マーガレットとの会話
気が付くと、フランソワとメアリーは楽しそうにテニスの練習試合をしていた。その姿を見たら、きっと二人は仲の良い友人だと思ったことだろう。微笑ましい姿に見えていたかもしれない。
ただ、テニスの試合は死闘のように変わっていた。
彼女らは真剣な顔をしている。
激しい戦いが始まると、誰もがテニスコートから逃げだしていた。その時、フランソワは不敵に笑みを浮かべていた。その表情を見ると、メアリーは自分が高揚していることがわかった。「やっと、本気で戦うことができるわね…」そう思うと、試合は白熱していた。二人は入学式のことを忘れていたらしい。
気が付くと、夜になっていたらしい…。
◇ ◇ ◇
テニスの試合が終わると、二人の前に一人の黒髪の女性が立っていた。
小さな声が聞こえてくる。
「探しましたよ…」
その声が聞こえると、黒髪の女性が二人のほうに歩いてきた。
生徒会長のマーガレットの姿であった。
入学式で話をしていたマーガレット生徒会長は、乙女ゲームでいうと進行案内をする手助けキャラであった。同時に、彼女は仲間にもすることができるらしい。光の妖精と契約していると思ったのに、何故か彼女は闇魔法の使い手のような恰好をしていた。
「フランソワさん、探しましたよ…。あなたに入学の案内をしようとしたのですが、こんなところでテニスをしているなんて思ってもいませんでしたよ…」
「ごめんなさい…」
フランソワの声がした。
その時、メアリーが会話に入ってきた。
「ああ、マーガレットさんですよね!! 私、あなたのことが大好きなんです!!」
メアリーは愛の告白のようなことを告げていた。
その声を聞いて、マーガレットはただ冷たい目をしていた。
「ありがとう。ただ、私は、フランソワさんに用事があるんです…」
「そうですよね。わかっています…」
「ただ、メアリーさん、あなたには不思議な力を感じた気がするんです。ちょっと、後でお話はできるかしら?」
「ほんとうですか…。嬉しいです~」
「では、フランソワさん、あなたに魔法学院の説明をさせてください…」
そう言うと、マーガレットはフランソワと話をしていた。
メアリーはずっと嬉しそうに眺めていた。
◇ ◇ ◇
メアリーはフランソワとマーガレットの話をしているのを眺めていた。マーガレット生徒会長は、フランソワの進行の手助けをすることになるのだろう。そんなことを考えていると、どうしても頬が緩んでしまい、悪役令嬢であるはずなのにずっと笑みを浮かべていた。
30分ほどで、魔法学院での説明を終えたらしく、マーガレットはメアリーの方へ歩いてきた。
気が付くと、学校の周辺は暗くなっていた。
突然、マーガレットはコホコホと咳をした。そ
の度、彼女は装飾された奇麗な小瓶にある液体を飲んでいた。
マーガレット生徒会長の声がする。
「ごめんなさい。待たせてしまいましたね…」
「大丈夫です。ところで、マーガレットさん、いったい、あなたは何を飲んでいるのですか?」
メアリーはマーガレットが持つ奇麗な瓶を見つめていた。
すると、マーガレットも瓶を見つめていた。
「これですか?…。これは、私たちの家系のことです。星のしずくと言い、人間の体の中で星を作り出すのです。月の民の信徒として…。そして、光と夜をつかさどる存在になるのです…」
「星のしずく?」
「私の家系は、ずっと、星の力を管理していたのです…。その力を取り込んでいるんです…」
「へー、おしゃれ~」
「そんなことはありません。これは使命なのですから…」
「シュワシュワしたりする?」
「え…?」
「それ、ちょっと、飲ませてもらえないかしら…」
「だ、だめですよ…。これは星の民の力を持つものしか飲むことができないのです…」
「そっかー、ただ、ちょっとぐらいなら良くない?」
「苦いですよ…」
「うそっ…」
「本当です…」
「じゃあ、良いかな…。ただ、そのガラスでできた瓶をもらえないかしら?」
「まあ、そのぐらいなら…」
マーガレットはメアリーに星のしずくが入っていた空の瓶を手渡していた。
受け取ると、メアリーは喜んでいた。
「ありがとう。これで、フランソワに毒を入れた瓶を渡してみたいのよね~」
「えっ…」
「だってさ、私は悪役令嬢でしょ~」
「何を言っているんですか…」
「大丈夫、あなたには迷惑をかけないわ…」
「そうは思えませんね。フランソワさんに危害を加えるなら迷惑でしかないのですが…」
「そうよね~。冗談だから気にしないで~。ちょっと、私、浮かれてしまっているみたいなのよ~」
そう言うと、メアリーは楽しそうに笑っていた。
その時、メアリーはゲームのことを思い出していた。
やっぱり、マーガレットはフランソワ側の仲間だったんだな~と思っていた。きっと、悪役令嬢である私とは仲良くなんてならないわよねと思う。残念なことだなと思いながら、しばらくの間、メアリーはマーガレットを見つめていた。まあ、仕方がないか、と彼女は思う。
メアリーはマーガレットから貰ったキラキラしたガラスの瓶を見つめていた。
「この瓶、すごい綺麗ですね~」
「そうですか…」
マーガレットは困った顔をしていた。
すると、メアリーはマーガレットに聞いてみることにした。
「あの、マーガレットさんってあなたは星の民の関係なんですか!?」
「そうです。この国では少数ですが…」
「ねえ、星空を見てみない?」
そう言うと、メアリーはドラゴンが元の大きさに戻そうとしていた。
ドラゴンを見て、マーガレットは慌てていた。
「待ってください。メアリーさん~、ドラゴンはダメです!!」
マーガレットが困惑していた。
近くにいる学生たちが突然現れたドラゴンに驚いた顔をしていた。ただ、メアリーは何がいけないのかがわかっていない。
「だ、だめですって~!!」
マーガレットがどうにか抑えようとしていた。
その時、メアリーはドラゴンに乗ると、マーガレットの手を掴んでいた。
「大丈夫よ。さあ、行きましょう!!」
メアリーはマーガレットを連れて、ドラゴンで空に飛びあがっていた。上空まで来ると奇麗な星空が見えていた。
突然、悪役令嬢が進行役のマーガレットを夜空に誘っていた。
きっと、これは悪役令嬢の彼女なりの最大の賛辞であったのだろう。
大きな星が二人を照らす。
すると、マーガレットは嬉しそうな笑みを浮かべていた…。
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