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家族

 青い月が夜空を照らす夜、魔法学院にはメアリーの家族が集まっていた。



 父親のウィリアムは冴えない表情を浮かべ、母親のマチルダは煌びやかな光に包まれてどこか高揚した様子だった。

 その時、訓練場でメアリーはテニスボールを追いかけていた。


 遠くに家族の姿を見つけると、メアリーは小走りで駆け寄ってきていた。




「お母さん、お父さん! 来てくれたんだ!!」



 メアリーの明るい声が聞こえてきた。

 満面の笑みを浮かべる。



 一方で、ウィリアムは複雑な表情を浮かべ、何かを言いかけようとしていた。



 「何で、お前はいつも……」



 だが、途中で言葉を飲み込んでいた。

 父親のウィリアムは、この状況にどう対処すればいいのか、途方に暮れていたらしい。

 何を言っても遅いのかもしれない。



 ただ、弟のビルは違った。

 彼の不満の声が聞こえてきていた。


「お姉さま、いったい どうしてこんなことをしたんですかっ!! 決闘なんてして、お姉さまが負けたら、僕たちだって路頭に迷うことになるんですよ!!」



 ビルは震える声が聞こえてきた。

 しかし、その言葉に対して、メアリーはまったく動じなかった。



「大丈夫、私は負けないから!!」



 自信に満ちた彼女の言葉が聞こえてきた。

 ビルは姉に苛立ちを覚えていた。



「そんなことを言っているわけじゃないんです!! こんなことをしていたら、いつか私たちは破滅に向かうことになると言っているんですよ!!」



 ビルの言葉を聞いて、メアリーは静かに目を閉じていた。

 メアリーは、まるで遠い昔の出来事を回想するかのような顔をしていた。


「破滅か…」


「そうですよ!!」


「まあ、仕方がないんじゃない。だって、私、悪役令嬢なんですもの!!」



 メアリーは苦い笑みを浮かべた。

 そして、どこか楽しんでいるようにも見えた。



 その顔を見ると、ビルは呆れた顔をしていた。



「絶対、負けたら許さないですからね!!」


「大丈夫よ。私は勝つからさ~」



「ああ、どうしたらそれを信じられるというんですか…」



 ビルが嘆いていた。

 すると、兄のゼクトがやってきた。



 近くに来ると、兄のゼクトは真剣な顔をしていた。

 メアリーはゼクトの顔を見つめた。



「明日、青い月の民が来るらしいな…。神話で聞いた話を確認することができるかもしれない…」


「それは凄いことなんですか?」


「当たり前だ。きっと、世界が変わるようなことだろうな…」


「そうなんですね。でも、私は自分のやりたいことをしただけですけど…」


「まあ、そうだろうな」



 ゼクトは苦笑いを浮かべた。

 


「お前はいつも自由奔放だ」


「そうですよ~。私は悪役令嬢ですから、そんなことは何とも思っていないのです!!」


「はははっ、そうだな。いつもそう言ってたものな…」



 ゼクトは心から笑っていた。

 そんなゼクトの姿を見て、メアリーは驚いた顔をしていた。



「久しぶりに、お兄さまが笑うのを見た気がするわ…」


「そうだな。嬉しいんだろう…。青い月の民と出会うこともできるんだからな…」


「やっと、お兄さまの願いを叶えることができるんですね!!」


「それはわからないがな…」


「じゃあ、お兄様のため、フランソワに勝ってきますね!!」



 メアリーは力強く宣言していた。



「お前が勝つことを祈っているよ……」




 ゼクトはメアリーの頭を優しく撫でていた。

 2人の姿を見ると、父のウィリアムがゼクトの肩を叩いた。



 ウィリアムがメアリーを見つめていた。



「小さい頃は言い争いばかりだったのに、こんなに仲良くなるとは思わなかったよ…」


「あら、私とお兄さまはいつも仲良しですよ…」


「そうだったか…。お前が幼い頃はゼクトのことが嫌いだと思っていたがな…」


「そんな小さい頃のことは覚えてないわ…」


「そうだな。まあ、お前たちの話を聞いて、私も昔の自分を思い出した。仕方がない。メアリーは自由にやりなさい…」




 そう言うと、ウィリアムは、右手でグッドサインを作っていた。

 父親は晴れ晴れとした顔をしていた。

 




「ありがとうございます。絶対に勝ってきます!!」


「構わないさ…。負けたとしたら、オレが何とかしてやる!!」




 ウィリアムは大きな声で笑っていた。 

 その時、弟のビルが驚いた顔をしながら、父親のウィリアムの顔を見つめていた。





 すると、母親のマチルダがやってきた。





「懐かしいわね〜。あの人がまるで昔のように元気になっているわ~」


「お父様ってまじめな人かと思っていました…」




 メアリーが返事をした。

 すると、マチルダはくすくすと笑っていた。




「昔は冒険好きで、自分勝手で、他人の話なんて全く聞こうとしないで、ただ、まっすぐに進んでいくような人だったのよ…。段々、地位が高くなって、部下を持つようになって、そして、悲しい思いもして、きっと、辛かったんでしょうね…。すっかり、変わってしまったのよ。まあ、それはそれでいいのかもしれないけど…」


「全然、知りませんでした…」


「まあ、あなたが生まれた時はすっぱりおとなしかったものね…」


「今度、話を聞いてみます…」


「そうね。ゆっくり話をしましょうね」


「はい、そうします…」


「ただ、明日はちゃんと勝ちなさいよ。女は強くなくてはいけなんですからね!!」


「わかりました!! 大いに、フランソワを苦しませてみせます!!」


「とことんまで、フランソワを追い詰めなさい…」




 マチルダが笑っていた。


 メアリーはその顔を見ると、嬉しそうに微笑んでいた。

 その笑顔は暗黒に満ちていた。




 悪役令嬢であるメアリーは不敵に笑っていた…。

 



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