愛の力!!
アレックスはメアリーと一緒にドラゴンの丘を登っていた。段々、硫化水素のような腐った卵のにおいが満ちていた。活火山なのかもしれない。そう思っていると、大地が揺れ、地響きのよう直人が聞こえてきていた。
遠くの方から、ズドン、ズドンという音が聞こえてきていた。
アレックスはそちらに視線を向けていた。
ズドンズドンズドン
ズドンズドンズドン
ズドンズドンズドン
その音を聞いて、メアリーは笑みを浮かべた。
彼女は計画通りという顔をしていた。
その時、アレックスの叫び声がした。
「うわぁあぁぁぁ、ドラゴンだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その時、アレックスは自分の中の勇者の力に自信を持つことができていなかった。
だからこそ、ドラゴンを恐れるのは当然だろう。
アレックスは逃げだしそうであった。
その姿を見て、メアリーは困ったなという顔をしていた。
勇者イベントとしては、アレックスとドラゴンを戦わせる必要があると思っていた。
さて、どうしたものか…。
まあ、メアリーにも計画がないわけではない。
事前に、メアリーはドラゴンに一つの頼みごとをしていた。
ドラゴンに頼み、メアリーを攻撃させた。
ズドーン!!!
大きな音がすると、メアリーは吹き飛ばされた。
もちろん、彼女は無傷である。
ドラゴンにしても、メアリーにしても、ただの遊びぐらいにしか思っていなかった。
ただ、アレックスだけはそんなことを思っていなかった。
その時、アレックスの声が響いていた。
「よくも、よくも…。ぼくの愛している人を傷つけたな~~~~~!!!!!!!」
そう言うと、アレックスの魔力が跳ね上がった。
勇者としての力である。
愛の力なのか…。
突然、勇者の力が増していた。仲間が傷ついたこと、さらに怒りの力を得ていた。
アレックスの力は世界最強と呼べるだけの力を手にしていた。
その力を見て、驚いたのはドラゴンの方であった。
ヤバくね…
とっさに、ドラゴンはそんな言葉が浮かんだ。
死ぬんじゃね…
ドラゴンであるのに、そんな弱気な気持ちを抱いていた。
逃げたいなと思っていた。
しかし、メアリーは吹き飛ばされて、崩れた岩の下にいるようであった。
相談もできない。
どうしたものかとドラゴンは困惑していた。
目の前には、強大な魔力を放つ人間の姿があった。
「こんな話聞いてないんだが…」
とっさに、ドラゴンの口からそんな言葉が漏れていた。
しかし、悠長なことはしていられなかった。
アレックスの剣には魔力が満ちていた。
光の刃が放たれた。
それはドラゴンの体を覆いつくすほどの大きさであった。
ドラゴンはヤバいという認識をしていた。
全力で防御をしていた。
しかし、その力を抑えきることはできなかった。
ドラゴンはそのまま遠くの方まで吹き飛ばされてしまった。
メアリーが起き上がった。
その時、既にドラゴンはいなくなっていた。
目の前にはまっさらになった大地が広がっているようであった。
アレックスの声が聞こえてきた。
「うぉおぉぉぉっ!! オレは圧倒的な勇者の力を手に入れたんだ~~~~!!!」
その声を聞きながら、メアリーは吹き飛ばされているドラゴンを見つめていた。
なかなかうまくやったみたいね、とメアリーは思っていた。
ポシェットの中にあるものを探していた。走りながら、メアリーはポシェットにある「龍の目の衣」を取り出そうとしていた。
「アレックス、「龍の目の衣」があったわよ~」
「うお~、やった~。これで旅が終わるんだ~~~~!!」
アレックスは歓喜していた。
手を叩きながら、メアリーが歩いてきた。
「勇者イベントが完了したみたいね~」
「また、よくわからないことを言っているな…」
「ただ、頼もしかったわ!!」
「まあ、それはお前がいたからできただけさ…」
「え、何?」
「な、何でもねーよ!!」
そう言うと、アレックスは顔を赤らめていた。
メアリーは彼が勇者のことで喜んでいるんだろうと思っていた。
「そうね、私もそう思うわ」
「絶対、お前はわかってねーだろうな…」
「じゃあ、フランソワのところまで戻りましょうか!!」
「そうか。心配してるだろうし…」
「うん、そうだね」
「では、行こう!!」
◇ ◇ ◇
2人はゆっくりとドラゴンの丘を下りていった。
その時、茂みの中から小さな影が飛び出した。
ドラゴンだった。
傷ついた翼を少しだけ広げ、彼は力なく座り込んでいた。
メアリーはドラゴンに声をかけた。
「あなた、演技上手かったわね!」
「演技だと…」
「違うの?」
「あの小僧、本当に勇者の力を手に入れたのだろう…。本当に殺されるところだった…」
「へぇー、やっぱり、勇者ってすごいのね~」
「のんきな言い方だな…」
「まあ、いいじゃない。予定通りに行ったんだし…」
「ワシは殺されそうになったんじゃぞ…」
それを聞いて、メアリーはいつもの明るい様子ではなく、どこか考え事をしているようだった。すぐに、フランソワとアンドリュース王子のところに向かうことにした。
しかし、そこには誰もいなかった。
馬車も、兵士たちの姿もいなくなっていた。フェンリルもいたはずなのに。その光景を見て、メアリーは呆然と立ち尽くしていた。どうやら、アンドリュース王子とフランソワは誘拐されてしまったらしい。
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