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兄のゼクトとの会話

「兄さん、ごめんなさい。お願いがあるの。私をかくまってほしいの…。ちょっと、ドラゴンの炎のブレスが出ちゃってね…」


「また、ドラゴンか…、従属の契約もしていないからこんなことになるんだぞ…」


「ごめんなさい、どうかわたしを助けてください…」


「まあ、いいさ。ただ、オレはお前を甘やかすつもりはない。部屋を壊されたくないだけだ。仕方がない。父上の対応はこちらでやっておくことにするから部屋に入っていろ」


「ありがとう。兄さん」




 父親のウィリアムが階段を上ってきた。

 


 部屋の前まで来ると、兄のゼクトは父親と話をしていた。

 メアリーはドアの隙間から2人の様子を見つめていた。


 10分ほどで、2人の話が終わっていた。

 兄のゼクトが戻ってくると、慌てて、椅子に座るとメアリーは泣いているふりをしていた。



 部屋に入ると、ゼクトはメアリーを見つめた。



「大丈夫、父上から許しをもらったよ。ただ、他にも壊れた場所があるらしくて、オレの魔法で修復しておくことになった。まったく、魔法をただの便利な道具ぐらいにしか思っていないんだろうな…」



「お兄さま、ありがとう!!」




 メアリーは嬉しそうな顔をして、ゼクトのベッドの上に横になっていた。

 横にあった魔法の本を手に持っていた。




「ところで、メアリー、今日は、魔法学院の試験だったのか?」


「うん、まあね…」


「なんだそりゃ。ダメだったのか?」


「そうじゃないけど…」



 メアリーは言葉を濁していた。


 すると、ゼクトは椅子に座る。

 どうやら、机にある魔法陣の確認をしているようであった。

 ゼクトは疲れた顔をしていた。

 それを見ながら、メアリーはぺらぺらと魔法の本をめくっていた。


 ゼクトの声が聞こえてきた。



「まあ、別に気にすることはないさ。あんな学校、意味なんてないからな。金持ちばかりが集まって見栄みえの張り合いをしているだけなのだからな…」


「そう言えば、兄さんもサンタマリア魔法学院に通ってたんだっけ?」




 それを聞いて、ゼクトは不快そうな顔をしていた。

 彼は天井を見つめていた。




「昔のことは忘れてしまったよ。何も覚えてない。そうだ、お前、話は終わったんだろ? そろそろ部屋から出ていってくれないかな」


「嫌よ、久々に兄さんの部屋に入ったのに…」


「こっちも忙しいんだよ…」



 そう言うと、メアリーを部屋から追い出そうとしていた。

 杖を振ると、体が宙に浮いていた。


 メアリーは部屋のドアの方に吹き飛ばされそうになっていた。

 抗うことができない。

 

 とっさに、ゼクトの足にしがみ付いた。



「待って待って。ねえ、兄さん、最近、何の研究をされているんです?」


「ふんっ、どうせ、お前はそんなことに興味など持っていないんだろ。さあ、早く出ていきなさい!」


「そんなことありませんよ。私、兄さまの研究にとても興味があるんです!」


「ふん、嘘だろ。ただ、まあ、いいさ、少しだけ説明をしてやろう。お前は物質に記憶があると思うか?」



 浮遊の魔法を止めていた。

 それから、魔法陣を上空に転写させていた。




「物に記憶ですか?」


「そう、いま、魔法を使って物質の記憶の調査をしているのさ。この世界の根幹を確認するためにね…」


「ああ、難しそうな話ですね…」


「それはそうさ。オレは物質の記憶を探して、その中にある太陽戦争の記憶について調べているのだからな。世界を分けるほどの戦争の記憶を取り戻すことがオレの夢なんだ…」


「それって青い月の原因でしたっけ?」


「よく知っているな…。そうだ、太陽戦争はこの世界を変えたらしい。だが、詳しいことは誰にもわからないんだがな…」


「ふーん、難しい話ですね…」


「お前には興味もないことだろう。それに、この研究は長い年月が必要だろうしな…」


「そうだ、ゼクト兄さまに聞きたいことがあったの!! サンタマリア魔法学院に合格したら、ドラゴンを連れていきたいのですがどうしたら良いと思いますか!?」


「そんなの従属の契約をしたらいいじゃないか? 精霊や上位の魂たちを人間の魂と共有させることにより、人間の能力を上げることができるのだからな」


「わかっています。ただ、私には従わせることができないんです(既にフェンリルが従魔のため)。だから、困っているんですよ…」



 メアリーはフェンリルと契約をしているとは言えなかった。

 さらに、ドラゴンと契約をしたら、この世界最強にだってなりかねない。

 それを恐れていたのである。



「まあ、従魔とは魂の共有だからな。できない奴がいる、とは聞いたことがあるな。できないならどうしようもない。いつかできるようになるかもしれないさ…」


「それでは困るのです。兄様、何かアドバイスはありませんか?」


「わからない。オレは忙しいんだ。今抱えている問題が解決したら、どうにかできないか考えてみよう」


「お願いします。どうしてもドラゴンを一緒に連れていきたいのです。あの子は子供のころから一緒に暮らしてきたのですから…」


「ただ、お前さ。ドラゴンに名前くらい付けてやれよ…」


「へへへ、必要ですかね?」


「呆れた。何で名前を付けないんだよ」


「サンタマリア魔法学院でも聞かれました。どうして名前を付けないのかと。ただ、そんなことに理由があるんですかね。私はドラゴンには自由に生きてもらいたいと思っているんです」


「まあ、それはそれでいいさ。ただ、魔法学院は服装とか五月蠅うるさいから、そうだ、あいつらを黙らせるために、ドラゴンに服でも着せてやったらいいんじゃないか。あいつらだって良い服を着てたら文句を言わないかもしれないぜ」


「なるほど、洋服作成のイベントですものね。そう言えば、ゲームでも作ってたのを思い出しました!!」


「何を言っているんだ?」


「いや、こっちのことです…」


「まあ、実際、自分で作るしかないな…。そういえばサラヴァンティスの湖に大きなリザードマンがいると聞いたな。丈夫だろうし、あの皮を使ったらいい。迷いの森にいるスリープシープの毛を糸として使ったらいいさ。きっと、その素材で服を作ったらドラゴンが着たって耐えることができるだろう」


「承知しました、兄さま。ドラゴンの服を作りに行ってまいります!!」





 そう言うと、メアリーは部屋を飛び出していった。

 まあ、どうにかなるだろうと思い、ゼクトは開いているドアを閉め、研究のため自分の部屋に戻ることにした。

 

 

 ゼクトが部屋にある椅子に座っていた。

 その時、大きな窓にはメアリーを乗せたドラゴンが飛んでいく姿が映っていた。


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