車とかから人型金属ロボットに変形する様なのが書きたくなった感じ物語
塗りつぶした黒に数多の輝きを散らす中でいくつかの鉄の塊が飛んでいた。何かソレっぽい感じにしたかったけど無理だからちゃっちゃと言えば宇宙で何かゴテゴテした宇宙船が飛んでる。状況を見るに逃走する一隻を五隻が追ってた。
つーか追撃ってノリだ。
双方がオマエどうやって空に上がったんって言いたくなる様な角ばった鉄の塊。追う者と追われる者の差を言えば追撃側は何かビーム的な何かをアホほど撃ってる。追われる側も避け反撃はするが数的不利から被弾は避けられずボロボロ砕けていた。
その沈みゆくゴテゴテした船内。
知的生命体が発光しながらピーピピーと機械音を絶え間なく鳴らして意思の疎通をしていた。彼等は人の様な身体であるが鉄の様、いや正に鉄の体を持っている。まぁ宇宙船で逃げてる現状では現状では鉄の体を持ってたところでどうしようもないのだが。
「ー・ー・・ ・ー・ー・ ー・ー・・ ・・ー ・・ー・ ・・・ー ーー・ ・・・ー ーーー・ー ー・ーー・ !! ーー・ー・ ・・ー ー・ーー ・・ ー・ー・・ ー・ー・ ーーー・ ・ー・ ー・ーーー ・ー・ー!!」
特に大きな個体が操作を行いながら大音量で短く音を発した。たった数秒のソレの後に彼等の乗る宇宙船は透明になっていく。向かう先は煌々と輝く巨大な恒星のある惑星系へ向かっていった。
特に大きなガスの惑星や輪っかを持つ惑星ではなく最も近い青と緑の星。大気の力よって生じた大きな渦の中へ吸い込まれる様に宇宙船が落ちていく。
その星では第二次世界大戦と呼ばれる戦いが世界に広がっていた。極東と呼ばれる帝国も参戦国の一つであり世界を二分する勢力の一つに属している。その枢軸と呼ばれる勢力の快進撃が終わり潮流が変わりつつあった。
大八島帝国帝の君主が宮城にて複雑な表情で夜風に当たっている。その御尊顔は世人には見せられない複雑で、俗人に言う様な言葉で評すれば痛ましいく憂いを帯びていた。しかしその表情は違和感と共に変化しその目を凝らす。
吹上御所の庭の中に二つの光源。それは御料車である溜色のメルセデス・ベンツ・770が発するものの様だ。主上は何処から入ったのか、どうやって入ったのか分からない。
「何事か……」
そう呟くに合わせる様に御料車の前部が持ち上がり割れ中身が組変わり腕が地を掴む。その下では後部が左右に割れ足となって遂には立ち上がる。胴の部分から頭が出て外套を纏う3㍍程の人に近しい形になり赤い身の鉄巨人は跪いた。
『ハジめマシて大八島帝国ヘイカ』
機械的、いやラジオを切り張りした様な声で言葉を話す。赤い身の鉄巨人に主上は戸惑いつつも言葉を返した。
「八島言葉を話せるのか。その方は」
『ラジオでんパにて辛うじテ。私はシシャに御座います』
「使者、か」
『はい。ワタシ達のホゴを願イに来ました』
赤い身の鉄巨人の言葉を聞いた主上は気遣わし気でありながら申し訳なさげな顔をした。
「その方等の状況、聞いた通りならば手を貸したい所だ。だが此の八島、いや此の星は其の方等を受け入れる事は出来ないだろう。今の我等には他者を気遣う余裕は無いのだ」
赤い身の鉄巨人が落胆の表情を浮かべた。だがそれは想定された物だったのだろう。何かを言うでも無く頷く。
「朕も同胞を救おうと言う其の方等を利用するべきだと考えている。だが星全ての狂乱と戦火の中であれば互いの為にならぬのは明白だ。代わりと言っては何だが療養する為に潜む方法とその策を与えよう」
『……感想いたシまス』
「此処は八百万の神が住まう地だ。何時かは付喪神に似た其の方等も住まう事が出来るだろうと思うぞ。幸運を祈らせて貰おう」
