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ユリカは覇道を目指す!  作者: 名切沙也加
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第24話 新たな出会い その3

物語は新たな展開に! 魔王の従姉妹のアスモデウスとは何者なのか?

第24話 新たな出会い その3


 俺たちの目の前には直径15メートル程の銀色に輝く円盤が鎮座している。ナターシャはしげしげと舐めまわすようにそれを眺める。


「これがグレイ達の乗り物ね。アメリカのものよりちょっと不細工ね」


 ナターシャはどうやら極東連合の基地内にある円盤は見ていないようだった。最高機密なので致し方ないとしてもアメリカのものは見たことがあるのだろうか。


「ライディングギアの破損のみで損傷はそれほど激しくなさそうですね」


 俺は基地で見た円盤と比べてそう感想を漏らす。

 すると、ナターシャがグレイ達に尋ねる。


「これってまだ飛べるの?」


 二体の異星人、グレイの一体であるカルキンが答える。


「燃料となるアリア様の魔石があれば問題ありません。それよりアリア様を月にいる戦艦ウロボロスにお連れしなければなりません。アリア様こそが偉大なグランドマスターなのです。その御方が現世に降臨なされたのです。アリア様は我々の始祖にして最も偉大なる系譜をお持ちの方です。是非とも我々のセニアマスターにお会いしてもらわなければなりません」


「セニアマスター?」


 ナターシャが不思議そうな顔で尋ねる。


「はい、我々のご主人様です。ウロボロスにいる今回の侵攻作戦の指揮官です。名をアスモデウス様と申します」


 その名前を聞き、俺は全てを思いだす。

 今から700年前、俺とベルゼブブとメリダは人間の姿を模して冒険者をしていた。永遠とも言える魔族の寿命にとって異世界への冒険は娯楽の一つとも言える。そして一つの並行世界を訪ねることとなった。そこはそこそこ科学の発展した世界で地球で言えば20世紀後半くらいのレベルで人類が繁栄していた。その世界の名前はラカル帝国。ただその人類を悩ませていたのが魔獣の出没だ。


 凶暴なハイランドオーク、ファイアドラゴン、マッドスパイダー。いずれも俺のいた魔界ではSクラスの魔獣だ。どうやら異世界とのゲートがランダムに開き魔獣の侵攻が始まったようだ。

 冒険者として俺たちはそのゲートを閉じることを請け負い同時に魔獣討伐も行った。俺たちは英雄として崇め奉られ銅像まで立ったのだ。が、その平和は長く続かなかった。俺たちが3年後に再びラカルの地に降り立った時、もっと大変なことが起こっていたのだ。ラカルの衛星であるピレス、つまり地球で言えば月が落ちてくるということだった。世界滅亡の危機。


 俺たちは異世界へのゲートを通じて他の世界へ移住することを提案したがそこに待ったをかけたのが科学顧問として魔界から呼び寄せたアスモデウスだ。俺の従兄弟に当たる彼は科学技術を学ぶため高度に科学の発展していた並行世界に行っていたのだが今回の件を受けて技術的な顧問として俺が呼んでいたのだ。そのアスモデウスが、


「ラピス衛星落下のエネルギーは膨大すぎます。この惑星ラカルのみならず移住先の異世界にまでその破壊力は及びます。わずかに残った異世界に通じるゲートの残滓を伝い莫大なエネルギーが押し寄せるのです。その威力は惑星を3個ほど灰塵にできるレベルです。ラカルの住民が生き残るには巨大な宇宙船で他の惑星に移住するしかないでしょう」


 衛星ラピスが落下するまで5年。ラカルの人口はおよそ10億。その人たちを2光年離れたY20という惑星まで早急にかつ無事に送り届ける。アスモデウスが請け負った最大の仕事だ。幸いにしてアスモデウスは現世において最高の科学力を持っている。20隻の巨大宇宙船を建造することとなった。ただこれには莫大な資材と労働力がいる。


