入学イベント
魔法学院の入学式はまるで魔法の祭典のようであった。きらびやかな魔法が学院を装飾していき、新入生たちを歓迎していた。会場に着くと、壇上にはアレックスが立っていた。
アレックスの歓迎の言葉が聞こえてきた。
彼の言葉を聞くと、多くの生徒たちが感動の涙を流していた。
ただ、メアリーだけは不満そうな顔をしていた。自信満々な姿で演説をしているアレックスの姿を見ると、どうしても昨日のおとなしい彼の姿が頭に浮かんでしまっていた。ただ、ゲームの中ではこんな感じだった気がするわねと思い、今度、アレックスに詳しいことを聞いてみようかしら、とメアリーは考えていた。
アレックスの話が終わると、次に一人の女生徒が壇上に上がっていた。
その姿を見て、メアリーはびっくりしていた。
メアリーの叫び声がした。
「マーガレット様、キターーーーーーーー!!」
メアリーだけが興奮していた。
そこには乙女ゲームに出てくる生徒会長のマーガレットが立っていた。
「いつも、ゲームではアドバイスをもらっていました~。本当に感謝しかないです~~!!」
メアリーの感動した声が聞こえた。
乙女ゲームでマーガレットは多くのアドバイスをしてくれ、進行を手助けしてくれる存在だった。
そのマーガレットが、颯爽と壇上の前に歩いてきていた。
乙女ゲームのように、彼女は新入生たちに魔法学院での注意事項を告げていた。
その声を聞いて、メアリーは涙をぬぐった。
マーガレットを見つめると、賛辞の声を上げ、ずっと、メアリーだけが拍手を続けていた。
話が終わると、アレックスの声が聞こえてきた。
しばらくの間、アレックスとマーガレットが話をしていた。
「マーガレット君、いつもありがとう。君の説明は本当に素晴らしいな…」
「ああ、アレックス様…。そのようなお言葉をいただけて、私の心は本当に喜びで満ち溢れています!!」
「君の存在は私の心に安らぎを与えてくれる。君には感謝の言葉しか思い浮かばないよ…」
「ああ、嬉しいです。素敵なお言葉をいただけるなんて…」
「いや、素敵なのは君の方だよ」
「ありがとうございます。アレックス様のお役に立てて何よりです。では、これで私は失礼いたします…」
マーガレットが壇上から降りると、生徒たちからの拍手が聞こえてきた。
最後に、アレックスは生徒たちに声をかけた。
「生徒諸君!! 現在、私は魔族たちの第2波の襲撃の準備をしている。君たちを守るという宿命を受け、私の心は喜びに打ちひしがれている!! だからこそ、君たちに願うことがある。それは魔法学院でたくさんのことを学び、ぼくの手助けをしてほしいんだ!!」
まるで演技のようだった。
その声を聞き、生徒たちの歓声が聞こえてきた。
そうして魔法学院の新入生の歓迎会が終わったらしい。
その時、メアリーは真剣な顔をしていた。
「本当に凄いわ…。私も、悪役令嬢を全うしなくてはいけないわね!!」
メアリーはそう誓っていた。
◇ ◇ ◇
魔法学院のイベントを見て、すっかり、メアリーは浮かれた気持ちになっていた。やっぱり、イベントって最高だわ~。そう思いながら、メアリーは新入生たちの中を歩きていき、フランソワの姿を探してみることにした。
やっぱり、主人公がいないと物語は始まらないわよね~と思っていた。
すると、白い犬が彼女の方に走ってきた。
「あら~、かわいいワンちゃんですね~」
「何を言っているんだ? オレはお前の従魔であるフェンリルだぞ!!」
白い犬が返事をした。
「ああ、フェンリルだったの~。じゃあ、ここにフランソワもいるのね?」
「もちろんだ。ただ、あいつは人見知りだからな。隠れているが…。ただ、私がいなくなったから、きっと、探しに来るだろうさ…」
「へぇ~、仲良くやってるみたいね~」
「べ、別に、仲良くなんてない。従魔として、お前の指示に従っているだけ、フランソワのことはただの友人ぐらいにしか思っていないからな!!」
「友達なんだね~」
「ま、まあな…。お前に指示されて一緒に住んでいるのだから、ある程度のことはしてやらないとな…」
そんな話をしていると、金髪の長い髪の少女がこちらに走ってきた。
すぐに、フランソワだと分かった。透明な肌、サファイアのような目が少し潤んでいるかのようだった。
フランソワは泣きそうな顔をしていた。
彼女は白い犬を探していた。
「フェルちゃん、どこに行ったの~!!」
フランソワの大きな声が聞こえてきた。
ワンワンワンッ、その声を聞き、フェンリルである白い犬が彼女の近くに戻ってきた。
「もう、びっくりしたじゃない…」
そう言うと、フランソワが白い犬を抱きしめていた。
彼女は泣きだしていた。
白い犬が彼女の涙をぬぐっていた。その姿を見ると、メアリーは笑みを浮かべていた。
メアリーの姿を見て、フランソワの声がした。
「もしかして、ザックの友人の方ですか?」
「そう。よくわかったわね…。そして、今日からは悪役令嬢になるのよ~。だからね、あなたに伝えなくてはならないことがあるわ。こんなところで泣いていたら、魔法学院での生活なんてやってられないわよ!!」
そう言うと、メアリーはにやにやと笑った。これぞ、悪役令嬢という顔をしていた。
メアリーは自分の役割を全うした気持ちになっていた。
その時、生徒たちから歓声が聞こえてきた。
ふと視線を向けると、魔法国の第一王子のアンドリュースがそこに立っていた。
◇ ◇ ◇
新入生たちの歓声が収まると、アンドリュース王子の声が聞こえてきた。
フランソワに語りかけていた。
「フランソワ、いったいどうしたんだ?」
「何でもありません…」
フランソワの声が返事をした。
それを聞いて、アンドリュースが歩いてきた。
彼は煌びやかな装飾が付いた貴族の服を着ていた。
整えられた髪まで美しかった。
気が付くと、二人は見つめあっていた。
「あららら~、思ったよりも、仲良くなってるじゃない~」
メアリーの声がした。
その声を聞くと、アンドリュース王子がメアリーを見つめていた。
「お前、どこかで見たことがある気がするな…」
「ふっふっふっ、私ですよね…。そう、私は、この世界の悪役令嬢になる女なんです。アッハッハッハ~」
メアリーの言葉を聞き、近くにいるたくさんの生徒たちが少し距離を取ろうとしていた。
きっと、彼女をただの変な人だと思ったのだろう。
「そして、悪役令嬢として、あなたたちの邪魔をさせてもらおうかしら!!」
そう言うと、メアリーは二人の間に入り込もうとしていた。その姿を見て、たくさんの生徒はこの女性はすぐにでも国外追放されるつもりなのかな…、と思っていた。生徒たちは真っ青な顔をしてメアリーの姿を見つめていた。ただ、メアリーだけが嬉しそうに笑っていた…。




