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魔法学院のトップ会に参加しよう

 魔法学院にはたくさんの建物が並んでいた。エルムはその一つ一つを丁寧に説明していた。


 すると、メアリーの声がした。


「ねえ、聞きたいことがあるんだけど、家にある青い月の紋章みたいなのは何なのかしら?」

「知らないんですか?」

「わからないわ、何だかきれいだなと思ってさぁ~」


「あれは青い月の信徒の証です。この国の少数の人々が青い月の信徒で、その証を掲げているんですよ。ぼくも青い月の信徒なんです。そのせいで、ぼくのことを馬鹿にしてるけど…」

「へぇー、そうなんだ~」

「あまり興味がないみたいですね…。まあ、良いですけど…」


「そんなことはないわよ~」

「まあ、いいです。次の建物の話をしましょう」

「いろいろな建物があるのね~」

「この先に見えるのが、魔法練習場です。強い魔力で防御されているので、壊れないようになっています。以前、勇者様が練習場を壊してしまったことがあるみたいですけど、それ以降、あの建物が壊れたことはありません」



 数時間、エルムは魔法都市の案内を続けていた。

 すると、メアリーは立ち止まった。


 歩いていたので、彼女は疲れた顔をしている。



「エルム、疲れたわ。もう結構、歩いているわよ…」

「そうですね…」


「そう言えば、あなたはアレックスって肩に狐を乗せた子を知らない?」

「英雄様のことですか?」


「もう、英雄って呼ばれてるの!?」

「そうですね。知らないなら、後で英雄様のことを説明しますよ…」


「ありがとう。ただ、どこかで食事をしましょうよ~」

「ああ、わかりました…」



 二人は食堂を探していた。だが、どの店も開いていなかった。

 「CLOSE」の札がぶら下がっていた。



「閉まっていますね…」

「あ~、おなかすいた~~~~」


「そう言えば、今日、学院のトップ会があって、会食があるから、今日は食堂が休みという話を聞いた気がします」

「トップ会というのがあるのね。じゃあ、そこに行きましょうよ!!」


「ま…、待ってください…。トップ会ですよ。ぼくたちが行けるような場所ではないと思います」

「大丈夫よ。私はただお腹が空いているだけだしさ」


「そうだ。手作りですけど、これでよかったら食べますか?」

「だめ、トップ会の食事を食べに行きましょう!!」


「え、待ってくださいよ~」



 エルムの困った声がした。




◇  ◇  ◇




 エルムに案内されて、メアリーは魔法学院の学長棟の大きな会議室に向かった。

 メアリーの楽しそうな声が聞こえた。



「料理もあるはずよね~」

「本当に何があっても知りませんからね…」


「大丈夫よ。変なことをしようと思っているわけじゃないから~」

「ずっと、おかしなことしか言ってませんよ…、ああ、この部屋です。後のことはお任せします。ぼくは海の町にいるという闇の精霊を捜しに行くので…」



 エルムがそう言うと、突然、メアリーは会議室のドアを開けた。

 会議室にいる人たちがこちらを見つめていた。



「うわ~、なんてことをするんですか~~~~~!!!」



 エルムの叫び声が聞こえた。




◇  ◇  ◇




 気が付くと、会議室の中でメアリーはガツガツと料理を食べていた。

 その横に縮こまっているエルムの姿があった。


 どうしてこんなことになったのか。エルムは自分に問いかけた。そうだ、ちょっと前、メアリーが会議室の扉を開けた時のことである。

 その時、一人の少年が立ち上がった。



 英雄、アレックスである。



「あれ、アレックスじゃない。元気してた~」



 メアリーは手を振った。

 それを見ると、アレックスは一歩後ずさった。



「アレックス君、彼女のことはご存じなのかな?」



 老人の声がした。


「いえ、知りません。衛兵、こんなところに知らない人間を入れるなんて警備はどうなっているんだ!!」

「待って、小さい頃、一緒に冒険に行こうって言ったじゃないの!!」


「そんなこと覚えてない。さあ、衛兵、彼女たちをこの部屋から出すんだ!!」



 衛兵がメアリーの手を掴もうとした。

 その時、別の老人の声がした。


「待ってくださいな。この女性は幼い頃、勇者の資格を手にしていた子だと思います。きっと、この子の力は役に立つはずです…」



 それを聞いて、別の老人が訊ねた。



「おぬし、勇者だったのか?」

「え…。あー、そんなこと言われたわね。ただ、私は勇者になんてならないわよ。だって、悪役令嬢ですからね~」



 メアリーは困ったような顔をしていた。




◇  ◇  ◇




 どうしてこんなところに来てしまったのだろうか…、とエルムは思い、不安な気持ちを抱きながら、端っこの椅子に座っていた。その横ではメアリーが食事をしていた。



「ゴホン、ところで、メアリー君、君に聞きたいことがあるのだが、本当に君は勇者の資格を持っているのかね?」


 

 しかし、メアリーは返事をしなかった。

 ただ、食事を続けていた。



「あの、メアリー君、私の声が聞こえているかね? あれ、ワシの声、聞こえない? メアリー君、あの、ちょっと聞きたいんだけど…」



 老人が困った顔をしていると、会議室がざわざわしてきた。

 アレックスがメアリーの場所にやってきた。



「食べてないで返事をするんだ!!」



 アレックスはメアリーの食事をしている腕をつかんだ。

 すると、メアリーは笑っていた。



「あー、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたみたい…」

「嘘だ。ご飯を食べていただけだろ!!」


「あー、そう見えてたんですね。ただ、わたしは考えていたんです。世界の問題について…」

「嘘を付け、そんなことあるものか!!」



 

 アレックスがどんと机をたたいた。

 それを見て、メアリーは不満そうな顔をしていた。


 すると、老人の声がした。




「アレックス君、まあ、待ちなさい。では、メアリー君、私の質問に答えてくれるかな?」



 老人の声を聞くと、メアリーは立ち上がった。

 メアリーの大きな声がした。



「はい、お答えいたします!!」

「ほう、良い返事だ」


「子供の頃、アレックスと二人で誓い合ったのです。魔法学院に入って、アレックスは英雄に、私は勇者になると。それを宣言しに来ました!!」



 メアリーは適当なことを言った。

 それを聞いて、老人がアレックスに問いかけた。



「それは確かかね? アレックス君?」

「小さい頃、そのような話をした覚えはございます…。ただ、彼女は適当なことを…」



 アレックスが続きを話そうとすると、突然、会議室では大歓声が起きていた。

 歓声を聞いて、アレックスがどぎまぎしていた。



「うおぉぉぉぉ~、アレックスがモンスターたちとの戦いに参加すると言ってくれたぞ~!」

「いや、ちょっと、待ってください…」



 アレックスが担ぎ上げられた。

 会議室の中はとても楽しそうな様子になっていた。




「「「「「わっしょい!! わっしょい!!」」」」




 その時、アレックスの叫び声が聞こえてきた。




「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!! (言葉にならない叫び声)」

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