 足りない労働力は異世界から大量のゴブリンやオークを呼び寄せ、奴隷契約を結び従事させた。資材も同様に異世界から取り寄せた。そんな努力もありギリギリのタイミングで宇宙船は完成。ようやく惑星脱出の運びとなった。


 俺たちは宇宙エレベーターで全ての住人が宇宙船に乗り込むのを確認。そして盛大な出航式が開かれた。そしてアスモデウスは彼らと共に新天地に向かうことを決めた。まだまだ科学的な補佐が必要だろうと。まあ無限とも言える寿命を持つ魔族だ。これも一興と俺たちは見送ることにしたのだ。


 ところが宇宙船がまさに出航しようとした瞬間。最悪の事態が訪れる。

 なんと異世界からのゲートを伝ってエンシェントドラゴンの群れがやって来たのだ。宇宙船の動力となる核融合エネルギーに反応したらしい。膨大なエネルギーはエーテル素子の凝縮を生む。まさに猫にまたたび。

 その数百匹以上。俺とメリダ、ベルゼブブは果敢にエンシェントドラゴンに挑む。なんとしても宇宙船には近づけさせない。


 俺は新たに開発した魔法、ダークタイムを使い対戦する。これは効果的だった。この魔法は部分的に時間の流れを極端に遅くする。半径は10センチほどだが射程は2キロにも及ぶ。ダークタイムに当たったドラゴンはその部分のみ時間の進行が百分の1となる。生命体にとってはその部分が壊死したも同然となる。しかも魔力消費は極端に少ない。あっという間に80体のドラゴンは討伐されてしまった。残りの20体はメリダとベルゼブブでやっつけた。こちらは昔ながらの電撃魔法と火焔魔法。少し手こずったが無事討伐。


 俺たちの勇姿は脱出する宇宙船のモニターにも映されているとのことで再びの英雄の活躍にラカルの住人達は熱狂した。

 そして俺たちにグランドマスターの称号が贈られたのだ。

 そんなことがあったのが700年も前のことだ。


「ああ、懐かしいな。アスモデウスに会えるのか。どんなふうに変わっているのか楽しみだな。いや、俺の方が変わりすぎているが」


 以前の自分に戻り感情を昂らせたがすぐに元の女の子に戻る。

 今はあの時の面影は俺には微塵もないのだ。可愛らしい女の子の姿を見てアスモデウスはびっくりするだろうな。

 それにしても不思議なことがある。俺はグレイ達に尋ねる。


「ええっと私がグランドマスターということはどうしてわかったの?」


 するとカルキンが、


「私たちの能力にはその人のステータスが見えるのですよ。その人のマナコアに刻まれた能力値を読み取る能力ですね。私たちには脳内にチップが埋め込まれ具体的にそれが映像として表示されるのです」


 おそらく偵察隊とも呼べる彼らに付与した能力なのだろう。まるでどこかのゲームのような設定に驚くとともにアスモデウスならやりかねないなと思う自分であった。


 昔の感傷に少し浸る時間もなかなか良いものだが今はそうはいかない。早速出発だ。が、円盤の機関士でもあるクリアが、


「あっ、ダメですね。動力源であるリアクターの6つあるうちの5つ壊れてます。これでは月どころか大気圏も脱出できませんね」


 詰んだか。が、ナターシャが助け舟を出す。


「ではアメリカまで行きましょう。極秘開発された地球製の円盤がそこにもありますよ。エリア51ですね。そこにいきましょう」 


 やはりアメリカも円盤を開発していたようだ。

 俺たちは急遽予定を変更してエリア51に向かうこととなった。


 アメリカまで時速千キロちょっとで6時間くらい。その間に俺たちとグレイ達とで情報の交換会。


 やはり一番驚いたのはグレイ達は労働力として連れてこられたゴブリンの末裔だったことだ。異世界から呼び寄せられたゴブリンはその後遺伝子改良され高度な知性と技術力を身につけた。そして人類のパートナーとなったのだ。単体での生殖能力はないのでほぼクローンで繁殖させられるとのことだがクローンと聞いてなんだか近親感が湧く俺であった。


