恋愛イベント!?
アレックスの持つ勇者の力によってミノタウロスが倒された。すると、多くのモンスターたちが逃げ出そうとし、その姿を見た兵士たちの歓喜の声が響き渡っていた。しかし、勇者の子孫であるアレックスだけは不安そうな顔をしていた。
アレックスは立ち尽くしていた。
もちろん、モンスターたちがいなくなったことに安心はしていた。
だが、自分がどれだけの力を持っているのか、アレックスは自分の力を信用することができなかった。だから、上級のモンスターが来たら、きっと、自分は勝てないだろうと思い、素直に喜ぶことができなかった。
その時、メアリーとフランソワが向かってきた。
メアリーは手を振っていた。
「やっぱり、あなたは勇者なんだね~」
「勇者の子孫というだけさ…」
「あのね、お願いがあるの。恋愛イベントの手伝いをやってみるつもりはない?」
「恋愛イベント? なんだよ、それ!?」
「フランソワとアンドリュース王子の恋の手伝いをしてほしいのよ!アレックスにもさ!!」
「王子様と…」
「そうなの!!その代わりにさ、今度、あなたの言うことを何でも聞いてあげるわ!!」
「なんでもって…」
アレックスが驚いた顔をしている。
すると、続けてメアリーの声が聞こえてきた。
「じゃあ、お願いね~。学校の前で待ち合わせだからね。そうだ、一緒にいたキツネちゃんも連れてきなさいよ。私、あのキツネちゃん、大好きなのよ~」
メアリーはドラゴンの方に走り出した。
その時、フランソワはアレックスに挨拶をして、メアリーの後を追いかけていった。
いったい、メアリーが何を考えているのかがわからなかった。ただ、アレックスは断ることなどできるはずがなかった。彼自身、まだ気が付いていなかったが、どうやらアレックスはメアリーに恋をしているようだった。
その時、アレックスは顔を赤くしていた。
◇ ◇ ◇
一週間ほど、メアリーとフランソワは恋愛イベントを楽しんでいたらしい。
フランソワの洋服の作成イベント、王子の誕生日ケーキの作成イベントを行っていた。
気が付くと、アレックスがケーキを作っていた。
すると、メアリーはっているケーキを見つめて、驚いた声が聞こえてきた。
「へー、アレックスって裁縫とか料理が上手なのね~」
「兄弟が多かったしな、ずっと、母親の手伝いをしていたからさ~」
「凄いわ~」
「そ、そんなことはないだろ…」
「あーあ、アレックスみたいな旦那さんがいたらな~」
「な、何バカなこと言っているんだ。さあ、ケーキを持っていくぞ。フランソワも頑張って作ったんだからな!」
「はいはーい。わかってますよ~」
アレックスは顔を赤くする。その横で、メアリーは嬉しそうに笑っていた。
◇ ◇ ◇
大きな庭には、立派なテーブルが置かれて、真ん中の椅子には、アンドリュース王子が座っていた。
今日は彼の誕生日会である。
王子の周りにはメアリー、フランソワ、アレックスが座っていた。さらに、エルムの姿もあった。
「さあ、誕生日会を始めましょうか!」
メアリーの声が響き、アンドリュース王子の誕生会が始まった。
フランソワは美しい服を着ていた。
メアリーの話を聞いて、アンドリュース王子が笑っていた。
「なるほど、面白い話だな…」
フランソワも嬉しそうに笑っていた。
彼女の近くにはずっと白い犬が座っていた。
メアリーはアレックスの肩にいたキツネを抱きかかえていた。
その時、アレックスはメアリーの近くにいるドラゴンを見つめていた。ドラゴンが人間に懐いたという話は聞いたことがない。ただ、本当にドラゴンであるらしい。恐ろしいものだなと思っていた。それから、白い犬を見つめていた。その犬は、小さい頃に見た絵本の挿絵に描かれていたフェンリルを思い出させていた。冷たい目は普通の犬ではないような気がした。もしかしたら、フェンリルということがあるのだろうか…。いや、そんなことはないだろう。アレックスは顔を左右に振った。
きっと、そんなことはないだろう…。
ドラゴンとフェンリルが一緒にいるわけがない…。
そう思っていると、突然、エルムの声が聞こえた。
「あの、ぼくから提案があるんです。今度、『龍の目の衣』を探しに行きませんか?」
それを聞いて、メアリーはエルムを見つめた。
勇者の力を増幅させる「龍の目の衣」というアイテムがあった。
ただ、そのイベントはもう少し後であったような気がしてならなかった…。
何故、そのことを知って浮いるのかしら…。
そう思うと、メアリーはエルムを見つめていた。
◇ ◇ ◇
次の週、荒野の中を一台の馬車が走っていた。
馬車にはアンドリュース王子の誕生日に参加した一同が乗っていた。次第に、魔法学院の建物が小さくなっていくのを見て、アレックスは幼い頃のことを思い出していた。
アレックスは勇者の子孫であるため、祖父に連れられて勇者の力を得るために長い旅を続けていた。
しかし、アレックスは勇者の力を得ることができなかった。
それが現実だった。
努力すれば勇者になれるというのは、強い力を持つ者の考えでしかなく、アレックスには何の意味もないことだと思っていた。
だからこそ、「龍の目の衣」というアイテムには勇者の力を強める作用があると聞いて、今回のエルムの提案に飛びついてしまったのかもしれない。
夜になると、馬車は湖の近くで止まることになった。
アレックスは湖を見つめていた。
すると、メアリーがアレックスに話しかけてきた。
「私が、あなたを勇者にしてあげるわね!」
アレックスはすぐに返事ができなかった。
真っ暗な湖は静かで、ただテントのランタンが揺れていた。
「なんで、そんな話をするんだ?」
「だって、私は悪役令嬢じゃないっ!!」
「よくわからないな…」
「あなたの手助けをしたいの。だってさ、いつも予定通りになんていかないものじゃない?」
「それはそうだな…」
「そうよ。だって、私はこの世界に来たかったわけじゃないんだからさ!」
「言っていることはよくわからないけどさ…。確かに、子供のころに描いた勇者のようには生きることはできそうにない。だからと言って、その夢を諦めることもできないな。わかったよ。メアリーに頼んでみようかな…」
「任せておいてよ!!」
そう言うと、メアリーはキツネのサランとじゃれあっていた。
メアリーの姿を見て、アレックスは顔を赤くしていた。
その時、アレックスは胸の痛みに気が付いた。
その時、彼は恋をした。
メアリーを見つめて、自分がメアリーに恋をしたことに気が付いた。
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