世界大戦が終わりフロンティア合衆国が世界の覇権を握って少し。数日間に渡って世界各地に宇宙からの飛来物が数多と落ちて来た。スペースファフロツキーズデイズと後に呼ばれる事件である。
八島にも各所に飛来物が落ち、いや首都東京の港湾に着陸した宇宙船から十数の鉄の巨人達が現れた。彼等は数十㌢の者から数十㍍の巨体を持つ者達まで様々なサイズ。その中からガタイの良い30㍍程のおそらくはリーダーらしき者が前に出てきて佇む。
その巨人は左右を眺めてから鉄の瞼を閉じて数秒動きを止める。そしてヘルメットを被った様な頭部のマスクが分かれ口が出てきた。確かに鉄のパーツだが非常に人間に近しい形状。
呆然と立ち時折トランスフォー◯ーじゃねーか、何あれト◯ンスフォーマー?と声を漏らす人々へ視線を向け。
「私は遠い惑星の金属生命体その一勢力の代表者だ。唐突ですまないが此の地の代表と交渉をさせて欲しい。私達の恥と貴方達に迫る危機について伝えたいのだ」
スペースファフロツキーズデイズとは即ち世界の未知との邂逅だった。後に判明するが宇宙航行が可能な彼等をしてどう産まれたか不明とされる文字どうりの母星たる機械惑星を無くした遥か彼方より来た機械生命体。彼等の言葉を直訳すれば惑星開拓用先行突入擬態金属生命体。とりあえず長いので機械人とのファーストコンタクトである。
「君達にわかりやすく言えば私はオプティ◯スプライム。昔の呼び名で言えばコ◯ボイの様な立場の者だ。時間は少なく我等も余裕がない」
そういうと振り返り一人の機械人へ顔を向けた。視線の先で10㍍程の機械人は頷き返し近くに止まっていた警察車両に顔を向け一回転。ガチャガチャと体が組み変わっていきトヨタGRS202クラウン。要はパトカーへと返信した。
そのパトカーへ自称コ◯ボイが問いかける。
「この星の機械はどうだ」
「こりゃなかなかのモンですよ司令官。事前の想定の通りに確りと星に適合した進化が出来てる。大きさも俺達が擬態するにゃ御誂え向きって所ですね」
そしてパトカーからお気楽そうな返答に頷いて。
「そうか何よりだ。この星に住まう者達よ。見て貰った通りだ。私達は宇宙船で待つ。どうか急いでくれ」
八島は蜂を突いた様な騒ぎとなった。クソの役にも立たない野党が喚き、クソの役にも立たないメディアが騒ぎ、消えて貰った方が良い連中が暴れる。そしてグダグダしつつ総理大臣が会談を行う。
国民も固唾を飲み込みながら結果を待った結果。
・機械人の母星がイカれて住めなくなった。
・早期脱出と無生物惑星への入植活動開始。
・エネルギー等条件の合う星が無さすぎる。
・数多死人が出だしたが入植可能な星発見。
・知的生命体を占領派と共存派で仲間割れ。
・状況が悪化し中道派を占領派が取り込む。
・占領派優勢でバチバチに開戦するノリに。
・流石にヤベェから共存派は同胞を止める。
・その間の協力関係および共存の模索懇願。
スゲェ雑にザッとこんなノリであった。
八島は一先ず機械人の受け入れを決定。目黒航空自衛隊基地において彼等の居住を許可した。またフロンティア合衆国などにも共存派が出現する。
しかし問題は協力という話だ。
何故コンボ◯ポジの代表が八島に来たかと言われれば八島がクソ雑魚だからだった。フロンティア合衆国などとは比べるべくも無いが星で見て軍事力は微妙である。しかも鉄道網や道路網に加え車など機械人が擬態しやすい物が多かった。
まぁ要はだ。八島という国は占領派の機械人としては比較的落とし易そうで、比較的過ごし易そうで、比較的橋頭堡にし易そうだったのである。悲しいかなカモネギって事だ。
だが八島はグダった。
機械人の情報開示により敵宇宙船が観測。しかしテメーもう議員辞めろってアホが中学生でもアホかと思う様な、厳密に言えば機械人に喧嘩を売る様な世迷言をマジメ腐った面でホザいたり、メディアが誰にも求められてないアホな情報をドヤ顔でタレ流し混乱を助長する様な有様だ。しかし宮内長が上皇様の声明を発表。