 そろそろアメリカの防空識別圏に差し掛かったところで無線が入る。クリアに通信機の使い方を習っていたナターシャがそれに出る。が、暗号コードの羅列を言っただけでその内容はわからなかった。おそらくこの円盤が鹵獲品であることを告げたのだろう。そうでもなければ容赦なく撃墜される羽目となる。

 ナターシャも少しホッとしたような笑顔でみんなに告げる。


「連絡取れたわ。基地内にスムースに入れるわ。もう戦闘機のF50がすでに横で護衛にあたっているようよ。見えるかしら」


 円盤のモニターを切り替えると伴走する戦闘機が見える。無人遠隔操縦型の最新鋭の主力戦闘機だ。AIによって半ばロボットのように自立して戦闘できる新型機だ。


 やがて円盤は基地に着陸する。護衛機はどこかに行ったようで見当たらない。

 強い日差しのアメリカ中西部。真冬のはずなのに気温は30度近いのだろう。円盤のドアが開くとムッとした熱気が入ってくる。ジャケットを脱ぎ薄手のシャツ一枚になる。


 ここがどうやらエリア51のようだ。俺の脳内アーカイブによると伝説の秘密基地で宇宙人が鹵獲されている噂の絶えないところと出てきた。が最新の情報にアップデートするとすでに基地は廃棄され無人となっているとのことだった。円盤から外に出るとやはり荒涼とした砂漠が広がっておりわずかに残った建物もほとんどがバラック同然だ。


 ナターシャが、


「今から見るものはアメリカの最重要機密なので口外禁止よ。とりあえずあの車に乗ってね」


 止めてあったボロいワゴン車に俺たちとグレイ達が乗る。すると百メートルほど前方の砂漠の一部が盛り上がってきた。直径は50メートル程で円筒状に10メートルくらい盛り上がる。そして壁面の一部が開き中から作業員らしき人が百名ほど出てきた。

 巨大なキャタピラ付きのレッカー車も出てきたので、どうやら円盤を回収するようだ。そして俺たちはナターシャの運転するワゴン車でそのまま円筒状の中に入っていった。

 どうやらこれは巨大なエレベーターのようで、しばらくすると回収された円盤とともに再び地下に下降して行く。


 下降が終わりエレベーターの巨大な扉が開くと想像を絶する広大な空間が広がっていた。極東連合の秘密基地など問題にならないくらいに大きな空間だ。高さはゆうに200メートルは超えるだろう。広さに至っては果てが見えない。その空間にたくさんの軍事施設が建っている。やがてワゴン車はたくさんの格納庫が並ぶエリアに到着する。その格納庫の中には地球製の円盤と思しきものが。


「もう気づいていると思うけど、これがアメリカ軍の開発している地球製の円盤。いえ最新鋭の反重力推進攻撃機といった方が良いかしら。実際には円形ではなく三角形。TR5Bと呼ばれているわ。実はこの機体はもう6機製造されているの。問題は燃料だけだったので後はアリアのものでなんとかなりそうってわけ」


 ナターシャの説明では現在のアメリカにある魔石燃料では一機あたり、せいぜい30分飛ぶのが限度だそうだ。これでは試運転程度しかできない。俺の提供する魔石はほぼ無限大。これで実用的な運用ができるとのことであった。

 まあ俺としては月まで連れて行ってくれるなら多少の魔石の提供はやぶさかではない。が、本格的な提供となるとそれなりの契約をしないといけないなと思う。それを察してか、


「これから基地司令とあってもらうわ。それと大統領補佐官がすでにこの基地に向かっているとのことで、あと二時間もすれば本格的な会談の場が設けられる予定よ。アリアは一応亡命政府とはいえ一国の首長ですものね。それなりの対応はするとのことよ」


 まだ俺のことをアリアと思っているらしいが俺が双子のユリカだとは言いにくくなってしまった。俺の脳内ネットによって基地内のネットワークに侵入するがどうやらセキュリティは完璧らしく日本にネットを通じて連絡することは叶わない。これでは本物のアリアに連絡がとりようがなく事後承諾で対応するしかないだろう。


