余との婚約を破棄するとはなにごとか
余との婚約を破棄するとはなにごとか
貴様の成長をどれほど待ちわびていたことか
旅に入り用の財宝をどれほど配りおいてやったか
鍛え伸ばすに手ごろな試練をどれほど仕掛けおいてやったか
臣下の首などいくらでもくれてやった
余が人の姿を借りた戯れごときで取り乱すな
貴様と愛を誓い合った相手にほかならぬ
真の王女が貴様へ与えしは
卑しき打算の会釈のみ
その一族と国土もろとも
下賤のすべては焼きつくした
もはやただ余と共に
この世を気ままに弄べばよかろうに
すでに貴様のほかは誰ひとり
人の子などは残しておらぬゆえ
あえてなお余へ刃を向けようとは
その頑なにすぎる愚かさまでも憎めはせぬ
一途にすぎる狂気において余と比肩しうるは貴様のみ