魔力測定イベント①
メアリーは、フランソワに対して悪役令嬢として振舞っていた。その光景をアンドリュース王子は黙って見つめていた。彼は不思議な気持ちになっていた。メアリーの姿を見た時、幼い頃のことを思い出していた。青い月が照らした日のこと、彼は猫のマスクを付けた少女に出会ったことがあった。その少女とメアリーが重なって見えていた。いや、そんなことはないだろうか…。
そう思いながら、アンドリュース王子は自信満々なメアリーの姿を見つめていた。
◇ ◇ ◇
その時、魔力検査の係員の大きな声が聞こえてきた。
魔力測定の準備ができたらしい。係員が新入生たちを学内に案内しているようであった。
魔法学院の中に入ると、校内は魔力で満ちていた。
新入生たちは、3つのグループに分かれて、魔法検査を受けることになっていた。その時、メアリーは残念そうな顔をしていた。フランソワとは別のグループになってしまったらしい。まあ、仕方がないと、メアリーは係員からの指示に従うことにした。
事前に、ゼクト兄さんから魔法のことは一通り学んでいたため、メアリーは自信満々に歩いていた。そんな彼女の姿を見て、新入生たちは凄い魔法使いだと思ったかもしれない。
ただ、メアリーの魔法の力は低かった。
きっと、この部屋にいる生徒たちの中で一番低いといってもいいだろう。
メアリーは楽しそうに通路を歩いていると、同じグループにエルムがいることに気が付いた。メアリーの姿を見て、エルムは凄く嫌そうな顔をしていた。バレたかという顔をしていた。
その時、メアリーは笑みを浮かべていた。
「あれ、エルム、あなた、どうしてここにいるのよ!? 学院の生徒だったの!?」
「あ、ああ~、メアリーさんもいたんですね…」
エルムは困っていた。
いつものように、棒読みのような言葉が発せられた。
「あなたが、魔法学院にいるとは知らなかったわ…」
「やっと入ることができたんです…。一般市民は受験で上位10名しか入れないので。ただ、主席のフランソワさんには足元も及びませんが…」
「へー、フランソワってすごいのね~」
「そうですよ。ただ、アンドリュース様もいたのに、メアリーさん、どうして校庭であんなことをしたんですか? 普通なら、国外追放されるようなことですよ!!」
「え…、私、何かしたっけ!?」
「さっき、言ったじゃないですか、悪役令嬢がなんだとか…」
エルムは不満そうな顔をしていた。
それを見ると、メアリーはにやっとしていた。
「ああ、あれよね…。仕方ないの。だって、私は悪役令嬢なんですからね~」
「あの、それって流行っているんですか?」
「そうね…。流行だったりするわね…。あとは聖女とかかな~」
「一般市民のぼくにはよくわかりませんけど…」
「大丈夫、すぐにわかってくると思うから…」
「そうなんですか?」
「だって、そうでしょ。私は悪役令嬢なんですから!!」
「はあ…」
エルムは不審そうな顔をしているが、そんなことをメアリーは気にしなかった。
彼女は自信満々な顔をしていた。
「さあ、魔法の適正検定に向かいましょう!!」
◇ ◇ ◇
部屋に入ると、大きな魔力石が置いてあった。
魔力石で魔力の値を確認するらしい。
魔力石には魔力を吸収する力があるらしい。マテリアルと呼ばれる物質であり、魔力測定器としても重宝されていた。武器としては使用することもできるらしい。
メアリーの声が聞こえてきた。
「さあ、私たちも測定してみましょう!!」
エルムが歩いていく。
魔法石の前に立つと、エルムは不安そうな顔をしていた。
エルムは魔法の研究をしたいと思っていた。
憧れている人がいたから、その人を追いかけて、やっと、魔法学院に入学することができたのである。
だからこそ、自分の夢を諦めることなどできなかった。
恐る恐る、不安を抱きながら、エルムは大きな魔法石に手を当てていた。
魔法量は70が平均値であるらしい。
エルムが手を触れると、魔力が吸い取られていた。
ピピピッ
音がすると、
72
という数字が出ていた。
エルムは安堵していた。
良くもなく、悪くもない数値である。すると、メアリーの声がした。
「へぇ~、なかなかやるじゃない。じゃあ、私がやってみるね!!」
ためらいもなく、魔法石に手を触れると、
ピピピッ
10
という数値が出ていた。
あれ!? そう思った時、魔法石が粉々に壊れていた。
エルムは驚いた顔をしていた。
「あれ~、壊れちゃったわね~」
メアリーは笑っていた。ずっと、彼女はにやにやしている。
すると、担当者が慌てた顔をしていた。
「あれ、どうしたんだろ。ちょっと待ってください!!」
「あららっ、壊れちゃったわね…」
「いえ、あの…。メアリーさん、魔力石を握った時、セイヤって言いませんでした?」
と、エルムが尋ねていた。
メアリーの姿を見て、エルムはわざとだなと思っていた。
「え、聞こえちゃった?!」
「はい…」
「一度、壊してみたかったのよ。魔力の数値が高すぎたって感じでさ~」
それを聞いて、エルムは返事ができなかった。
すると、メアリーの声が聞こえた。
「じゃあ、次に行くわよ!!」
メアリーは次の部屋に向かっていた。
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