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王女 ラーニア

 次の日、青い月が夜空に浮かび、その不気味な光が大地を照らしていた。

 歪な光を放っていた。

 段々と、青い月が段々と近づいているかのようであった。



 そんなことがあるものか…。



 青い月を見て、人々は不安を抱いていた。

 大気が不気味な音を立て始める。



 この世界が壊れてしまうのではないか…。



 恐怖が人々の心を支配していた。

 ただ、大きくなっていく青い月を人々は見つめていた。






  ◇  ◇  ◇





 その時、1人の少女がテニスコートに立っていた。

 昨夜、魔法学院の訓練場には大きなテニスコートが設置されていた。



 彼女の名はメアリーという。

 自称、悪役令嬢として知られる少女であった。

 メアリーは自信に満ち溢れていた。





 その時、軽やかな足音が聞こえた。

 フランソワがテニスコートに来ると、メアリーに微笑みかけていた。





「あら、もう来ているなんて思わなかったわ…」



 フランソワが言う。



「寝坊しなくてよかったわ~」


 

 メアリーが返事をした。



「そうね、月の民は時間に厳しいのよ…。きっと、A型が多いせいかしらね…」



 と、フランソワは笑いながら答えた。



「じゃあさ、B型の私とは相性が悪いのかしら~?」


「そうかもしれないわね…」




 ずっと、2人は視線を合わせていた。

 静かな緊張感が満ちている。

 



 その時、アレックスがやってきた。




「メアリー、何かあればオレが助けてやるからな!!」


「あれ!? アレックス、あなたってフランソワ側にいるんじゃないの!?」


「何でそうなるんだよ…」


「だって、あなたはフランソワが好きなんでしょ???」


「はあ、意味が分からないな…」


「だって、このゲームだと…」


「オレはメアリー、お前のことが好きなんだよ!!」




 アレックスは真剣な顔をしていた。

 それを聞いて、メアリーは納得したような顔をしていた。




「あー、そういうことね~~~~~~。悪役令嬢である私に同情しているということね~」


「違うぞ…」


「わかったわ。ありがとう!!」


「まあ、いいさ、この戦いが終わったらゆっくり話をさせてもらうじゃないか…」


「そうね。勝ったら、お祝いしてくれるとありがたいわ~」


「わかったよ。まったく、悪役令嬢ってのはおかしなものだな~」


「へへへっ、お願いね~」




 そう言うと、メアリーは、アレックスを見送った。




  ◇  ◇  ◇




 客席には家族の姿があった。


 弟のビルは祈るように手を組み、どうにかして破滅フラグを回避したいと願っていた。しかし、父親のウィリアムと母親のマチルダは冷静にテニスコートを見つめていた。兄のゼクトの姿は見当たらない。


「さあ、試合を始めましょう!!」



 静寂を破るように、フランソワの声が聞こえた。



「そうね、始めましょう!!」


 

 フランソワが返事をした。



「ただ、ひとつだけ聞いておきたいことがあるの、あなたは誰?」



 メアリーはフランソワに問いかけた。



「私はフランソワですよ」

 

「嘘。本当は誰なの?」


「どうせ覚えてないんすよ。私のことなんて…。以前、私は、あなたの友人だったんです…」


「友人!?」


「乙女ゲームの話ばかりしていましたけど…」


「へぇ、友達? いったい、それはどういうことなの…」


「やっぱりわかってないのね…。まあ、いいわ。私はこのゲームを元の乙女ゲームに戻すために来たんです!!」


「よくわからないわ…。ただ、楽しいテニスになりそうね!!」


「そう言うと思っていました。このゲームはフランソワが主人公なの。悪いけど返してもらうわよ!!」


「いいわ、悪役令嬢の本気を見せてあげる!!」




 フランソワがラケットを手にしていた。

 ずっと、彼女の隣にはフェンリルの姿があった。

 首輪がつけられている。



 どうやらフェンリルは操られているらしい…。




「あら、フェンリルはそっちの味方なのね…」


「違うわ。これはただの道具を使っているだけ…。この戦いが終わるまでのことよ…」


「うーん、よくわからないけど…」


「あなたはこのゲームのことを知らなすぎるのよ…」





 その時、ドラゴンの大きな声がした。

 その声は怒りに満ちていた。




「やっと出会えた…。お前を探していたんだ。青い月の民、ラーニア、お前がぼくの父さんを殺したんだろ!! ぼくは絶対にお前を許さない!!!」


「へぇー、ドラゴンがいるものなんですね…。もうね、設定を増やし過ぎるからこんなことになるのよ…」


「ここで、かたき討ちをさせてはもらう!!」


「あら、私が何かしたことになるのかしら? まあ、月の民のせいということか…。仕方がないわね。じゃあ、相手をしてあげる…」




 フランソワが笑みを浮かべていた。

 その時、ドラゴンがメアリーに話しかけた。




「メアリー、君の言っていたことは正しかったんだね。ぼくが探していたラーニアに会えた。やっと、ぼくは復習ができるんだ!!」


「ラーニア!? え、ああ…。そうね…」




 ドラゴンの言葉を聞くと、メアリーは困惑していた。

 そう言えば、ドラゴンはフランソワと恋をして、美男子になるんじゃなかったっけ…ただ、今更、そんなことを言うこともできないな~、と思っていた。

 メアリーはドラゴンの視線が痛いなと思っていた…。




 耐えられなくなったのか、突然、メアリーの大きな声が聞こえてきた。




「じゃあ、どらちゃん、一緒に、青い月の王女を倒しましょう!!!」






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