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目覚め

「う、うーーん…」


 メアリーの意識は深淵から引き上げられるような感じがしていた。

 彼女はゆっくりと瞼を開けた。


 目の前には、切り株の上で眠り込んでいた自分の姿があった。

 周囲を見回す。

 すると、一羽のフクロウがじっとこちらを見つめていた。



 聞き覚えのある声がした。



「メアリー、大丈夫か? まったく、こんな無茶をするなんてな…」


 兄のゼクトの声がした。

 それに気が付くと、メアリーはフクロウを見つめていた。



「あれ、兄さま?」


「そうだ。どうやら、目が覚めたようだな…。まったく、お前は青い月の女神に魂を燃え尽くされてしまうところだったんだぞ…」




 フクロウの声が聞こえてきた。

 どうやら、兄のゼクトがフクロウを操作しているらしい。




 メアリーは、意識がようやく現実に戻ってきたような感覚に包まれていた。

 しかし、体は重く、思うように動かない。




「体が動かないわ…」


「まあ、そうだろう。魂を回復させているから、今はゆっくりするしかない…」


「そっか…。ねえ、フランソワってどうなったの?」


「きっと、青い月の女神と体を共有している。どうなっているかまでは外部からは把握することはできないだろう…」


「じゃあ、私が助けてあげなくちゃ…」


「何を言ってるんだ。さっき、お前は殺されかけたんだぞ…」


「そんなことは関係ない…」



 メアリーは決意に満ちた表情を見せた。

 フランソワを助けたいという一心で、彼女は再び立ち上がろうとしていた。



 その時、森の中から声が聞こえてきた。

 老人が歩いてきた。




「まあ、いいんじゃないか。この子にはそれだけの力がある。青い月の女神を倒すことができるのはきっと、この子ぐらいですよ…」


「ダンベルドア先生…」



 ゼクトが返事をしていた。

 老人は温かい笑みを浮かべていた。




「ほう、久しぶりに名前を呼んでくれたんですね…」


「あなたは師ですから…」


「ただ、それは秘密にしなくてはならない話だったね…」


「そうです。私たちは太陽戦争のことを調べているのですから、迫害されたって仕方がないと思います…」


「仕方がないか…」



 ダンベルドアは返事をする。

 その後、彼はメアリーの姿を見つめていた。



「その女の子は君の妹なのか?」


「そうです…」


「この子は強い力を持っているな…」


「そうでしょうか…」




 ゼクトはメアリーを見つめていた。

 その時、メアリーは立ち上がろうとしていた。



 ふらふらとしながらも、メアリーには強い意志が感じられていた。

 メアリーの声が聞こえてきた。



「そうよ。私は強い力を持っているわ!! だって、私は悪役令嬢だからね!!」





  ◇  ◇  ◇





 メアリーの声を聞いて、フクロウのゼクトがため息をついた。

 彼は困惑した顔をしていた。




「お兄さま、出口を教えてくれないかしら?」


「体は大丈夫なのか?」


「もちろん…、もう大丈夫よ!!」



 妹の安否を気遣うと、メアリーはそう言い切っていた。

 ただ、その胸にはまだ痛みが残っていた。


 その時、ダンベルドアは微笑みながら、ゼクトの方に顔を向けて言った。



「ゼクト君、メアリーさんを連れて行ってあげなさい!!」


「え…、いいんですか?」


「もちろんだ!!」


「はい、わかりました…」


「あと、メアリーさん、外にいるドラゴンがいるじゃろ? 今度、幼い頃の話をしようと伝えておいてくれないか…」


「え、おじいちゃん、ドラゴンのことを知っているの?」


「それはそうじゃ、あのドラゴンはワシが育てたようなものじゃからな…」


「へー、今度、ゆっくり話を聞きたいわ~」


「もちろんじゃ…」




 その時、メアリーの肩にフクロウが乗っていた。

 メアリーに語りかける。




「仕方がない。元の場所に連れて行ってやろう…」


「お兄さま、ありがとう!! おじいさんもありがとう!!」



 メアリーは嬉しそうな顔をしていた。

 彼女はダンベルドア先生に感謝の気持ちを込めて抱きつていた。



 その時、ゼクトの声がした。



「ただ、フランソワだがな。もう、以前の彼女ではなくなっていると思うから気を付けろよ…」


「はいはい、それはわかっていますよ~」



 メアリーは、強がって見せた。

 ゼクトは妹の無謀さを嘆いているようであった。




「お前な~」


「兄さま、そんなことは良いから行きましょう!!」


「仕方がない…付いてきな…」


「ありがとう!!」



 メアリーはフクロウの後を追いかけていた。

 しかし、その走る姿はぎこちなく、まだ激しい痛みが残っているようだった。



「大丈夫か?」



 フクロウの声がした。



「もちろんよ。私のこと誰だと思っているの。悪役令嬢のメアリーなんですから、こんなことでへこたれたりなんてしないわ!!」


「そうだな。しかし、お前はもう少し誰かに頼ってもいいんだとは思うがな…」


「無理無理、私は悪役令嬢なんだし、ただ、今度、兄さまから魔法でも教えてもらおうかな~」


「魔力もないくせにか?」


「そうなのよね~。ただ、私は私なりに頑張っていくわ。いつもありがとう!!」



 そう言うと、メアリーは笑った。

 その笑顔には、彼女の強い意志と決意が込められていた。



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