012 あの男は誰ですか? ~ステファン・トリュフォー侯爵子息side~
ステファンは・・・
言葉や態度が出ると気持ち悪いな・・・
こんな子のつもりじゃなかったんだけど・・・
<ステファン視点で参ります>
私は今、人をつけています。
恋人の・・・そう!恋人のシェルを!断じてストーカーではないです。恋人なのだから!
今日は、デートに誘ったのですが断られました。用事があるそうです。がっかりしました。
・・・・が、彼女にも彼女の用事があるだろうと思い涙をのみました。
仕方がなく私も友人たちと街に出て、レストランの2階のバルコニーで食後の珈琲に口をつけていました。シェルは紅茶派だから、彼女といるときは紅茶の種類の多いお店に行くので、久しぶりの珈琲に舌鼓を打ちながら街中を眺めていると見つけました。
私の天使を!うん。愛だろう。こんなに人が多い街中で彼女だけをみつけました。だって彼女は私の恋人だから!光り輝いているのですから!
あれは、初めてのデートの時に着ていた愛らしいワンピースではないでしょうか。可愛いです。普段は、大人しめの好んで着ているのですが、叔母が初めての恋人とのデート記念にプレゼントしてくれたんですと照れながら言う彼女は本当に天使かと思いました。
すごく褒めました。可愛かったですし、私の為に精一杯おしゃれしてくれたのがすごく嬉しかったです。そりゃ褒めますよね。本心ですし。
だがしかし!あのような可愛い恰好を!私とのデート以外で着る用事ってなんでしょうか?
だから、彼女の承諾なく後をつけたのは致し方がない事でしょう?
理由を知らなくてはならないです!あの様な可愛いらしい格好して何かトラブルに巻き込まれてはいけない!そう、私は彼女の護衛のために後を追っているのです。うん。そう。ストーカーではありません。
そろそろ、噴水広場ですね。待ち合わせ場所でしょうか?
確かにここで待ち合わせをする人は多いですよね。うん。うん。お相手はレノー嬢でしょうか。女子会も大事ですよね。同性の友人もかけがえのないものです。それでしたら、可愛らしいワンピースを着るのは分かります。
え?レストランにいた友人はどうしたですか?もちろん、昼食を共にしたのだから今日は解散でとなりましたよ。まさか、恋人を追うために放置したわけではありません。
ん?小走りに向かって行ったぞ。ん?レノー嬢ではないじゃないですか!
大きい人です。大きな女性でしょうか?しかも、筋肉質です!夕日色の短いくせ毛を撫でつけてツーブロックの髪型です。女性にしてはかなり珍しいのではないでしょうか?
あぁ!彼女と並ぶとあんなに身長差があるんですね!私より高身長ではないでしょうか?日焼けもだいぶしていますね。貴族ではないのでしょうか?
はっ絡まれているのでは!なっ!あいつ、あぁ!彼女を抱き上げましたよ!
私だってまだそんな事した事ないんですよ!!おいっ!なっ!なんであんな可愛い顔!あんな笑顔、私は見た事ないです。見た事ないです・・・私は・・・
あぁ!あんなに近くで腕を組んで、ちょっと頭を撫でるな!私でもした事ないんだぞ!あぁー嬉しいそうに微笑んでる。
マジですか。私は弄ばれてたのでしょうか。あっちが本命なのでしょうか。
まさかシェルに限って、男を弄ぶなんて・・・
ゴンッと頭に衝撃が走る。落ち込んでいたせいでしょう。気配にまったく気がつきませんでした。背中をとられるなんて!と思って身構えるとそこにはケヴィンがいました。
「なにしてるんだ?ステファン。身をかがめているがそんな花壇には君の大きな体は隠れきれないよ。怪しすぎる」
ケヴィンの顔を見ると、気が緩みました。頑張ってた涙腺が崩壊します。ケヴィンはギョッとした顔になりました。
「私・・・シェルに・・・ユルシュル嬢に弄ばれていたようです・・・」
「はぁ?何の話をしているの?」
「今、男と・・・・夕日色の・・・髪の男・・・・・・・・と腕を・・・・組んで・・・歩いていた」
「ん?というか君。後付けてたの?やめてよ。気持ち悪いよ」
幼さの残る顔を歪め、ケヴィンが睥睨する。落ち込んでる友人に何たる仕打ちをするんでしょうか。酷いです。そんな、私の心情を顧みずケヴィンは続けます。
「そもそも君さ、【嘘】の告白で交際を申し込んだこと伝えたの?」
「いやぁ〜でも・・・・今更言う必要あるかな?とか考えてるんだけど・・・私たちラブラブですし・・・・」
「いやいや!伝えないと!」
「なんで、そんなに【嘘】の事を伝えようとするんだよ!私たちが破局してもいいのか?はっ!むしろそれを狙ってるのか?」
「・・・・・・馬鹿なのかい?彼女はもう知っているんだろう?話し合いはしないのか?謝罪は?本当の君の気持は伝えなくてもいいのか?」
「そうですね・・・・」
「私も、君が告白するというから独自に彼女が迷惑をこうむってないのか周りを調べたのですよ。特に嫌がらせ等されて無くて不思議には思っていたんですが・・・【噂】とはしかも、高位貴族の令嬢だけに流れている・・・人と交流しないとこういう弊害があるんだよね。私の役割じゃないんだけどな・・・」
「ケヴィンは知っていたのか!!彼女が知ってることを!」
ケヴィンは大きな溜息をつくと一気にまくしたてます。
「カディア様も仰っていただろう。皇太子にはなれずともオクタヴィアン殿下も皇子であって、次期公爵位と広大な領地を賜る!