 大統領補佐官が到着するまでしばらくあるとのことで俺たちはシャワーを浴び着替えることとなる。シャワーの後に用意されたものはオリーブ色の軍服であった。米軍の女性用のMサイズであったが少し大きく袖と裾を折り曲げて着用。もちろん下着も新品だ。が、綿生地の織りが雑で少しゴワゴワする。ブラジャーも綿のもので少し大きくブカブカするが仕方ない。俺の今のギリギリCカップでは持て余す。ちゃんと生理用のナプキンも複数用意されていた。まだ三日目でかなり出血も多いので助かる。何気に気の利くナターシャである。


 着替えた後は食事だ。食堂に案内されアルミの盆と皿に食材を盛り付けてもらう。マッケンチーズにローストビーフ、それにコーンサラダ。飲み物はコーラもあったが健康のためにミルクにする。

 ちょうど昼時で他の隊員も大勢いて俺の皿にも他の隊員並みにちょっと大盛りでサービスしてくれる。食べ切れるかと思ったが、ほぼ丸一日何も食べていなかったのであっさり完食。食後のコーヒーを堪能していると横に座った女性兵士が、


「えっ、新入りかい。若いところを見るとヘッドハンティングされた技術士官かな。ここでは高校生でも天才とわかると連れてこられるからね。何かわからないことがあったら気軽に聞いてね。私はミレット宜しくね。私は技術部門の少尉。主に機体の外装を担当しているわ」


 まあ、俺からすればあまりここには長居する気はないのだが適当に答えておく。


「私はアリアと言います。ええっと、極東連合から円盤を鹵獲してきました。ナターシャという方と一緒にここに来ました」


「ナターシャ大佐とですか。それは大変だったわね。するとさっきのグレイ達は一緒に来たってことね。ここのグレイよりも知能が高そうだったので驚いていたのよ。なんでも普通に人間と会話できるって噂だけど」


「ええ、普通に話せてました。念話もできるけど音声での会話もできましたよ」


「へぇ、すごいわね。グレイにも色々いるんだ。ところであなたの階級は何かしら。ちょっと襟の階級章見せてくれるかしら」


 俺は基地内が少し寒かったので用意されていたM1ジャケットを上から羽織っていた。それで階級章が見えなかったようだ。が、俺に階級ってあるのかそもそも疑問だ。用意された軍服にはそれなりの階級章が付いていたようだが。

 俺かジャケット脱ぐと、


「えっ、これって将軍。准将の階級章よね、って失礼しました。将軍閣下!」


 ミレットは立ち上がると俺に敬礼をする。周りにいるみんなも気付いたのか立ち上がり俺に敬礼。まあ、俺も魔王だ。部下にはちゃんと答礼するくらいの礼儀はある。俺も立ち上がり敬礼で返す。

 そこにナターシャが現れた。ナターシャも俺に敬礼すると、


「みんななおれ。着席して良い。こちらはアリア・フォン・ライムヒテ女王陛下である。現在のライムヒテ臨時政府の代表である。今回、開発機の燃料である魔石の入手に尽力してくれたことと月面上にある未知の巨大恒星間宇宙船の探索に同行することとなった。よって大統領令により准将の地位が与えられることとなった。なにぶん一国の首長である。皆、心して対応するように」


「「「イエッサー」」」


 いつの間にか俺は将軍になっていたようだ。おそらく名誉将軍だろうが、まあ悪い心地はしない。それにしても早くアスモデウスに会いたいものだ。奴には結構な貸しがあるしな。


後書き  ようやく春ですね。いそがしすぎて執筆遅れがち。アマゾンKindleにて他の作品も公開中。リニューアルして「いりあ ぐるーみぃでい」「やよい はーとぶれいかー」を公開。アダルト指定なので注意してね。いずれもTS、女体化、性転換、女装がデフォルトのラノベだよ。

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