海辺を歩く
メアリーは広大な海原を見つめていた。
無数の船が浮かび、心が浮き立ち、彼女は海辺を歩いてみることにした。海辺では子供たちが魚を焼いており、焦げた煙と焼けた魚の香りが漂っていた。
「あー、お腹すいたわ~」とメアリーが大きな声を上げた。
「そうですね…」とシノブが返事をする。
列車の中から、フランソワがメアリーの姿を見ているのに気づいた。
メアリーが手を振る。
すると、フランソワは慌てて列車の中に消えてしまった。
「あの方、ご存じなのですか?」
シノブが尋ねた。
「もちろん、小さい頃から知っているわ。魔法学院ではライバルになる予定なのよ?」
メアリーが答えた。
「魔法学院ですか…。私も今日から行く予定なんです…。ただ、不安で…」
シノブが小さな声で言った。
ふと、メアリーはクサナギ一族のことを思い出した。
「ああ、あなたってクサナギ一族ですものね~。大変よね~」
「え、私たちのこと知っているんですか…」
シノブは驚いた顔をして、メアリーを見つめていた。
メアリーは当然だという顔をしていた。
「もちろんよ、青い月の民のアーティファクトの管理をしているんじゃなかったっけ?」
「何故、そのことを…」
「ああ、これって秘密だったっけ? 大丈夫。誰にも話さないからさ~」
メアリーが笑顔で答えた。
「はあ…」
シノブは不安そうな顔をしていた。
そんな話をしていると、列車からトラ猫が出てきて、魚を焼いている子供たちの近くでにゃーにゃーと鳴き始めた。どうやら焼いている魚を食べたいらしい。それを見て、メアリーはくすくすと笑った。
「ああ、やっぱり猫なのね~」
「クロウ様はご飯食べたばかりなんですけど…」
「良いわよ。私、猫が好きで、ずっと前に家で飼っていたような気がするのよね~」
「そうなんですね」
「私ね、海も懐かしい気がする。何もかも、私の記憶の中にありそうなのよ~」
メアリーは大きく手を広げながら砂浜を歩いていた。
すると、男たちが相撲大会をしていた。メアリーたちは男たちが腕相撲をしているのを眺めていた。
「ねえ、そこのねえちゃん、そんなところにいたら危ないよ…。これから大事な試合があるんだ…」
「ふーんそうなんだ…」
司会の男は次の対戦者を告げていた。
観客から歓声が上がる。それを聞いて、メアリーが手を振っていた。
その時、一人の男が割り込んできた。
「おいおい、お客さん、割り込みはダメだぜ…」
司会者の男がその男の肩を掴もうとしたが、逆に、吹き飛ばされてしまった。
その男は、魔人の姿に変わっていく。
観客たちの叫び声が響き渡る中、魔人の男がメアリーに対して声を掛けていた。
「初めまして。私はベルゼブブ様の配下のアルタロスと申します。あなたを殺すため、魔法学院にやって来たのです。どうか、手間をかけるようなことはしないでもらいたい」
そう言うと、アルタロスは炎の魔法を唱えた。
メアリーが吹き飛ばされ、観客たちが一斉に逃げ出そうとしていた。
「魔人だ。魔人が出たぞ~!!」
人々の声が響く中、メアリーは炎の魔法を受けていた。
ただ、効果はないようである。
「どうやら効かないようですね…。それでは、とっておきの闇魔法を使うしかなさそうですね!!」
アルタロスは辺りに闇の鎖を呼び出して、メアリーの体にまとわりつかせた。
ずっと、アルタロスは笑った。
「その鎖からは逃げられませんよ。あなたは闇の力によってすべてを失われてしまうのです。もしかしたら、あなたが魔族になってしまうかもしれませんけどね」
しかし、段々、アルタロスの顔は恐怖に満ちたものに変わっていく。
闇の鎖に覆われたメアリーの右腕が異様に大きくなっていた。
まるで巨人の手のようである。
しばらくして、メアリーの声が聞こえてきた。
「あのね、私はね…。いま、懐かしい気持ちに浸っていたの…。邪魔しないでくれませんかね…」
「なんだ、その異形な体は。お前はどんな魔法を使っているんだ!!」
真っ黒い大きな右手がアルタロスを掴んでいた。
彼は困惑していた。
「放せ!! この力は人間のものではないな。いったい、どうしてこんなものをお前が持っているんだ!!」
その時、アルタロスは体をつぶされ、右腕の中で粉々になった。
真っ黒い衣を纏ったメアリーは街の中に消えていった。
すると、メアリーは座り込んでいた。
「大丈夫ですか?」
シノブの声が聞こえてくる。
「へーきへーき、ちょっと頭に血がのぼっちゃったみたい…」
「ちょっと休みますか…」
「ダメダメ、こんなことをしてたら列車でのイベントに遅れちゃうわ!! さあ、列車に戻りましょ!!!!」
メアリーとシノブは列車に向かっていく。
その後ろから、黒いマントを羽織った集団が列車に乗り込もうとしていた。
列車で何かが起きようとしていた。
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