主上の御言葉を敢えてラフな感じで意訳奉れば。
「とーちゃんが会ったつってたわ。車が巨人になるってマジだったんだ。ロマンあるし友達なれたらええな」
畏れ多くも大体こんなノリである。
これで八島内の少なくともアホ以外は機械人に対して融和的になった。だいたい決めつけでSNSにコメントしたらボコボコに反論くらうくらいに。まぁ大概は様子見という形だったが恐怖しないという意味は大きい。
それ故に動きやすくはなった。裏では機械人の話題の中で国土防衛の為に軍備増強も秘密裏に行われ、表では融和と信用の証として八島国内の機械類への擬態許可が降りる。また彼等の技術の研究なども開始された。
まぁ遅いんだけど。
宇宙人相手だからしゃーない、とは言えないだろう。フロンティア合衆国へコ◯ボイポジの機械人が行き大統領と交渉中。各所に宇宙船が飛来した。
八島各所に大船団が降下し軍事基地が攻撃を受ける。自衛隊基地は当然フロンティア合衆国の八島基地までもだ。当然だが目黒航空自衛隊基地にも大戦力が迫ってきた。
「この数、大丈夫なのか。クラウン……」
機械人達の住居となっている軍の倉庫で空将達とパトカーを代表にした機械人達が人工衛星から齎される情報を見ながら言葉を交わしている。
「マズイぜ空将殿、これは想定外だ。早すぎるし多過ぎる。しゅあーねぇ俺達が此処で敵を惹きつける。今は引きな」
「否!!此処が八島の最終防衛地点だ!!助力はする!!だが感謝するぞ、学生まで戦わせる訳にはいかんからな。防衛中隊、迎撃体制!!候補生、広報部隊を退避させろ!!試作電磁砲、発射準備!!」
空将の言葉で基地内に戦力が展開される。次世代装備研究所で試作された長方形の電磁砲が宇宙から迫る敵船に方向を向けた。対空砲やパック3も空に目標を定める。
「私達も行くぞ!!」
白と黒の機械人クラウンが声を張り身をパトカーに変えれば他の者達も了解と応答し姿を変える。それぞれ赤い車体のホンダ・シビックFL、迷彩柄の74式戦車、ゴツい救急車スーパーアンビュラスに変形した。残る一人は人型のまま外に出てOHー1ヘリの変形する。
クラウン達は攻撃的な遊撃部隊だ。と言うかただでさえ少数な融和派を八島各地に分散した為にそうならざるを得なかった。機械人の最大戦力が此処なのである。
「ニンジャ。空は頼むぞ」
「承知した」
OHー1ヘリから落ち着いた声。クラウンは背についてくる面々へ。
「シビックは切り込み、ナナヨンさんはアンビュラスを抑えといてくれ!!」
「ハハハァ!任せなァ」
「ガッハッハ任された」
シビックが戦意を激らせながら、続けて74式戦車が豪快に笑う。
「全く失礼な。戦うなとはどう言う了見だ。この私だよ?」
一方でゴツい救急車は凄く不満そうだった。クラウンは疲れた様に。
「いやアンタ医者だろ……」
そんなやりとりの最中、ミサイルの煙が空に上がった。
「戦闘体制を取れ!!」
ニンジャを除く全員が走りながら人型に変形していく。パトカーのクラウンは小銃と盾、緑の巨体を持つナナヨンは戦車砲を担ぎ両手に斧を握る。シビックは両腕から刃を伸ばしアンビュラスはナックルダスターがついた様な巨大な拳を握った。
それに合わせる様に敵および敵船と迎撃を受けた残骸が落ちてくる。敵の鉄の巨人達は黒く人に近しい顔ではない。そんな敵は迎撃を受けた残骸からも出てきた。クラウンの知覚範囲内で凡そ二十体近いだろう。
「此の星の言葉を喋ればどうだい。WiーFiである程度学べるだろう?それともメリットもわからないか、ん?」
クラウンが機械音を発しながら煽れば返答の機械音。それはモールス信号を数秒に圧縮した交信。それにクラウンが顔を顰め。
