ケヴィンはステファンが手を出すと二人は固く握手をした。感無量とまでにこんなことするケヴィンは珍しい。本当に忙しかったんだろう。しかし、切り替えが早いのもケヴィンである。


「まずは、机の上の案件と・・・君、欠席時の課題も出されてますよね?今日で終われそうですか?明日から新人を数人連れてくるんだけど、私はリューイとカディア様に同行するからさ。教育をお願いしたい。


殿下!僕とステファンとリューイがいないからって第一皇子殿下に失礼な事しないで下さいよ。ジェフリーに一語一句記録して来てと指示してますから!」


ケヴィンが、忙しすぎていつもよりも脳の回転が速くて良く喋ていることに驚きながらもステファンは分かったと答えるしかなかった。殿下もたじたじなのだからすでに色々迂闊な事を言って、やり込められた後なのだろうと思う。


自分の執務机に腰掛け、まずは先ほど確認したテイラーの日時をユルシュルに予定を空けてほしいと手紙を書き上げる。これは、家に帰ったら家の者に届けさせようと鞄にしまうと案件を順位を付けず片っ端から片づけた。


◇◇◇


新人教育も始まり、カディア様の不在の穴を埋めつつ、今日のユルシュルとの約束の日は休みではないけどこの時間だけ空けて貰うことが出来た。リューイ様が珍しく嫌な顔をしていた。うん。忙しくて大変ですもんね。しかし、ケヴィンがリューイ様に耳打ちしてからは『持ちつもたれつですからね』と黒い顔で言われたがケヴィンが助けを求めたら全力で助けようと誓った。


ユルシュルを迎えに行くと、見たことのないクリーム色の高級店にも入れるドレスを纏って待っていた。叔母様からのプレゼントで恥ずかしいというユルシュルは相変わらず可愛くて髪には髪留めは無く、採寸をするのですからお邪魔じゃない上に夜会と同じようにアップがよろしいですよ侍女に言われて緑がかった青のリボンを編み込まれてアップにして貰ったという。可愛い。


正直、美しい。このまま出てもいいんじゃないかと思ったが、自分が贈ったドレスを・・・身に着けてほしいと考えを戻しテイラーへエスコートして馬車で移動する。テイラーに到着して、顔見知りのデザイナーと補助の針子たちと対面するとあらあらまぁまぁとやたら楽し気な雰囲気に首をかしげる。


「ん~このクリーム色もいいですけど、トリュフォー卿なら・・・」


と言いながらステファンをじっくりと見て月の様に綺麗な光沢の生地を出して並べる。少しずつ色みの違う生地を自分に掲げるので、何故ユルシュルのドレスなのにと不思議な顔をしていたら、多く置かれている鏡が目に入り自分の髪色と生地を交互に見る。


そして、ユルシュルに目を向けると今日彼女の来ているドレスも彼女には珍しいクリーム色のドレスで、髪の装飾の為のリボンはターコイズブルーに近い青緑であることにやっと気が付いて顔を熱を感じる。きっと真っ赤になっている違いない。


「あら、トリュフォー卿ったら今お気づきになったの?

まぁお気づきならあちらの鏡の前で宝石をお選びになって下さいまし。ブルーターコイズから緑が少し入ったブルートパーズ、私はブルートルマリンあたりが卿の瞳にお近く輝きが強いものがあるかと思いますわ。

お嬢様はあちらのお部屋で採寸をお願い致します」


テキパキとデザイナーの女史に促されながら其々、動くが二人そろって赤い顔をしている。初々しくて可愛いわぁと針子たちは心の中で称賛するのが顔に出ている。


初々しいが、この二人は貴族の中にいても目を引く美形なのだから針子たちが燥いてしまうのは致し方無い事ねとデザイナーは内心で溜息をつきつつさらさらとデザイン画をかき始める。水の精霊の様なシアン色の髪色をもち、スカイグレイの瞳は銀を嵌めたようで美しいお嬢様に思考する。


トリュフォー卿のレモンイエローの髪色は淡く見えすぎないかと思案する。以前、第一皇子殿下のご婚約者の依頼で始めたマーメイドラインのドレスであれば月の妖精王のようでは無いかしらと筆はせわしなく動き続けるが、宝石を選んで席に戻ったステファンの顔をじっとデザイナーがじっと見ているのをステファンは居心地悪く「何か?」と問う。


おつきの女性たちが並べた生地や糸を指しながらデザイナーの女史は声を弾ませて話を進める。


「今回はお嬢様のドレスをご注文とのことでしたが、トリュフォー卿。この様なグレーの生地をベースに差し色で空色のこの糸の刺繍を施すのはどうでしょう?


すこし、誇示しすぎてお恥ずかしいのでしたら、シャツをグレーのシルクで仕立ててクラバットを空色にするのも素敵ですわ。スーツの色は金がかった白にしますと、シュミット嬢のドレスお揃い感もありますわねぇ!」


お揃いの色合いにお互いの色の衣装・・・良い。ステファンは貴族的な顔を必死で作りながらそのようにと少し上擦った声で答える。

拝読ありがとうございます。



ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)

髪型:ストレート・ショート・センターパート 髪色:レモンイエロー 瞳:ターコイズ

オクタヴィアン・リーヴバレンティ第五皇子殿下(16)

髪型:ストレートロング 髪色:カーマイン(赤) 瞳:ジョンブリアン(黄金色)

ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息(16)

髪型:くせ毛・ミディアム 髪色:ボトルグリーン(深緑) 瞳:グレープ

ユルシュル・シュミット子爵令嬢(16)今年で卒業で成人

髪型:ストレートロング一つ三つ編み 髪色:シアン 瞳:スカイグレイ


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