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そしてうんこは復讐する  作者: お布団
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第5話 嘲笑

「すぅ~~~はぁ~~~」


ぴゅうぴゅうとひんやりとした風が吹く中、


崖近くの開けた場所で、キャロラインが深呼吸をする。


キャロラインの足元で、


名もなき小さな花や雑草達がゆらゆらと風に揺れている。


キャロラインはそれを見て、


「かわいい」


と、つぶやいた。


キャロラインがいる場所から少し離れたところで、


うんこが崖の下を覗き込んでいる。


崖の下は草で生い茂っているものの、落ちたら無傷ではすまない高さ


だと、うんこは身震いした。


ザッ。


うんこに気が付いたキャロラインが、ザッザッを足音を立てながら


うんこの方へと足を進めていく。


バン!バン!


キャロラインは躊躇すること無く、


うんこがいる方に向かって、拳銃の引き金を引いた。


銃弾が頬をかすめたからなのだろう、


目の前にいる黒髪美少女に向かってうんこが叫ぶ。


「ほっホントに撃ちやがって!俺を殺す気か!?」


「うん、殺す気満々だよ。


だって、あんたは醜いモンスターなんだもん」


「・・・・・・・」


キャロラインの言葉にうんこは黙り込む。


「せめてさぁ~、勇者様くらいのイケメンだったら救われたのに、


ほんと可哀想な奴・・・。自分でもそう思わない?」


「・・・・・俺だって、好きでこんな姿になったわけじゃない・・・」


うんこの目に涙がにじみ、それが茶色い滴となって、


頬をつたい地面に落ちていく。


「なに?泣いてるの?きゃははははっはははははははは!


うんこって泣くんだね、私、知らなかった!」


キャロラインが馬鹿にするように、


うんこの方を指差して嘲笑する。


ブチッ。


うんこの中で何かが切れた音がした。


「どいつもこいつも、馬鹿にしやがって!!!!!!!!!!」


うんこが崖の近くにいるキャロラインに向かって突進する。


「落ちろーーーーーーーー!!!!!」


キャロラインは銃を構えるも、弾が入っていないのか


攻撃することができない。


「いやあああああああああああああ!!!!」


キャロラインの悲鳴が周囲に響き渡ったその時、


「やめろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


と、勇者が二人の方に向かって突進していく。


ドン!!!!!


勇者が勢いよくキャロラインにぶつかり、


幼い少女の体は吹き飛ばされた。


「勇者様ああああああああああああああああああああ!!!」


キャロラインの視線の先、


勇者はうんこと共に崖の下へと落ちていく。


ドサッ。


勇者に吹き飛ばされたキャロラインが


草が生い茂った地面に膝をつき、泣き叫んだ。


「いやああああああああああああああああああ!!!!


勇者さまあああああああああああああああ!!!!!!!」


それを遠くから見ていたセレナがキャロラインの声の方へと足を進め、


彼女に呼びかける。


「キャロラインさん!!!!!待ってて!!!


いま、行きます!!!!!」


セレナは息を切らしながらも、キャロラインのところまでたどり着き、


子供のように泣きじゃくる少女に声をかける。


「キャロラインさん!!!いったい・・・、何があったんです!?」


「ゆ・・・、ゆ・・・、ゆうしゃさまが・・・・・・・」


瞳からポロポロと涙をこぼし、


キャロラインが崖がある方へ指差す。


セレナはキャロラインが傷を負っていない事を確認し、


急ぎ足で崖の方へと向かっていく。


勇者とうんこが落ちたであろう崖の下を覗き込み、


セレナはごくりと息を飲んだ。


「この崖から・・・・落ちたの・・・・・・?」


崖下から地上へは7メートルほどの高さがあり、


セレナは思わず後ずさりをする。


崖の下は生い茂った草で覆われており、


二人の姿を確認する事はできない。


「何か・・・下に降りる方法・・・・・、あっ!」


セレナが何か閃いたように目を見開き、


近くに落ちてあった木の棒をスッと拾い上げる。


草が生えていない場所に移動したセレナは拾った木の棒を使い、


地面に魔方陣を描き始めた。


「できた!これで崖の下に・・・・・・っ・・・・・・」


魔力の使いすぎなのだろう、セレナは激しいめまいに襲われる。


「だめ・・・。私が、なんとかしないと・・・・・!


お願い!崖の下にいる勇者様を助けて・・・・・!!!」


セレナが描いた魔方陣が強い光を放ち始める。


そこから、いくつもの小さな光が外へと飛び出し、


勇者とうんこがいる崖の下へと流れるように向かっていく。


セレナはこれで助けられると安心したのか、


ほっと胸を撫で下ろし、その場にバタリと倒れ込んだ。






読んでいただき

ありがとうございます!

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