「勝った気か」
小銃一発。速射にて更新を行なった相手の頭を撃ち抜いた。乱戦が始まる間際、敵は側面から砲撃を受ける。自衛隊に援護射撃だ。
「ナイスだ大尉。ハッハ!ヘーイホーイ書を読むんだな。体頼りじゃ生きてけないぜ。此の星じゃあな」
「兵法書だクラウン」
ナナヨンのツッコミが入った。
「待っていたぞ此の時をなァッ!!!」
その隙を突く様に、いやワンチャンだがガチで隙をつきアンビュラスが敵に突貫。残敵に殴りかかり拳で砕いていく。巨体を活かし圧倒的パワー。小型の敵などコードが伸びるほどに引きちぎる。
「それは俺の仕事だバカ野郎!!」
そう言いながらシビックが助太刀する。アンビュラスの背中を狙った敵を半分にし四分の一にし最後に胸部に刃を捩じ込んだ。クラウンとナナヨンはあーあーって顔だ。
しかし次の瞬間には戦闘を始めた。盾を構えて小銃を撃ち前進するクラウン。背負う大砲を放って味方を援護し敵が狙ってくれば斧を投げ、または振って叩き殺す。クラウンが最後の敵を盾で殴りつけ転倒させ銃弾を叩き込んだ事で戦闘は終了した。
「こんなもんか……?」
クラウンは訝しんだ。敵が弱過ぎる。そこにニンジャから通信。
『クラウン殿、敵の本隊が横須賀に!!アタゴ殿が救援を求めている!!』
「ア、アタゴさんが!!?」
『敵は百を超えると!先行させて頂く!!』
「気を付けろよ!!俺達も急ぐぞ!!移動形態を取れ!!」
味方を助けに先行したニンジャ。彼に追いつく為に残り四人も車に変形して急いだ。彼等の向かう横須賀米軍基地は大軍団の侵攻を受けていた。
此処を守る機械人はたった一人。全長80㍍の最も巨大な体躯を持つアタゴである。薄灰色の巨躯で敵を殴り潰し右腕から数多の弾丸を飛ばし背中からミサイルを射出して敵を薙ぎ払っていく。
圧倒的な力とは言え敵は百を超える数。そこに加えて増援が途切れず敵の多さ故に食いつかれバランスを崩す。そこに70㍍程の敵に殴りつけ押さえつけられる。
「グッ……」
敵の機械音。
「ふざけるな!!知的生命体の有る惑星に手を出す野蛮な真似などできるか!!たかだか数十年前の記憶回路も飛ばす愚か者供の仲間などごめん被る!!」
その言葉への返答は敵の獲物の刃。
だがそれは次の瞬間には腕ごと砕け散った。
「遅参申し訳ないアタゴ殿!!」
そう言うと共にテールローターを手裏剣の様に飛ばす。続いてローターブレードを逆手に持って姿を消した。次の瞬間には首に刃を突き刺しそのまま首を落として見せる。
「感謝するぞニンジャ」
そう言って拘束を解かれたアタゴが暴れる。首の無くなった亡骸を握り振り回して周りの小粒を薙ぎ払いも一体の70㍍級と組み合った。そこに中小の敵が愛宕に殺到しようと迫る。
「待たせたなァッ!!!」
その先頭をシビックが唐竹割りにし遮った。
「ナナヨン牽制射撃!!アンビュラスは愛宕さんを!!」
クラウン達が間に合ったのだ。しかし、それでも劣勢は覆らない。最初に崩れたのはナナヨンだった。
あくまでトップレベルの中での話になるが巨砲と巨躯という剛力を用いた超火力を代償に機敏さは無い。
流石に二十の敵を相手にして被弾を無くすのは無茶な話。足の関節部分に敵の穂先が掠り動きが鈍った。そこに斬撃を受け腕を切り落とされたのだ。
不運であっても一角が落ちれば後はドミノ倒しだ。ナナヨンの状況に動揺したニンジャが不覚をとる。ニンジャは素早く的確だからこそ軽微な損傷が大きなダメージになった。
アタゴが集中砲火を受け、シビックが逃げ回る様な状況に追い込まれ、アンビュラスが複数の敵に伸し掛られる。最後にクラウンが銃を叩き落とされ殴り倒され捕まってしまう。そして人類側の自衛隊から始まり米軍も制圧されていく。文字通りの多勢に無勢だった。
「グッ」
