017 最強の助っ人? ~ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息視点~
お時間少し遅れました・・・
オデットちゃんの計らいで彼らが出会います!
オデットの指定の時間に、指定のカフェにステファンと共に入る。友人の顔を見るとここ数日で更に頬がこけている。恋愛で食事が喉を通らないことは本当にあるんだと垣間見ることが出来てしまった。
殿下はカディア様と喧嘩してもモリモリ食べてたから・・・これは、婚約者と恋人同士という関係の違いもあるのだろうかとケヴィンは思考する。
個室に案内されると、オデットが横並びに座る連れの男へ親し気に微笑んでいた。つい足が止まってしまった。そんな、ケヴィンの背中をステファンが押す。気まずいから先に行けという意味だろう。
「オデット様」
ケヴィンが話しかけると、オデットはこちらに振り向き一瞬驚きを見せて微笑む。いつもより硬い気がしたが視線がステファンに止まっていてなぜかホッとした。
「この度は申し訳ございませんでした!」
突然、ステファンが大きな声で謝罪した。何がどうしてそうなった?オデットの連れの男性の紹介もまだなのにと彼に目を向ける。
夕陽色の短い髪にグレーの瞳。しっかり顔を見てふとシュミット嬢を思い出す。あぁ。目が似てる。紛れもなく兄妹だと確信する。
突然のステファンの謝罪に、固まっていた2人がとりあえず席につきましょうとステファンを宥める。謝ってるのに相手に気を使わせてどうするのかとため息が出る。
うっかり溜息を出してしまい、口を押えて驚いていたケヴィンを見てオデットがふふっと笑い隣の男性を紹介した。彼も自身の名前と下位貴族としての丁寧な挨拶を述べた。
「シュミット子爵が嫡男。ユリスと申します。以後お見知りおきを」
「わ!私は、トリュフォー侯爵家のステファンと申します。しがない三男です!そんなに改まらなくても大丈夫です!ユルシュルのお兄様!ユリス様とお呼びしてよろしいでしょうか?私はステファンとお呼びください!」
(うわぁ。)
殿下と余計な事をしてる時は男児のような男だが歴史ある侯爵家の子息として外面完璧男のステファンの全く余裕の無い姿を初めて見てケヴィンは衝撃を受ける。オデットの優しくトントンと机を叩く音で我に返り、気持ちを整え自らも挨拶をする。
「エチエンヌ伯爵のケヴィンです。私もケヴィンと呼んでください。改まられるのはあまり得意では無いのでお願いします。本日は、愚かなこの友人の為、ご足労頂きありがとうございます。今日はわざわざお時間を作っていただいたのでしょうか?」
どうしても、二人が一緒に居たことと仲のよさげな感じが気になった。
「オデット嬢とは商談の為、このお店でお約束しておりました。商談の後も晩餐の時間まで空きがありましたし、妹の友人の頼みは断れません」
ユリスはちらっと、オデットに視線を投げ二人で微笑む。そのやり取りに胸のあたりが気持ち悪くなる。何故かわからず、胸を擦る。ケヴィンは悪い病気でも患っているのか帰ったら医師にかかろうかと思案する。
「さて、相談とのことですが何でしょうか?」
1つしか変わらないと聞いていたが、自分たちと全く違うユリスは落ち着いた声で僕とステファンを見ながら話を促す。話しやすい雰囲気は彼の柔らかい声と表情のせいだろうか。なんか負けた気になる。
「あっあの。シェルは・・・・あっ。ユルシュル嬢は何故、私と会ってくれないのでしょうか?」
ステファンが単刀直入に聞く。相手が直球で来たからと言って直球で返す奴がいるかと思ったがここでは腹の探り合いをしてる場合ではないなと自分を落ちつける。
「あぁ。貴方がユルシュルの恋人でしたね。シェルと会っていないんですか?最近、私とは毎日会ってるんですが・・・忙しいのかな?」
前言撤回だな。ユリスは直球で話す気はない。ステファンを探るつもりなのだろう。社交の場であれば助けるが、今回の場合。全面的にステファンの拗らせた片思いをさらけ出した方がいい気がして黙って見守る。
「毎日お会いしてるのですか・・・・はい。毎日手紙を送っているのですが、時間が取れませんという返事しか頂けず・・・」
「「「毎日!」」」
つい声を出してしまったが、ユリスもオデットも同じ気持ちだったようで3人で同調して声が出た。ユリスが、ゴホンと咳ばらいを1度してステファンに聞き返す。困惑が見て取れる。僕も同じ気持ちですと同情する。
「毎日、手紙を送っているのですか?」
「はい。シェルからは2、3回に1回返事してくれます。けど・・・会う約束は出来なくて・・・あのっユリス様。ユルシュルは元気ですか?後、僕について何か言ってませんでしたか?」
「何かとは?」
