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異変

「フランソワ、これから私と一緒に恋愛イベントに行きませんか!!」


 メアリーの声がした。



「恋愛イベントですか? 私は、恋愛のことなど考えておりません…」



 フランソワが返事をした。

 それを聞いて、メアリーは考え込むような表情を浮かべた。



「でも、あなたってモテるのね~」


「私が、ですか!?」


「大丈夫、独り言だから。聖女ってどうしてモテるのかなと思っただけよ~」



 メアリーは嬉しそうな顔をしていた。

 それを聞いて、フランソワはどぎまぎして、すぐに顔を左右に振っていた。



「私はモテたりしません…」


「あなた、恋をしたりしてるんじゃない?」



 そう尋ねると、フランソワの顔が赤くなっていた。

 とっさに顔を隠そうとした。



「きっと、アンドリュース王子が好きなのよね?」


「え、そんなことはないです…」


「いいわ、見てればわかるから…。今度、マーガレットさんに話しておいてあげる。きっと、あなたの手助けをしてくれるわ!!」



 そう言うと、メアリーはアレックスを見つめた。

 彼はまだモンスターと戦っていた。


 この第二波のモンスター進行が起きてから、フランソワは新しい聖女の力を獲得することになるはずだと思う。きっと、ゲームではそうだったはず…。いや、記憶違いだったかな…。まあ、そんなことはないと思う。聖女になる前に恋愛イベントをクリアしないと、悪役令嬢としては面白くないわよね~。そう思うと、メアリーは微笑んでいた。





  ◇  ◇  ◇





 アレックスはモンスターたちと戦っていた。


 

 大きな斧を持つミノタウロスの群れが現れ、モンスターたちの殺意に満ちた声が響き渡った。

 その光景を見た荒野の兵士たちは恐れおののいた。




「うわーーー、ミノタウロスが襲ってきたぞ~~~~~~!!!!」



 兵士たちの陣形が崩れかけていた。

 恐怖でたじろぐ者もいる。




「くそっ、こんな大群が来るなんて…」




 アレックスの声が響いた。

 英雄の子孫である彼はただ一人で剣を構えていた。




「人々を苦しめるなんて、私は絶対に許さない!!」




 アレックスは天空に剣を掲げた。

 すると、天空から聖なる光の矢が降り注いだ。



 光の矢は圧倒的な物量であった。

 広大な大地を光で埋め尽くされていき、ミノタウロスたちはその光の海の中に落ちていったようであった。




「うわ~、キレイ~~~~~」




 メアリーの声がした。



 眩い光が埋め尽くし、真っ白な光によって、半分以上のミノタウロスが消滅していった。

 兵士たちの歓喜の声が聞こえてきた。




 その歓声に応えると、アレックスはメアリーを見つめた。




「勇者の力があるみたいだ!! メアリー、後のことは僕に任せてくれ!!」


「 ああ、お願いするわ…」



 と、メアリーが返事をした。

 その後も、アレックスはミノタウロスと戦い続けていた。




 その時、この世界に異変が起きようとしていた。しかし、そのことにメアリーもフランソワも気がついていなかった。乙女ゲームが想定外のエンディングを迎えようとしているような、世界の異変が起きようとしていた。その異変は魔法学院で起きていた…。





  ◇  ◇  ◇





 魔法都市で異変が起きようとしていた。

 エルムの頭の中で、突然、青い月の女神の声が聞こえてきた。




「エルム…。聞こえますか…。今、あなたの心に直接呼びかけています。そうです、私は青い月の女神です…」


「え、女神様ですか…」



 エルムは立ち止まった。

 少年の戸惑っている声が聞こえた。



「そうです…。エルム、あなたはこの世界を救わなければなりません。そのために、私があなたの手助けをしましょう…」


「待ってください。ぼくは世界を救うとはどういうことですか!?」


「それはあなたが青い月の信者であるためです…。あなたは世界を救わなくてはなりません…」


「ああ、女神様…。いったい、何が起きているのでしょうか?」


「この世界が崩壊に向かっています…」


「崩壊ですか!?」


「その通りです。聖女と悪役令嬢、あの二人によって世界は崩壊を迎えようとしているのです…」


「ああ、なるほど…。それはわかる気がします…」


「そうでしょう。あなたは不安を抱いていたはずです。だからこそ、あなたの心に呼びかけたのです。どうか、この世界の崩壊を止めてください。そのために、私ができることをいたしましょう…」


「いったい、ぼくは何をしたらいいんですか?」


「世界で起きていることを調べてほしいのです。10年前に起きた青い月の日、あの時、この世界で何かが起きたはずなのですから…」




 それを聞いて、エルムはうなずいた。

 女神の言葉を信じて、この世界について調べる決意を固めていた。




「わかりました。ぼくがこの世界の秘密を暴いてみせます!!」




 そう言うと、エルムは立ち上がった。

 その時、教室にいる生徒たちは驚いたようにエルムの姿を見つめていた。

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