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第22話 結奈の手作り弁当(結奈視点)

続きを待っていてくれている人がいたので頑張って書きました。

 今日は早起きをして悠君のためにお弁当を作った。

 ただ料理して終わりではなくお弁当箱に詰めるとなるとなかなか難しい。大きすぎては駄目だし、だからといって小さすぎても駄目だ。


 それだけではなく、彩も気を付けなくてはならない。好きな人に作るお弁当なのだから見た目も意識したい。

 あとはバランスよく栄養を取れるようにする。あの小さな箱で完結させるためにはかなり頭を使うのだ。

 悠君の好きなものばかり入れようとしたら全体的に茶色いお弁当になってしまう……


 なんとか満足のいく物を作り上げることができた。学校に行く前に渡そう。流石に学校で渡すのは恥ずかしい。


 時計を見ると思ったより時間が経ってしまった。早くしないと悠君が家を出てしまう。ここ最近は規則正しい生活を送っているみたいなので、ウカウカしていると渡すタイミングを逃してしまう。

 慌てて身支度を済ませると、お弁当を包み家を飛び出した。


 隣に住む悠君の家に行くとインターホンを鳴らす。

 悠君の声がするとすぐにドアが開いた。


「おはよう」


「お、おはよう。どうしたんだ?」


 不思議そうな表情の悠君。お弁当を渡そうとするけれど何故だか体が動かない。恥ずかしくなってしまい渡せない。

もしかしたら受け取ってもらえないのではないか、迷惑なのではないかという不安が突如頭の中に浮かび上がる。そのせいで余計に渡せなくなってしまう。

 なかなか喋り出さない私を悠君は黙って待っていてくれている。優しい、好き……


 勇気を出してお弁当を悠君へと差し出す。



「あの……これ」


 手が震えてしまう。


「ちょっと作りすぎちゃったから……迷惑じゃなかったらもらって欲しいの」


 我ながら嘘くさい言い訳だと思う。


「えっ……いいのか?」


「うん」


「嬉しい、ありがとうな!」


 嬉しそうにお弁当を受け取ってもらえて、ほっと胸を撫で下ろす。


「これで昼休みまで頑張れるな」


「大袈裟だよ」


 悠君が喜んでくれたみたいでとても安心した。


「私、学校に用事があるから先に行くね」


「おう、弁当ありがとうな」


 特に学校に用事があるわけではないけど、逃げるように悠君の家を後にする。このままだと頬が緩んでしまい、だらしない顔を見らちゃうから……



 ◆◆◆◆


 気がつけばお昼休みになっていた。私はお手洗いから戻ってくると、廊下からちょうど悠君が私の作ってきたお弁当箱を机の上に出すところだった。

 悠君は健吾君と一緒にお昼を食べるみたい。


 にやけそうになるのを必死に堪えながら教室に入ろうとして私は思わず足を止めた。



「その焦り様、なんだか怪しいな……彼女出来たんなら、ちゃんと報告しろよな」


 ……………………え? か、かのじょ?


 悠君の方を見ると顔を赤くして恥ずかしそうにしている。

 えっ? え?


「なんで報告しなきゃいけないんだよ」


「親友だろう?」


「関係ないだろ」


 さっきまでにやけそうになっていた気持ちなんてどっかに行ってしまった。

 ゆ、悠君に彼女なんて聞いてない!?


 私は急いで親友の奏ちゃんと元へと走る。周りの人の目なんて気にしている余裕はない。


 まだ昼休みが始まったばかりからか、奏ちゃんもまだお昼ご飯を食べさ始めていなかった。

 そんな奏ちゃに近づく。


「あれ、結奈? どうしたの?」


「ちょっと来て!」


「えっ? ど、どうしたの? ち、ちょっと!?」


 奏ちゃの腕を掴むと人気のない場所へとぐいぐいと引っ張る。


「いきなりどうしたの?」


「か、かなでちゃぁん」


 私の様子を見て驚いた表情になる。


「本当にどうしたの!?」


「悠君に、悠君に……」


「悠真君がなに!?」


「彼女ができたって……」


「本当に? でも、そんな話聞いたことないんだけど」


「でも、さっき教室で……」


「聞き間違いじゃなくて?」


 奏ちゃんの言葉を聞いて少し落ち着きを取り戻すと、さっきの会話を思い出す。


「どう?」


「たしかに彼女が出来たとは一言も言っていなかった気がする……」


「ほらね? そんな話聞いたことないよ」


 奏ちゃんは女子から頼りにされることが多く、よく恋愛相談をされることがあるらしい。それに、私よりも奏ちゃんの方がそう言った情報をたくさん持っている。

 奏ちゃんの言う通り私の早とちりだったのかもしれない。


「気になるなら聞いてみたらいいんじゃない? 幼馴染みなんだし」


 気になるけどもし悠君に彼女がいて、そのことを悠君の口から直接聞いたら立ち直れない気がする。というか生きていけない。ダメージが大きすぎる。


「私の方でもちょっと調べてみようか?」


「本当に!?」


「うん。でも結奈も自分で聞く努力はしてよね」


「は、はい……」


「それじゃ私はお昼ご飯を食べに教室に戻るね」


「ありがとう、ごめんね」


「気にしなくていいよ」


 そう言って奏ちゃんは自分の教室へと戻っていく。

 私も教室に戻ろうとするけど、足取りが重くなってしまう。


 悠君に彼女がいるのではないかという不安のせいで、午後の授業の内容は一向に頭の中に入ってこなかった。

感想、評価、ブクマ待ってます!

モチベーションが上がりますので是非!!


最近はなかなかポイントもブクマも増えずテンションが低めです…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恋する結奈ちゃんがとてもかわいい [一言] のんびりでもいいので続いてくれたらとてもうれしいです
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