リザードマンを捕まえて
メアリーは乙女ゲームの思い出に浸っていた。サブストーリーとして、洋服作成イベントがあった。
主人公フランソワの服を強化し、魔法学院でのモンスターたちとの戦いに備えることができる。しかし、それはリズムゲームであり、メアリーはいつも失敗してしまい、完璧な服作りができなかった。懐かしい思い出に浸りながら、メアリーは雲一つない夜空をドラゴンに乗って飛んでいた。
ドラゴンの服を作るための素材集めをすることになった。
「今度こそ、ちゃんと服を作ってあげるんだからね!」
ドラゴンに乗りながら、メアリーは大地を見下ろしていた。村の明かりが見えてきた。きっと、あれはザイール村だろう。サラヴァンティスの湖に一人で行くのは怖いから、あの村で誰かを連れて行こうと思った。サブストーリーはザックとの関係にも影響があった気がする。
ドラゴンはザイール村に降り立った。すると、一人の少年がドラゴンの前に現れた。
そこには、攻略対象のザックが立っていた。
「メアリー、また来たのか。今日はフランソワはいないぞ。お前が何か変なことでもしたんじゃないのか?」
とザックは鋭く睨みつけた。
メアリーが村に来るたびに、無理難題に付き合わされることが多かった。
メアリーはザックを見つめていた。彼は成長していた。今や青年と呼ぶべきだろう。猟師の父親を手伝っている彼は真っ黒に日焼けした肌と、すらりとした端正な顔立ちをしていた。ザックの周りには村の女子たちが集まってきていた。
「ふーん、フランソワいないんだ…。きっと、彼女は力に目覚めたのね…」
「力に目覚めた? 何を言っているんだ?」
「しばらくしたらわかるわよ。それより、ザック、ちょうどいいところに来たわ。冒険の旅に出ましょうよ!」
「はぁ、何を言っているんだ?……」
「ただ、ザック、あなた、見ないうちに大分大きくなったわね。肌も黒いし、筋肉質で、ホント、猟師の息子って感じよね~」
「はあ、メアリー、先週もこの村に来てただろ?」
「いいのいいの、イベントの前だから説明をしているだけよ~…」
「お前っていつもよくわからないことを言っているよな…」
「まあ、良いじゃない。それより、あなたに頼みたいことがあるの。一緒についてきてくれないかしら…」
「わかったよ、どうせ、断ることはできないんだろ…」
「まあ、そうね~」
メアリーは強引だった。
渋々ながらも、ザックは従うことにした。
◇ ◇ ◇
二人はドラゴンに乗り、サラヴァンティスの湖へと向かっていた。
ザックの声が聞こえてきた。
「うわー!やっぱり空を飛ぶって最高だな!すげー気持ちいい!」
「当たり前でしょ。その代わり、ザック、あなたにはちゃんと働いてもらうからね!!」
「へいへい、わかりましたよ……」
30分ほどが過ぎると、二人はサラヴァンティス湖に辿り着いた。
ザックは驚いた顔をしていた。
「なあ、ドラゴンって便利だよな。街に商品を運ぶのも簡単だろうし、そんな仕事をしてみたらどうだ?」
「ダメダメ、そういうのは私には向いてないから……」
メアリーは嫌そうな顔をした。
以前、父親に頼まれてドラゴンで荷物を運んだことがあったが、彼女は飽き性で荷物のことなど忘れてしまった。
友人たちと洞窟で遊んでしまったことがあった。
「私には合わないのよ」
その日、父親に怒られた。
だが、メアリーは気にしていなかった。
「まあ、そんなことよりもリザードマンを捕まえましょう。この世界ではリズムゲームがあるわけじゃないし…」
「リズムゲーム?いったい何のことだ?」
「大丈夫、あなたは気にしなくていいの。それより、ほら、あそこにいるのがリザードマンじゃないかしら?」
メアリーは湖の奥にある湿地帯を指さした。
ドラゴンは既にサラヴァンティス湖の上空に来ていた。
湿地帯にはリザードマンが集まっていた。
二人を乗せたドラゴンが下降していくと、リザードマンたちは恐れおののいて逃げ出した。
ドラゴンは爪を使い、数匹のリザードマンを捕らえた。
地面に降りると、ザックは捕まえられたリザードマンを収納袋に入れていた。
「やっぱり、オレは爬虫類が苦手だわ~~」
その時、メアリーがリザードマンを追いかけていた。
「凄いな…」
「まあね、私が強いからね!!」
「思ったより早く終わったな。うーん、オレ、いらなかったんじゃねー? その力があったらさ…」
「そんなことないわよ。男子がいると力仕事は助かるからね~」
「ああ、お前って男じゃなかったっけ…」
「あんたね~、いま、何か変なこと言わなかった~? 私は奇麗な悪役令嬢なの。それは許さないからね~」
「いや、冗談だって。待て、待て、止めてくれ~~~~~~」
◇ ◇ ◇
リザードマンを捕まえると、二人はザイール村に戻ることにした。ドラゴンの背中にはメアリーだけが乗っており、ザックはドラゴンの足にしがみついて、宙ぶらりんの状態で今にも落ちそうだった。
「待って、待ってよ。落ちるって~」
そのままドラゴンは飛び続けて、何度かザックは落ちそうになった。
ザイール村に戻ってきた頃、ザックは半泣きになっていた。
「今日はありがとうね!!」
メアリーはザックの姿を見て声をかけた。
ザックは体を震わせ、怒りを露わにしていた。
「ふ、ふっざけんな~、本当に死ぬかと思ったじゃないか~!!」
ザックの声を無視して、メアリーはドラゴンに乗ったまま自分の家に戻ってしまった。
「待て~~~。戻って来い~~~~!」
ザックの声が聞こえていたが、メアリーは無視をしていた。ただ、彼女はリザードマンを捕まえたことが嬉しかった。
家に戻ると、メアリーは兄のゼクトの部屋のドアを叩いた。
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