010 あなたたちは何をなさっているの?~ステファン・トリュフォー侯爵子息side~
お茶会の後に、カディア様が大活躍です。
「オクト様はいらっしゃいます?」
オクタヴィアン殿下の執務室にて、今日は真面目にオクタヴィアンと側近たちが執務をしていた。最近は、新年に向けて忙しく城に戻ってからでは時間が惜しく、学園の空き時間にも執務室に詰めて書類の精査や公務の段取りについての話し合いが行われていた。
そんな執務室に来訪したのは、オクタヴィアン第五皇子の婚約者カディア・ニコラ伯爵令嬢。時間を少し貰いたいと言う彼女に皇子は一も二もなく了承した。側近たちに生暖かい眼差しで見られながら。
「ステファン卿、ケヴィン卿も同席なさって下さいまし」
なぜか、二人も呼ばれ執務室から続き間になっている応接室へと移動する。殿下が了承を伝えてすぐだろうか。カディアが現れた瞬間だろうか。すでに、リューイがお茶の支度を整え始めていた。全員が座る頃には、暖かで鼻孔を擽る香りのお茶がきちんと其々の前に提供され皆が口を付け、近況報告をし合うとカディアは本題に入る。
「お聞きしたいことがございます。ステファン卿とシュミット嬢は実際はお付き合いをしていないって本当かしら?」
カディアの質問にステファンはさっと顔を青ざめ、ケヴィンはどうするの?と言いたげにステファンを見る。しかし、ステファンの気持ちを知らないオクタヴィアンは自信満々に答える。
「あぁ。卒業までの半年を学年1の才女に夢を見せてあげようという企画だ!慈善事業だ!」
「何を言っているの?全部聞いたわよ」
カディアの呆れと怒りを含んだ言葉に、オクタヴィアンまで青い顔になったがステファンに至っては真っ白になってきたなとケヴィンは呆れた眼差しでみているとカディアから声をかけられる。
「ケヴィン卿はご存じでした?」
「えぇ。存じ上げておりましたし、お止めしました」
しれっと、自分は関係は無いと申告する。言わば上司の奥方。否、もう一人の上司にあたるカディアに悪い印象を持たれてもいい事はないケヴィンはすんなりと二人を売る。
「やっぱり。でも、ステファン卿までのるなんてどういうことですの?」
「ステファンは本気で好きなんですよ」
更に、ケヴィンは暴露する。それにステファンは立ち上がり何故言う!と怒りだすが、オクタヴィアンは目をパチクリと混乱し、ケヴィンの発言の意味を理解できないでいる。
「まぁ、でもシュミット嬢もオクト様の戯れをご存知のようでした。更に、 ミュールマイスター公爵令嬢が弁えるようにしっかり釘をさしてたわ」
「え??え?どういうことですか?」
ユルシュルが知っているという1番の不審な言葉にさらに、ミユールマイスター公爵令嬢まで出てきて混乱するステファンにカディアは諭すように話し始める。カディアは、この三人より二つ下である。
「ステファン卿。貴方の伴侶の座を狙ってるご令嬢が多いのは分かっているのかしら?現在の公爵家で、現在学園に通っている私たちと同じ年頃の子息令嬢はミュールマイスター公爵令嬢だけ。
伯爵家は家門が多い分それなりにいるけど、公爵家、侯爵家に至っては第一皇子殿下から第三皇子殿下までのあなた達より8歳から4歳上の方々もしくはもっと少し上の方々が多いのよ。
だから、嫡男との婚姻は我々の世代のご令嬢は幾分年上で、今迄未婚の方。もしくは、外国に目を向ける方もいるわ。
それで、次に目をつけるのは皇子・皇女殿下の側近で次期に爵位を叙爵される高位貴族の嫡男以下の男性になるでしょう?そして、ステファン卿は侯爵家三男で、国内の婚約者がいて公爵家を賜ることが決まっている国外に出ない第五皇子の側近。
貴方は、今ご令嬢たちの最高の優良物件なの。そんな中、貴方が優遇する女性が現れ、しかも子爵令嬢ならどうなるのか知らないなんて言わせないわよ!」
「はい?シェルは虐められてるのですか!?」
「は?シェル?お前、シュミット嬢を愛称で呼んでるのか!俺だってまだカディアに愛称を許されてないのに!」
「殿下、話が進まないので黙っててください」
「それが、虐めの対象になっていないのよ」
「そうですか」
