魔法訓練場へ行こう!!
食事を終えると、メアリーはアレックスの肩にいた狐をもふもふしていた。アレックスはそのことを気にしつつも、自分の立場をどうにかしなくてはならないと考えていた。
アレックスは椅子から立ち上がり、剣を天井に向けて掲げた。
会議室には彼の声が響いていた。
「わかりました。モンスター討伐に向かいましょう!!」
「おお!!」
会議室は拍手で満たされた。
勇者の子孫であるアレックスの決意に、皆が期待を寄せていた。
「ただ、メアリーのことです。彼女はまだ魔法学院に入ったばかりと聞きました。しばらくの間、彼女に訓練をして、私のサポートができるようにしたいのですが、いかがでしょうか?」
「それは君に任せよう…」
「あ、ありがとうございます!!」
アレックスが礼をすると、隣ではメアリーが狐とじゃれあっていた。
老人の声が響き、会議は終了した。
「では、今日の会議はこれで終わりにしようじゃないか…」
◇ ◇ ◇
会議が終わると、アレックスは荒れていた。ガンガンとゴミ箱をけり、壊れたごみ箱は魔法の力で元の形に戻っていた。
「くそっ、くそっ、くそっ、どうしてこうなった!! ああ、どうしてこうなったんだ!!」
「アレックス、何そんなに怒っているの?」
メアリーが尋ねた。
それを聞いて、アレックスは不満そうにメアリーを見つめた。
「何を言っているんだ。君のせいじゃないか…。何もわかってないとは言わせないぞ。何の能力もないぼくが魔人退治に行くと言ったんだ。君が勇者になるのは良いと思う。ただ、ぼくがなりたいのは英雄なんだ。政治や行政に関わって、この国を良くしたいと思っていたのに…。あー、どうしてこんなことになったんだろう…」
ふにゃふにゃとアレックスは倒れ込んでしまった。
彼は小さな声で呟いた。
「ふふふっ、ぼくの人生は終わりだ…。英雄になれると言われて、ずっと、子供の頃から尊敬のまなざしを受け、誰からも信頼される人間に慣れていたというのに。はっきり言って、人間が魔人なんかに勝てるわけがないんだよ…。もう、ぼくはダメだ。どうしようもなくなってしまったんだ…」
「そんなに気にすることじゃないと思うわ。あれ、そう言えば、魔人が魔法学院と戦争をするとか言ってたのを聞いた気がするわね。まあ、そんなこと悩んでも仕方ないけどさ」
「え、うん? 何か言った?」
「どうしたの?」
「いま、魔法学院と魔人が戦争をすると言わなかった?」
「この前、魔人がそんなことを言ってたのよね~」
「ああ、そうか。なるほど。では、ぼくはもうこの魔法学院から出ていこうと思う。それが良いな。もう実家に帰ろう。三男だから許してくれるかわからないけど。もうここにいられない。君にはお世話になったね。じゃあ、ぼくはこれで…」
「待って。どこに行くの?」
「放せ。なんだ。この馬鹿力は。放せ。話すんだ」
「嫌よ、魔法の訓練をしてくれるんでしょ?」
「何を言っているだ。訓練だと。じゃあ、一緒に来たそこにいる男に教えてもらえばいいじゃないか!!」
「ああ、そうね。エルム、あなたも来なさい!!」
「え、ぼくは嫌だよ。闇の精霊を探しに行きたいって…」
「じゃあ、今度、私が海の町へ連れて行ってあげるわ!!」
「さあ、練習場に向かいましょう!!!!」
エルムの目がパチクリしていた。
メアリーがエルムの体を持ち上げると、魔法の訓練場に向かうことにした。
「どうして、ぼくまで付いて行かなくちゃならないんですか? いやです。辞めて。やめてよ~」
エルムは泣きそうな顔をしていた。
それを見ると、メアリーはニヤニヤしていた。
「なんだか、楽しくなってきたわね!!」
メアリーは声を掛けた。
しかし、誰も返事をすることはなかった。
◇ ◇ ◇
真っ白な空間に、メアリー、アレックス、エルムが立っていた。
魔法学院の訓練場である。
「うわー、誰もいないやー。きっと、みんな、海の町へ闇の精霊を探しに行ったんだろーなー、ぼくも行きたいなー」
エルムが棒読みで言った。ちらっちらっとメアリーの方を見ながら。
しかし、メアリーは闇の精霊に興味がないようであった。
「誰もいないから、本気を出してもいいかもしれないわね」
メアリーの声がした。
諦めたのか、エルムは悲しそうな顔をしていた。
その時、アレックスが問いかけた。
「ふー、仕方がない。君は剣が使えるのかね? できるならぼくが相手をしてあげるよ」
「剣なんて持ったこともないわ…」
「じゃあ、槍か?」
「それもない」
「え、弓なの?」
「全然、弓なんて触ったこともないわ」
「特殊武器なのか?」
「違う」
「うーん、どういうこと?」
アレックスは困惑していた。
すると、メアリーは自信満々に返事をした。
「私の武器は拳よ!!」
「え!?」
「こ・ぶ・し」
「うん!?」
「こ・の・こ・ぶ・し」
「……」
アレックスは項垂れていた。
地面に手を付ける。
終わったという格好をしたまま、まったく動かなくなってしまっていた。
「ふははははっ、ふふ、ふははははっ…、もう、終わりだ…」
アレックスは呟いた。
その横でメアリーは鎧の人形の前に立っていた。
「これを殴ればいいんでしょ?」
「え、ああ、そうだけど…」
「じゃあ、私の本気を見せてあげるね!」
ズバァアアアーーーーーーーーーーーーーーーン!!
メアリーが腕を振り下ろすと、魔法学院の練習場には直径100メートル程の丸い穴が開いていた。
気が付くと、たくさんのマモラナイトが彼らの方に集まってきていた。
「やっば、やりすぎちゃったみたい…」
メアリーの声が聞こえてきた。
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