ドラゴンとの会話
寒さが体を包み込み、メアリーは震えていた。
冷え切った体を温めるため、少女はドラゴンの腹に触れてみた。思っていたよりも肌はざらざらとしていて、皮をなめしてみたら、もっとすべすべになるのだろうか…。そんなことを考えながら、ドラゴンの匂いを嗅ごうとしたその時、少女の上の方から声が聞こえてきた。
「何をしているのだ。人間…」
顔を上げると、ドラゴンの青い目がこちらをじっと見つめていた。
青い月の光が世界を満たしていた。
少女は返事をすることができなかった。
ただ、ゲームのことを考えていた。
どうやらゲームの世界に来たみたい…。そう、青い月の祭典の日だわ。ゲームではイベントが起きていた気がする。そう、あの日、青い月が照らされていた気がするわ。じゃあ、今日、イベントが起きるということよね。メアリー、落ち着くのよ。そうだ、王子様と主人公の少女が5歳の誕生日に会うことになっていたはずだわ。きっと、イベントが起きるということよ。ああ、あの映像は綺麗だったな~。
そう思うと、突然、少女はドラゴンにしがみ付いていた。
「ねえ、ドラゴンさん、私をフェンリの森まで連れて行ってくれないかしら?」
と、少女の声がした。
少女がお願いをすると、青い目のドラゴンは冷たい目で彼女を見つめていた。
「何故だ?」
「一生のお願い、私ね、このゲームの主人公のイベントに立ち会いたいのよ!!」
「ゲームだと?」
「そうなのよ!! 今日、主人公のフランソワちゃんと国王の第一王子、イーサ・ブレッド・アンドリューズが出会う日に違いないのよ!!」
「ふーん、ただ、お前に何の関係があるというのだ!?」
「主人公の応援をしたいの!! それに、ちゃんと悪役令嬢をまっとうしたいのよ…」
「悪役令嬢? 主人公? それは何だ!? 人間のことは詳しいことがわからない。だから、オレには興味がないことだ…」
「じゃあ、私のお願いを聞いてくれないの?」
「そんな義理もない…」
「へー、そんなことを言うんだ。あのね、ドラゴンさん、私さ…。あなたがどうしてこの場所に来ていたか知っているんですけど。それをみんなに言ってもいいのかしら~?」
「な、何だと!?」
「ふふふっ、私は全てを知っているの。あなたと青い月の関係もね。まあ、この祭りにいる人に全てをばらしてもいいんだけどな~」
「そんなことをされては困る…」
「わかってくれたようね。じゃあ、私をサンタマリア魔法学院の近くにあるフェンリの森まで連れて行ってくださらない?」
「ぐぬぬぬっ…」
「さあ、早くいきましょう!!!」
メアリーの指示に従い、夜空の中をドラゴンが飛んでいた。
雲一つない青い空であった。
サンタマリア魔法学院~テニスのプリンスを追いかけて~(メアリーの考えているゲームタイトル)の主人公のイベントを見るため、メアリーはフェンリの森に行くことにしたのである。
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