ヒナタちゃん
メアリーは兄のゼクトの部屋のドアを叩いた。
ドンドンドン、ドンドンドン。
何度となく、ドアを叩いていると、部屋の中から足音が聞こえてきた。
部屋から兄のゼクトの声が聞こえてきた。
「うるさいな〜。今何時だと思っているんだよ……」
寝ぼけた声が聞こえてきた。
ゼクトの声だ。
「兄さま、何言っているのですか。もう昼が近づいていますよ。さあ、早くドアを開けて!」
「いったい何があったんだ。さっき寝たばかりだというのに……」
ゼクトは寝ぼけた声で答えた。
ドアが開くと、メアリーは勢いよく部屋に入ってきた。
メアリーはベッドの上に立ち、
「兄さま、私、リザードマンを捕まえてきたの!」
と、大声で叫んだ。
ゼクトは水差しを持ってコップに水を注ぎながら、椅子に座っていた。
「早かったな。リザードマンがどんな状態か見せてくれないか?」
「ええ、わかったわ!!」
メアリーは魔法収納袋を机に置くと、その中からリザードマンを取り出した。
ゼクトは釣った魚を見るようにリザードマンを見つめた。
「おお、これは大物だな!」
「驚いた? へへへ、すごいでしょ~」
「いったい、何体のリザードマンを捕まえたんだ?」
「20くらいかな…」
「それは凄いな。じゃあ、その収納袋をここに置いておいてくれ。オレの魔法を使って、服を仕立てるための準備をしておいてやる。ただ、肉と骨はオレが貰うぞ。研究に必要なんだよ」
「わかったわ。じゃあ、リザードマンを出さないといけないわね…」
「大丈夫だ。オレの収納袋を持っていけ!」
「えっ、いいの?」
「今度は、スリープシープを捕まえてくるんだろ?」
「もちろん。そのつもりよ」
収納袋を受け取ると、メアリーは屋敷を出て、再びザイール村に向かうことにした。
次に、スリープシープを捕まえるのである。
◇ ◇ ◇
また、メアリーはザイール村に向かっていた。村にはザックの姿があって、戻ってきたメアリーを見つめて驚いた顔をしていた。
「さあ、ザック、次の冒険に出かけるわよ!」
メアリーの大きな声がした。
メアリーはドラゴンの服を作るためにリザードマンの皮とスリープシープの毛を確保しようとしていたが、ザックにはそのことを伝えていなかった。だから、ザックはメアリーの言葉に困惑していた。
「な、何を言っているんだ。さっき冒険に行ったばかりじゃないか…。何でそんなことになるんだよ…」
「次よ、次の冒険が始まるの!」
「嫌だよ。何でオレが、い、嫌だよ…」
ザックは知らん顔をしていた。
その時、ザックの後ろから声が聞こえてきた。ザックの妹、ヒナタが立っていた。ヒナタは10歳の少女である。
「じゃあ、私がメアリちゃんと行きたいな!」
ヒナタは小さな右手をピンと上げていた。
まるで人形のようだった。
「えー、ヒナタちゃーん、一緒に来てくれるの〜。いつもかわいいわね~。じゃあ、二人で冒険に出かけましょ!」
その声を聞いて、ザックがヒナタの前に立っていた。
彼女を守ろうとしていた。
「ヒナタが行くなら、オレも行く。何かあったら困るからな……」
それを聞いて、メアリーは悪意のある笑みを浮かべた。
「へえ~、さっきまで嫌だって言ってたじゃん。あれ、用事があったんじゃなかったでしたっけ? 別に来なくたっていいんですよ~」
ザックの顔が赤くなった。
「う、うるさいな。オレはヒナタのために行くだけさ。そこは勘違いしないでくれよ!!」
「ありがとう。お兄ちゃん」
ヒナタはザックに抱きついた。
その時、ザックは恥ずかしそうな顔をしていた。
「はいはい。まあ、私はヒナタちゃんだけでいいんだけど。まあ、あなたがどうしても行きたいというのなら仕方がないわね~」
「くそっ、オレが悪かったよ。一緒に連れてってください……」
「仕方がないわね〜。じゃあ、連れてってあげるわ」
「馬鹿にしやがって……」
「うん、何か言った?」
「いえ、何も……」
「じゃあ、今回だけは許してあげる。行きましょう。私の勉強した魔法を見せてあげるわ!!」
「やったー、おねえちゃん、魔法学院に入学するんでしょ。すごいなーと思うんだ」
「えへへっ、ありがとう。絶対、凄い悪役令嬢になるからね!!」
「うん、期待してる!!」
三人は迷いの森に向かっていた。
ドラゴンに乗ると、深い森の中へと誘われるように進んでいった。
楽しそうに会話をして、三人はゲラゲラと笑い転げていた。
ドラゴンはしっぽを揺らしている。
◇ ◇ ◇
大きな森を抜けると、青々とした草原が広がっていた。
そこはグレース草原と呼ばれていた。
遠くの方にはスリープシープの群れが集まっていた。
しかし、そこでメアリーたちは予期せぬ魔物に出会うことになるのだった。
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