ほっとしたステファンに、カディアは溜息をついて話を続ける。
「優秀だから一目置かれているのかと思って、それに帝国に残ってステファンの伴侶になるのであれば私の補佐もお願いできないかしらと思ったの。
それで、お茶に誘ったのよ。ウルリーケお義姉様がお認めになった方だもの優秀なのは分かるわ。
それを、どこから聞きつけたのか、ミュールマイスター公爵令嬢一派が私とシュミット嬢のお茶会に割り込んできたのよ!本当に不愉快だったわ!」
「優秀だから虐めの対象になっていたわけではないという事ですね」
「そうなのよ!高位貴族の間では殿下の悪戯でステファンがシュミット嬢に告白して卒業まで弄んでるって噂が流れているのよ」
カディアの言葉に、ステファンは唇まで紫にして蒼白になる。だが、ケヴィンとカディアは冷たい視線で関係ない顔で座っているオクタヴィアン共々、見やる。
「そっそんな」
「まぁ。あながち嘘ではないですね」
「そうね。実際そうだものね」
「それを、シュミット嬢は知っていたと?」
「えぇ。何処で知ったのかは聞けなかったわ。本当にミュールマイスター公爵令嬢、不快だわ」
「カディアが不快なら潰すか!」
「待ちなさい。貴方も2年後には公爵なのよ。同位の公爵家。しかもあちらはこの国が帝国になった当時から続いていて皇女が数代ごとに嫁いでいる由緒ある家なのよ。
そんな相手に無闇に喧嘩をうってはいけないわ。
彼女が、後悔するのは数年後よ。令嬢がずっと実家にいすわることは出来ないもの。私より、上位になるには王族に嫁ぐしかないわ。皇子殿下方には皆さま婚約者がおりますし、それは無いでしょう。彼女も焦っているのかもしれないわね」
「殿下。話が逸れるのでだまってもらってもいいですか」
オクタヴィアンの発言に、カディアまでつられてしまいケヴィンは辛辣である。自分が止めることが出来なくて1人のご令嬢に負担をかけているのではないかとユルシュル
が虐めをうけてないかは調査していたが、噂には疎かったので状況を把握できていなかった事に対する悔しさが殿下に対して強い口調になる。
「なっ!なっ!」
「カディア様!シェルはなんと!何で知っているのに私と付き合っているのでしょう」
「それは、本人しか分からないけれど•••
私からしてみれば、殿下や高位貴族様の戯れに反抗する事ができないのではないかしら」
カディアの率直な意見に、今までデートで無理をさせていたのかとステファンは消沈する。
「ステファン卿・・・・本当にシュミット嬢をお好きなのね。でも、貴方は選ばなくてならないわ。
1つはユルシュル嬢に甘えて。このまま卒業までお好きな人と恋人と過ごし思い出にする。
2つ目は、誠心誠意謝ってこの関係を終える。
3つ目は、今迄の事を誠心誠意謝るのはもちろんだけど好意を伝えプロポーズする。
何を選んだとしても、シュミット嬢のお返事は分からないし贖罪は必要よ。
賠償金になるかしら?慰謝料?
オクト様!オクト様もですわよ!」
「え?私?」
「この、賭けによってステファン卿とおつきあいしてるんです。ウルリーケお義姉様から婚約者の紹介もあったかもしれませんわ。それを潰したのはオクト様です」
2つ下のご令嬢に見えている事が見えてなかったんだなと落ち込みつつ、もっと打ちひしがれている二人を眺めケヴィンは励ましや妙案どころか溜息しか出すことが出来なかった。
拝読ありがとうございます!
オクタヴィアン・リーヴバレンティ第五皇子殿下(16)
髪型:ストレートロング 髪色:カーマイン(赤) 瞳:ジョンブリアン(黄金色)
ステファン・トリュフォー侯爵子息(16)
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ケヴィン・エチエンヌ伯爵子息(16)
髪型:くせ毛・ミディアム 髪色:ボトルグリーン(深緑) 瞳:グレープ
リューイ・オレンハウアー男爵子息(21)
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カディア・ニコラ伯爵令嬢(14)
髪型:ストレートロング姫カット 髪色:チェリーピンプ 瞳:サファイアブルー




