青い月の祭典
「あなたのせい、そう、あなたのせいでこんなことになったの。もう、あなたなんていなくなってしまえばいいのよ!!」
その言葉を聞いて、少女は走り出していた。
それは青い月と星の祭典の夜であった。たくさんの人々が空を見上げていた。青い月が大地を照らすと、夜も更けて、祭りも終わりを迎えようとしていた。太陽を信仰している人々は幸せに満ちた顔をしていた。
彼らは何も知らないだけ…。そう思い、少女は不満を抱いていた。
彼女の名前はメアリー。このゲームの悪役令嬢である。
人々の隙間を通り抜け、ずっと、少女は泣きそうな顔をしていた。突然、誰かにドンと押されて冷たい湖の中に落ちてしまった。ただ、誰も気が付かない。びっくりして、少女は水の中でもがいていた。ただ、5歳の少女には水の中で抗うことなどできるはずがなかった。
湖の中に落ちていく…。
その間、湖の中から青い空を見つめていた。
湖も、空も、月の光でさえ、青色で満たされて、世界が1つになったような気がしていた。
突然、真っ青なディスプレイを見つめているような気がした。
画面の前には、一人の女性がいた。
ぐしゃぐしゃな髪の毛で、真剣にゲームをしている女性がそこにいた。
その光景が頭の中に入り込んできた。
ああ、あれは私だ。きっと、いま夢の中にいるんだ…。と、少女は思っていた。
その時、少女の意識は途切れてしまったらしい…。
◇ ◇ ◇
ズキンズキンと頭が痛くて、メアリーは目を覚ましていた。
彼女は湖のほとりにいた。
どうやら湖から出ることができたらしい。
ただ、体はとても冷たかった。
まだ、私は息をしている…。
咳と一緒に、冷たい水が吐き出された。
ふと、顔を上げると、少女の横にドラゴンが眠っていた。
ドラゴンは大きな体をしており、身長は10メートルほどの大きさがある。人間よりはずっと大きいようだが、ドラゴンとしてはまだ若いドラゴンということになるらしい。ドラゴンは少女を温めるように丸めていた。
「さあ、起きなさい。私もじっとはしていられないのだよ……」
と、ドラゴンの声がした。
メアリーは着ているドレスが冷たいことに気が付いていた。
彼女の体はずっと震えていた。
それを抑えることができなかった。
まだ、私は生きているのだろうか…。頭の中では前世の記憶のようなものが入り込んできており、メアリーは混乱してガタガタと震えだしていた。
いったい、私は誰なのか。きっと、メアリー・ステュワートと呼ばれているゲームに出てきた悪役令嬢であると思う。テニスのシナリオを進めると、たまに出てくることがあるモブキャラであると思う。きっと、私ぐらいしか知らないキャラだとは思うけど…。ああ、どうやら、ゲームの世界に来てしまったらしい。
その時、彼女は気が付いた。
ゲームの世界、あの『サンタマリア魔法学院~テニスのプリンスを追いかけて~』の悪役令嬢になっていることに…。
きっと、そんなゲーム名前であったと思う、と思いながら…。
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