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そしてうんこは復讐する  作者: お布団
24/43

第24話 赤ちゃん

「えっ・・・?赤ちゃんって・・・、何を言ってるの?」


キャロラインがメルシーに訊ねる。


「あなた誰?まさか、私の赤ちゃんを奪う気じゃないでしょうね!?」


腕に丸い石を抱えながらメルシーが叫んだ。


自分の姿が青年の姿だと自覚しつつ、キャロラインが口を開く。


「キャロラインだよ・・・。

今はこんな姿だけど、中身は私なの・・・」


「・・・・・キャロライン?」


メルシーが我に返り、青年の顔をのぞきこむ。


キャロラインが今にも泣き出しそうな声で

「それ・・・、ただの石だよ?

メルシーもキッドに何かされちゃったの?」

と言った。


メルシーは首を振り、抱きかかえていた石を地面に置いた。


「キャロライン・・・、あなた、彼女に魔法をかけられて、

そんな姿になってしまったの?」


キャロラインが大きくうなずき、頬を伝っていく涙をぬぐった。


ビッグマンがランプを手に持ち薄暗い洞窟を照らしていく、

大男は、そのまま二人がいる洞窟の中へと足を踏み入れた。


「キャロライン。彼女は・・・、お前の仲間か?」


メルシーの方に視線を向け、ビッグマンが言った。


虚ろな目をしながらメルシーが大男に近づき、

体を密着させて耳元で囁く。


「あなた・・・。私のものにならない?」


「っ・・・・」


ビッグマンが動揺し、メルシーから距離を取る。


首をかしげながら誘惑する美女を前に、

ビッグマンは抱いてはならない感情を抱きそうになる。


その感情を振り払うように、大男がメルシーから視線を逸らした。


洞窟の入り口付近、

遅れて到着したマイキーとセレナがメルシーの方を見る。


茶色いモンスターを見た瞬間、メルシーが

「いやああぁぁぁ!!こっちに来ないで!汚らわしい!!」

と叫び声を上げた。


その声を全身に受けながら、マイキ―がメルシーに歩み寄り

彼女の目をじっと見つめる。


「メルシー、俺だよ。

信じられないかもしれないけど、俺は勇者なんだ…」


重苦しい沈黙の中、マイキ―が言った。


「きゃははははは!!あんたが勇者様ですって??

だめっ、可笑しすぎて息ができないっ」


メルシーが茶色いモンスターを指差し笑う。


女性の笑い声が響く中、セレナが口を開いた。


「何がそんなに可笑しいんですか?彼は本当の事を言っているのに・・・。

あなたはマイキーさんの仲間なのでしょう?

なのに、どうして・・・」


「セレナ?あなた・・・、そのうんこに洗脳されたの?

私のことも忘れるなんて・・・、可哀想な子・・・」


メルシーがセレナに駆け寄り彼女の頬に手を当て言った。


「思い出せなくて、ごめんなさい・・・」


心が壊れてしまった女性を慈しむように、

セレナがメルシーを抱き締める。


遠くの方からそれを見ていたシラキが奥歯を噛みしめ

その場にうずくまる。


「シラキ!?大丈夫?」


キャロラインがシラキに駆け寄り訊ねた。


「ごめん・・・。少し経てば治まるから、心配しないで・・・」

とシラキが答えた。


白髪の青年は血に飢えているのだろう、

額に汗を滲ませていた。


それでも、自分に噛みつかないのは男性だからなのだろうと

キャロラインは思う。


「大丈夫か?」


マイキーが二人に歩み寄り言った。


何事もなかったかのようにシラキが立ち上がり

「平気、ちょっと立ちくらみがしただけだよ」

と口角を上げる。


それを聞いてマイキーはほっとしたのか、肩を撫で下ろし

洞窟の中へと戻っていった。


体調が悪そうなシラキの事も考慮し、

マイキー達は洞窟の中で休息をとることにする。


疲れがたまっていたのだろう、

キャロラインとシラキは肩を並べ、寝息を立てていた。


メルシーはただの石を自分と勇者の子供だと思っているのだろう、

ひたすら石に向かって話しかけているようだった。


ビッグマンとセレナは、たき火を焚くマイキーを手伝おうと

ひたすら枯れ木を集め、それをパチパチと燃える炎の中に入れていった。


「ここからそう遠くないところに、人の気配を感じます」


たき火の炎を見つめながらセレナが言った。


「奴とキッドはそこにいるのか?」


マイキーが不安そうに訊ねた。


セレナは小さくうなずき、ゆっくりと目を閉じる。


「ぼんやりとしかイメージできないけれど、

長い髪の男性と髪が短い女性が横並びで歩いています」


「キッドに・・・怪我はないか?」


「そこまではわかりません・・・」


「そうか・・・」


落ち込む二人を励ます様に、ビッグマンが二人の肩をたたいた。


「仲間が一人見つかったんだ。

何事も一歩づつ進んでいくしかない。だから、そんな暗い顔をするな」


大男の言葉にうなずき、マイキーが森の方に目を向ける。


闇で覆われた森の向こう、うっすらと朝日が差し込んでいく。


やがて洞窟の中に光が差し込み、

シラキが眉をひそめながら瞼を開く。


白髪の青年の呼吸は荒く、その目は血走っているように見えた。



読んでいただき

ありがとうございます!

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