3話 人間のキメラ化 と 怒りを露わにするキングリー
スフィアが転送する頃には
既に魔法が仕掛けられていた
転送場所に無尽蔵の魔法陣が多重に描かれていた
風魔法+火炎魔法+水魔法+雷魔法
効果抜群の相殺を積み重ねた遠慮のない攻撃
それらがスフィアを包み込んだ
誰もが勝利したと感じていた
「何故お前生きてるんだ」
「というか何で無傷なんだ?」
兵隊が囲んだ状態で問い詰める
スフィアは地面を踏んでいた
「魔法陣が描かれているのは地面しか存在しないだろ?
だとしら攻撃発生場所はそこしか無い
それなら下降部分に重力魔法を組み込んだら
地面下でしか魔法は発生しないだろ」
皆あっけらかんだった
しかし直ぐに平常を取り戻す
「だからどうしたよ?」
「そうだ 俺達が囲んでる状態って事は」
「お前が俄然として危機に立たされてる状況だという事だろ」
スフィアはそのまま座り込んだ
アホらしいと思った
魔力よりも知識だと言わんばかりに座り込んでいた
指先を上に向けるスフィア
上を向く数人 スフィアに向いたままの隊員
「ちょ、やばくねあれ」
「あ、何がだ?」
上空を見ると鳥が大量発生していた
隠匿魔法で鳴き声は消音されていた
それをスフィアは解除+強化魔法を施す
声量の強化をされた上空の鳥の鳴き声が響き渡る
一斉に耳を塞ぐ
その瞬間をスフィアは逃さなかった
「…あいつはどこ行ったんだ!?」
「今すぐ追え!」
スフィアがそこから消えていた
行方をくらましたスフィアを追う事にした
分散するように手分けして探す事になる
そして誰もいなくなった所でスフィアは姿を現した
「いやぁ、随分古典的に騙せたな
一瞬の隙で隠匿魔法で消えていたんだけど
どうやら彼らは足跡すら見なかったらしい
余程魔力に自信があるのだろうな」
スフィアは各個撃破していった
平等に分けられたであろう隊員を撃破していくのは面白いくらい簡単だった
撃破していった隊員で作った疑似人間を構築する
「ヤメテ…ユルシテ…」
「何言ってんだこいつ?
散々今までいたぶらかしてた連中が
同じような目に遭って何か戸惑うとでも?
俺は最初からどうでもいいからよ」
キメラと同じ要領だ
体は複数の人間で出来ているので
脳が複雑に絡み合い
記憶脳と記憶脳のぶつかり合いで思考がおかしくなっていた
思考がぐちゃぐちゃになって不快感から現れる頭痛によって苛まれる
しかしそれらが自分自身の犯した幻想だという事実も知る
「泣きわめこうが知らないよ(笑)
そんじゃ俺は君らが剥いだ魔導書片手に読みふけるんで
キングリーが来るまで俺はここで待つ事にするよ(笑)」
魔導書を読みふけった後は
静かな風が吹いていた 夜空を見る為に加速兵装を施して壁走りをして
塔の頂上で見ていた
「丸いお月様だな
しっかしあの人形何も動かねぇな
火魔法で炙って殺しとこっかなぁ」
スフィアにとってあれはもう只の用済みだった
何の価値も無い只のゴミのような玩具だったからだ
「悪い奴には悪く利用しないと
じゃなきゃ許せないでしょ」
塔が土砂崩れのように崩れる
木属性の塔が崩れていく
キングリーは仲間を見ると泣きわめいていた
強面の外見とは裏腹に仲間の死を酷く懺悔していた
スフィアは近くまで来てキメラ姿になった
兵隊へそのまま唾をかけていた