非常に話しにくい事なのですがと、話始めのはオクタヴィアン殿下の悪戯が発端で告白をしたが、元々ユルシュルを好きだったこと。【嘘】でステファンがユルシュルに告白したという噂が下位貴族にも回り始めてユルシュルが知ってしまったのではないかという事をいつものステファンでは考えられないほどたどたどしく話をした。ユリス様は真剣に口を挟まず話を聞き続けた。そして、『あぁ~ん~でも~ん~』と唸り始めた。そして、意を決した様に話始めた。
「ステファン卿は、ユルシュルを好いているということでいいですか?」
「はい!本当に!心から・・・・好きなんです・・・・」
ユリス様は更に少し考え込み、話を続けた。僕とオデット嬢は話に全く入ることが出来ずにいた。
「これは、本来俺が言うべきことでは無いかと思うんだが・・・年長者のお節介というか・・・これ以上こじれると取り返しがつかないというか・・・誰も幸せになれないから・・・う~ん。話をさせて頂きます。
シェルは・・・・【嘘告】を知っています。最初から」
「はい?」
「え?」
「はっ?」
また声を漏らしてしまった。ユリス様は初対面だというのにステファンとオデット様がいるからだろうか・・・先ほどから素が出てしまう。衝撃が強すぎるのかと考えるながら少し気を引き締める。ユリスの言葉にステファンは呆然としながら無意識に返す。
「最初からですか?」
「はい。最初からです」
「じゃあ、了承してくれたのは高位貴族からの圧力ですか?それとも、阿呆な事をした私を懲らしめようとか?」
「それは無いわ!だって、告白された日。嬉しそうにしてたもん!デートの時だっていつも準備から照れたり可愛かったんだから!圧力とか、ユルシュルの方が騙すとかはないわ!そんな子じゃないもの!圧力はウルリーケ第二皇女様に相談できなくても側近仲間にか侯爵令嬢もいるから誰かに相談できるもの!」
ステファンの仮説にオデット嬢が眉を寄せ憤る。段々、涙目になっていくのを見て本当の仲の良さを感じた。多数の人の感情を弄んだ殿下の悪戯にケヴィンも憤るが自分も何もできなかった事に胸が苦しくなる。さらにオデットはユリスに話し始める。少し拗ねていた。
「ユーリ兄様は知っていたんですね!私は、知らなかったです」
「あぁ。オデットちゃんごめんな。シェルは俺には何でも話すんだよ。年子だし、半身みたいな?戦友かな・・・俺もこの話を聞かされた時は復讐の手伝いかと思ったんだけど、初恋人の報告って言われて本当に困ったんだよ。今日、オデットちゃんが紹介してくれるって言うからここは見定めようかと思って気合入れてたんだよ・・・」
はぁと大きなため息をつきながらユリスがオデットに話す。しかし、ケヴィンの頭の中では(ユーリ兄さん)と(オデットちゃん)が反芻している。そんな中、ユリスはステファンへ話を続ける。
「ステファン卿。シェルは・・・ステファン卿をお慕いしています。でも、ステファン卿からの行動は全て【嘘告】の為だと思っています・・・・。最近、学年2位をとるにはどうしたらいいのか?と相談されました・・・
第五皇子殿下の要望を叶えなくてはステファン卿が困るだろうけど、第二皇女殿下の側近として粗末な成績を残すことはできないからと・・・」
ステファンの顔面は、最近見た真っ青がまだ血色が残っていた方なんだと思わざるを得ないほど真っ白になってしまった。生きてるだろうか?所々、詰まりながら口から言葉だけが漏れている。
「シェルは・・・・僕の言葉や・・・・・プレゼントは・・・・・【嘘告】・・・の成功の・・・為?と・・・思ってる?」
「はい。そして、あの娘は結構・・・いやっ大分?思い込みが激しいです」
「え?」
「だから、ステファン卿が今からシェルを本当に慕っていると言っても、【嘘告】を隠蔽する為ではないかと思う可能性が・・・・高い」
「うわぁ~」
ケヴィンは思わず我慢できず声に出た。口を手で押さえステファンを見る。ここからステファンの挽回は不可能では無いかと思う。ステファンは、まだ座ってることが不思議なほど顔色がおかしくなった。
「なにか・・・どうにか・・・」
言葉をうわ言の様に口から零すステファンは誰から見ても哀れだった。ユリス卿は第一子嫡男で兄弟が多いから本当に元々の面倒見がいいのだろう。ステファンに必ず、会う機会を作るからまずは体調を整えるように説得して、僕らを帰路の馬車まで見送ってくださった。
拝読ありがとうございます!
ステファンの健康が心配です。
ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)
髪型:ストレート・ショート・センターパート 髪色:レモンイエロー 瞳:ターコイズ
ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息(16)
髪型:くせ毛・ミディアム 髪色:ボトルグリーン(深緑) 瞳:グレープ
オデット・レノー男爵令嬢(16)
髪型:くせ毛ロング・ハーフアップ 髪色:ラズベリー 瞳:オリーブ
ユリス・シュミット子爵子嬢(17)
髪型:くせ毛ツーブロック 髪色:キャロットオレンジ 瞳:スカイグレイ