クラウンが首の根っこを掴まれる。そして30㍍ほどの敵の前に引き摺りだされた。クラウンを常に引き付け、その腕を突き刺した敵だ。
そいつの機械音。クラウンは吐息一つ。
「降伏は、しない。貴様等のやり方を見てみろ。エネルギーも無く近接戦しかできず何人死んだ?!俺達に殺られた数より人類に倒された数の方が多い筈だ。コールドスリープをし交渉をすれば少なくともこの状況にはならなかった!!」
素早い機械音。
「確かに俺達がお前達の前に立ち塞がったからこそだ。だが他の地はどうなんだ?まだ制圧しきれていないだろう」
敵が大きく肩を落とし吐息代わり蒸気の様な物を排出した。
そして片腕を銃身の様な形に変えクラウンの胸部のコアに。
短くどこか弱々しい敵の機械音にクラウンは首を横に振り。
「返答は変わらない」
そう言って目を瞑る。
機械音。
轟音。
「?!」
敵も止めを刺される直前の者達も場にいる全てが轟音の響いた海を見る。敵が降下している宇宙船諸共が粉微塵に弾け飛んだ。皆の視線の先には鉄の城が浮かんでいた。
余りにも古く、余りにも大きく、余りにも威圧的な姿。八島最大にして世界最大の巨艦戦艦大和。沈んだはずの威風堂々たるその姿が横須賀湾を進む。
その船は巨大な船体に見合う六門の巨砲を放ちながら敵を薙ぎ払いながら迫って来る。そして軍港の岸壁を前に止まった。そして組み変わっていく船体。
船体が前後に分かれて後部が足になりグルリと回った前部が胴となり腕と頭。灰色の金小札白糸懸縅胴丸具足の様なシルエット。左腕に身の丈の倍は有る槍を握り、右腕が九門のガトリング砲の130㍍の巨人になった。
「ヤマト推参」
ヴォンと両眼を光らせて岸壁に仁王立つ。敵が動揺して動きを止めた。そこに46センチ砲のガトリングが即座に叩き込まれ薙ぎ払われる。
槍を振り回し自身より小さな巨人を薙ぎ払いながらてズンズンと進んでいきクラウン達の前に立つ敵を見下ろす。衝撃でクラウンに止めを刺す事を忘れた敵から機械音。ヤマトと名乗った巨人は槍を背に回せば槍が四分一に縮み背に張り付く。ガトリング砲脳でも下ろして余裕を見せ。
「八島の神の裔に恩がある。いや今は神では無いのだったか?まぁ我等にとり恩人という事実さえあれば構わん事だな。さて同胞よ降伏し退くならば其れを認めよう」
敵の機械音がして次の瞬間には抜刀にて首を断たれた。
「母星の寿命について警鐘を鳴らした我等を追いやっておいてこれか。野蛮な真似をして同胞が死んでいく選択を選ばざる終えなくなるとは愚かな事だ」
忿懣と共にそう言って太刀をしまいクラウンに向き直る。
「お前達は道理がわかっていそうだな。一先ず我等は八島に恩を返したい。敵の侵攻を防ぐ間は手を結ばぬか?」
「貴方は……もしかして」
「滅んだ星の地位に何の意味がある。今は一刻を争うだろう」
北海道に潜水艦から変形したヨンヒャク、東北に戦車から変形したハチキュー、中部地方に蒸気機関車から変形したシゴナナ、関西に蒸気機関車から変形したデゴイチ、中国地方に空母から変形したシナノ、四国に戦闘機から変形したゼロ、九州に爆撃から変形したドンリュウが加わった。
彼等は戦意高く容赦ない。劣勢は変わらなかったが敵の攻勢限界までの粘り勝ちをもぎ取った。国は余りの被害状況に即座に各国へと連絡を取る。
二代巨頭の一角であったルーシ連邦。広大な土地を持つ江河人民共和国。独立後勢力を伸ばすメイプルリーフ、バーラト。
ラテン諸州のグレートアルビオン及びエール連合王国、ゴール共和国、ゲルマン連邦共和国、ロームルス共和国。
そして最強国家フロンティア合衆国。
結果そのどれもが通信途絶と言う惨憺たる状況だった。衛星を破壊され孤立を強いられシーレーンを封鎖されたのだ。八島だけでは無く人類全てが協力な敵と強力な味方を得たのである。