トラ猫のクーちゃん
列車に乗り込むと、フランソワがお辞儀をしてメアリーの姿を見つめた。
フランソワは嬉しそうな顔をしている。
「先ほどは助けていただき、ありがとうございました!!」
「良いのよ~。フランソワちゃんに何事もなくてよかったわ~」
「あの、私のことをご存じなのですか?」
「もちろん、知っているわよ!!」
「ただ、私にはわからなくて、その猫のマスクを外してもらえないでしょうか?」
「ダメダメ、秘密だから。また出会ったらゆっくり話をしましょう。だって、私たちはライバルなんだから!!」
「え、そうなんですね…。わかりました…」
「じゃあね。また、魔法学院で会いましょう~~~~」
そう言うと、メアリーは自分の席がある車両へと歩き出した。
ゆっくりと個室のドアを開ける。
◇ ◇ ◇
列車の部屋は個室になっており、ドアを開けると向かい合わせの座席が置いてあった。
そして、メアリーの席にはトラ猫が腹を出して眠っていた。
トラ猫の大きないびきが響いていた。
ぐーすぴーぐーすぴーという音が聞こえてきた。
窓が開いていて、猫の白い毛がふわふわと揺れていた。
少女の声が聞こえてきた。
「すみません。いま、クーちゃんが寝ていまして…」
少女は頭を下げた。
「良いわよ。私、動物が好きだしさ~」
メアリーは猫の横に座ると、もふもふと猫の腹を触った。
柔らかくて気持ちがいいと思った。
すると、トラ猫の声がした。
「うーん、海の匂いがするな。もう魚は食べられないよ~」
メアリーは猫をまじまじと見つめた。
「かわいい猫ね。ちょっと、いいかしら…」
そう言いながら、メアリーは猫の腹部を触った。
その時、トラ猫は目を覚ましていた。
トラ猫はびっくりして飛び上がった。
「お前は誰じゃ!? 何を触っておるのじゃ!!」
トラ猫の怒った声が響いた。
「グへへへ……」
しかし、メアリーはその言葉を聞いていなかった。
トラ猫を離すつもりがないらしい。
「や、止めろにゃ…。さ、触るな……」
「別に、良いじゃないの~。減るものじゃないんだしさ、グヘヘヘ……」
メアリーは自分勝手なことを言った。
「待て、待つのじゃ、お主、ワシが誰だか知っているのか、ワシはクサナギ一族の者だぞ…、おい、おい、止めろにゃ…。見知らぬ者が、ワシの腹を触られることなど許してはおらぬぞ!」
トラ猫は怒っていた。
ゴロゴロゴロと威嚇の声を発していた。
しかし、メアリーは猫を撫で続けた。
強い力であり、トラ猫のクーちゃんはその力を解くことができそうになかった。
トラ猫はメアリーの腕の中で必死にもがいている。
「くそっ、こやつ、どうしてこんなに力が強いのじゃ。まて! 止めろ! そこは触るな! 違う。そこじゃない……うわぁぁぁぁぁぁぁ……」
トラ猫の声が聞こえた。泣いているのか、笑っているのか、わからないような声だった。身もだえているとでもいうのだろうか。両足がヒクヒクと動いている。
すると、少女の声が聞こえた。
「もう、止めて! クーちゃんに変なことをしないでください!!」
少女は泣きそうな顔をしていた。
その顔を見て、メアリーは猫を離すことにした。
「ごめんなさい。可愛くて。つい、我を忘れてしまったわ……」
メアリーは謝罪した。
「いいえ、大丈夫です………」
少女が笑顔で応対した。
しかし、トラ猫のクーちゃんは不満げである。
「待て待て、シノブ! 従魔のワシが、こんな目にあっているんじゃぞ! 許されていいのか! お主にはタチバナを追いかける強い意志が必要なんじゃぞ。こんな弱弱しいことじゃ、クサナギ家の復興の願いを叶えることなどできんぞ!!」
どうやら、髪の短い少女はシノブというらしい。
トラ猫の怒った声を聞くと、シノブは落ち込んだ顔をしていた。
「まったく、クサナギ一族も衰えてしまったものじゃわい……」
猫はあぐらをかいて、シノブの姿を見つめていた。
隣にいる男の声が聞こえた。
「まあ、待ってください。クロウ様もそんなにお怒りにならないでください…。シノブはまだまだ若いのです。ただ、能力だけなら今までの党首にだって負けはしません。私と二人で魔法学院に行ったらゆっくりと育てていけばいいじゃないですか…」
「ヒカゲ、お前はシノブに甘すぎるんじゃよ……」
トラ猫が不満を口にする。
「ちょっと、待って!! あなたたちって忍者の人たちなの!? うわー、ガチでレアな人たちに出会ったわ~~~~~!!!」
「こやつ、何を言っているんじゃ!?」
メアリーはシノブをじろじろと見つめた。
シノブは困惑していた。
「あなたがシノブちゃんなのね~。元気そうでよかったわ。ただ、体調には気を付けてね~」
「え、体調ですか?」
「そうよ。ホント、気を付けてね~」
「はい、気を付けます…」
「何かあったら、私が助けてあげるからね~」
それを聞いて、メアリーは嬉しそうに笑った。
ただ、トラ猫は困惑していた。
その時、メアリーの大きな声が響いた。
「ただ、あなたたちもサンタマリア魔法学院に行くんでしょ!? 私もこれから魔法学院に行くつもりなのよ!!」
メアリーの声を聞くと、トラ猫は不満そうな顔をした。
「こんな奴も、魔法学院に行く時代になったんだな…」
トラ猫の声がした。
その時、列車は大きな海のある街の駅に近づいてきた。
海が見えてくる。
前世では何度も見たことがあるが、このゲームの世界では初めてだった。
「うわー! 凄いきれい~!!!」
海にはたくさんの船が浮かんでいた。
広大な海を目の前にして、メアリーは前世の懐かしい記憶を思い出しそうな気がした。
「しばらく列車は停まるみたいですね…」
シノブの声がした。
それを聞いて、メアリーはシノブの手を掴んでいた。
「じゃあ、シノブちゃん、一緒に海を見に行きましょう!!!」
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