荒くれの街
「どうやら誘拐されてしまったみたいだな…」
アレックスの声が聞こえた。
それを聞いて、メアリーは呆然としていた。
「どうして、こんな展開になっているのかしら…」
メアリーは一人、その場に立ち尽くしていた。
しばらくの間、フランソワの姿が見えないことに驚きを隠せなかった。
乙女ゲームの展開を考えてみた。
ゲームの中で、フランソワは誘拐されることはなかった。フランソワはアンドリュース王子を助けるはずだった。それなのに、いったいどうして彼女は一緒に誘拐されたのだろうか。メアリーは判断ができなかった。一度、進行役のマーガレットさんに確認したほうがいいのかもしれない。
「急いで、王子を助けに行こう!!」
アレックスの大きな声がした。
その時、メアリーは小声で呟いた。
「ちょっと待って…」
「何を言っているんだ。王子に何かあったら、オレたちの命にもかかわることなんだぞ!!」
「まあ、そうね…。あなたは勇者だし…。まあ、そうよね…。わかったわ。じゃあ、準備をするから一緒に来てくれないかな」
「戦うための準備ということか?…」
「そうね。ねえ、ちょっと、付いてきてほしいの…」
「ああ、もちろんだよ!!」
アレックスはメアリーに従うことにして、一度、魔法学院に戻ることにした。
その日の夜のことである。
夜空を切り裂くように、ドラゴンが空を飛んでいた。
◇ ◇ ◇
真っ白な月明かりがドラゴンを照らしていた。その背には、メアリーとアレックスが乗っていた。二人は青い月の祭りで使われる衣装道具のマスクを着けていた。そういえば、フランソワとアンドリュースと初めて会った時も、同じように仮面をつけていたことを思い出していた。
「こうやって空を飛ぶのはいいわよね。旅行にでも行くみたいでさ~」
メアリーは澄んだ夜空を見上げていた。
アレックスは彼女の横顔を見ながら問いかけた。
「メアリーは旅行が好きなのか!?」
「まあ、そうね…」
「ふーん、なるほどな…」
「何でそんなことを聞くのよ?」
メアリーが不思議そうに問いかける。
その声を聞いて、突然アレックスは話題を変えた。
「特に、理由なんてないさ。ところで、どこまで行くつもりなんだ!?」
「決まってるじゃない。荒くれの街よ!!」
「荒くれの街だって~!!!!」
アレックスは驚きを隠せない様子だった。
荒くれの街は、法の及ばない無法地帯。世界の裏側のような、誰も知らない場所で、独自の秩序が築かれていた。乙女ゲームの世界では、魔法学院に潜入しているスパイを見つけ出して、壮大な冒険の果てにたどり着く場所であった。だが、メアリーはそんな回り道をするつもりは毛頭なかった。だって、悪役令嬢ですもの、もっと直接的に、その場所にたどり着くべきだわ、と考えていた。ドラゴンの背に揺られながら、メアリーは悪戯っぽく笑っていた。
「ただ、どうして悪役令嬢である私が王子と主人公を助けに行かなくちゃならないのよ~」
メアリーは心の中で叫んでいた。
そんなメアリーの様子を見ると、アレックスは不審げな顔をしていた。
◇ ◇ ◇
荒くれの街は静けさに包まれていた。
空を飛んでいたドラゴンは、メアリーの肩の上で小さな生物に姿を変えていた。
街の入り口には、不審な顔をした男たちが集まっていた。
二人を鋭い目で睨みつけていた。
「おい、そこの二人。何しに来たんだ? ここを荒くれの街と知っているのか?」
男たちの一人が不気味な笑みを浮かべていた。
すると、メアリーは自信満々に答えた。
「ええ、もちろん。知っているわよ!!」
「なるほど、お嬢ちゃん、いったい、何しにここに来たんだい?」
男はメアリーを上から下へと見下ろしていた。
メアリーは男の視線をものともしなかった。
「あなたみたいな下っ端と話をしても無駄だとは思うけど、私たちはカンダータと会いたいのよ。ねえ、あなたはどこにいるか知っている?」
メアリーは堂々とした態度で応えた。
「な、なんで、その名前を知っている…!!」
男は驚きを隠せない様子であった。突然、懐に手を伸ばした。
アレックスは素早く剣を抜いた。
「あんたね~、私たちと戦って勝てると思っているの!?」
メアリーは男を睨みつけていた。
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