殿下に最も近い側近は君と私だ。確かに僕らは継ぐ領地もありませんが、皇子の元で公爵家を支える役割があります。数年で叙爵するでしょう。
最低でも男爵、侯爵領を発展されることが出来れば功績によっては子爵や伯爵の可能性もある。更に、君の見た目です。君、モテるって聞いてましたか?
そんな君と付き合うシュミット嬢が嫌がらせ等を受けないか。調べていたんですよ。
彼女は殿下の悪戯の被害者ですし、君も彼女を慕っている。彼女が被害を被った場合・・・色々と面倒が起こると思ったのでね。
そしたら、何もないんですよ」
少したじろいだが彼女が謂れのない虐めにあってないと知るとホッとした。
「いいことじゃないかい?何もないのは」
「何故、嫌がらせもやっかみも受けてないのか原因を調べないといけないでしょう?」
「ケヴィンは細かいですねぇ~」
ケヴィンは、目を細め睨んでくる。
「細かくないです。不自然な違和感はきちんと意味を知っておかないと後々面倒ごとに巻き込まれるのは経験則です。
あの殿下の傍にいるんですよ。不穏な芽は必ず潰しておかないと大事になるにきまってるじゃないですか!今までもそうでしたよね?そしてですね。それは君にも同様です。
何故、ステファン・トリュフォー侯爵子息の恋人になったユルシュル・シュミット子爵令嬢は嫌がらせをうけてないのか!」
「彼女が素晴らしい人だからじゃないか!」
「素晴らしかろうがなかろうが、数少ない高位貴族の将来有望で見目もいい令息の相手とは嫉妬や妬みの対象なのですよ!
考えてみると一つだけ心当たりがありました」
ケヴィンが重々しくそうつぶやくと、ステファンはごくりと喉を鳴らし佇まいを正した。
「君がこんなにも愛をさらけ出しているのに、誰もが君がシュミット嬢に好意を抱いていないと思っている。だから、虐めの対象にならない。
何故、君が好意を抱いていないと思われるのか、それはこの告白の前に殿下が食堂で大声で、そう!不特定多数の人間の中で【嘘】告白を話していたから。
彼女の耳に【嘘】の部分が入るまえに君は彼女に【嘘】の部分を説明しなくてはならなかった。しかし、君は2ヶ月も経つのに伝えていない。
分かるか?彼女は君の告白が【嘘】だと他から知らされたんですよ?彼女がどう思ったのか。
・・・・・それとも、彼女は【嘘】を知って親切にそれにつきあってるのか?
カディア様が言っていた通り上位貴族からのしかも殿下の絡んだ悪戯だから拒否権が無いと思っているのか!
こんな婚期を延ばすような事に社交になれていない、田舎から出てきた子爵令嬢が文句を言えるのか?もしくは、本命の相手が理解して待ってくれているから安心して君らのしょうもない悪戯につきあってくれているのか!」
体中の血が一気になくなった様に、全身が冷たくなる。考えていなかった。彼女が【嘘】告白を知ったという事を・・・じゃあ、私とは殿下の無茶ぶりにつきあってくれてさっきの夕日色の髪の男が本命の恋人。
私は【嘘】の恋人か!?
そうだよ。としか言えない。
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拝読ありがとうございます。
ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)
髪型:ストレート・ショート・センターパート 髪色:レモンイエロー 瞳:ターコイズ
ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息(16)
髪型:くせ毛・ミディアム 髪色:ボトルグリーン(深緑) 瞳:グレープ
ユルシュル・シュミット子爵令嬢(16)今年で卒業で成人
髪型:ストレートロング一つ三つ編み 髪色:シアン 瞳:スカイグレイ
ユリス(?)
髪型:くせ毛ツーブロック 髪色:キャロットオレンジ 瞳:スカイグレイ




