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ユリカは覇道を目指す!  作者: 名切沙也加
23/23

第23話 新たな出会い その2

新年になり忙しい毎日ですね。世間は選挙で慌ただしいですね。物語も慌ただしくなります。

宇宙人、異星人? はたして彼らの本当の正体は?

新たな出会い その2


 ウラジオストックから距離にして30キロ。旧ソ連軍の軍事秘密基地として活用されていた巨大なウラニウム採掘坑跡。サッカー競技場が2つは軽く入るくらいの巨大な地下空洞。現在も極東連合国の秘密軍事基地として活用されている。これはソルゲイと呼ばれる俺を拉致した司令官らしき男に聞いた話。

 そして、そこには異星人の乗る円盤と地球製の円盤があった。異星人の円盤はかなり損傷が激しく尋常な状態ではなかった。


 ソルゲイによると地球製の円盤は異星人のものをリバースエンジニアリングにて作っているものらしかった。が、肝心のエネルギー源を確保できずに未だ飛ぶことは叶わないらしい。

 俺を拉致した理由はそのエネルギー源を確保することが目的だったようだが今は少し事情が変わったようだ。

 ここの人員はなんとなく俺の目の前にいる者たちに操られている。もしかしたらここの主人は極東連合の奴らではなく、目の前の者達であるかもしれない。


 俺が通された基地内の奥にある暗くて狭い部屋。そこらじゅうに紙の資料らしきものが散らかっている。少しカビ臭いその部屋の古びたソファーに座る何か。そこには二体の未知なる生物がいたのだ。

 俺の目の前にはいわゆるグレイと呼ばれる異星人が二体いる。実際のところ間近で見るとかなり気持ち悪い。目玉は大きく爬虫類のよう。皮膚はヌメヌメとしており吐く息も生臭くできれば近寄りたくないものだ。まあ魔王の俺としては劣等種のゴブリンよりはマシだなと思う程度だが。

 俺はボロボロの丸椅子に座るように言われるが、あまりに汚いので立ったままで対応することにした。入り口にはいつの間にか2人の監視兵がいて、その1人がゆっくりとドアを閉める。

 静寂に包まれる汚部屋。あまり長いはしたくない。そう思っていると異星人の一体が念話で話しかけてきた。


「これはこれは美しき姫様。確かアリアと申されましたか。私はラカル帝国の航宙軍第一偵察隊隊長のカルキンと申します。また後ろに控えるのは航宙士のクリアです。それにしても驚かないのですね。初めて異星人を目の前にしてその落ち着きようは驚きます」


 流石にゴブリンやリザードマンで慣れているとは言えないので、


「日本のテーマパークのアトラクションで慣れているためかしら」


 冬休みに訪れたテーマパークの花菱ランドには宇宙人と友達になり悪い宇宙人をやっつけるというアトラクションもあった。あながち嘘でもない。


「それ知っていますよ。動画サイトで見てましたから。我々は果たして良い方か悪い方か。それはあなた方次第なのですが。それはさておいて初めましてですね」


 その二体は軽く会釈をする。異星人も会釈という習慣があるのだろうか。にしても、どうやらこいつらも俺をアリアと間違えているらしい。まあ話を進める為にもこのままアリアを装うことにする。


「さて、私に何の用かしら。私もそんなに暇ではないので用事があるならすぐに済ませてもらいたいのだけれど」


「ああ、手っ取り早くて良いですね。それでは私たちを墜落させた責任と、あとは少し手を貸していただきたいということですよ」


「墜落の責任? どうゆうことかしら」


「1月1日のことですよ。私たちの円盤が東京上空を飛んでいる際にエーテル素子の異常な乱れがありまして、その影響で全てのシステムがシャットダウン。あえなく私たちの機体はナホトカ近郊に墜落したという訳ですよ。エーテル素子の異常な乱れ。原因はあなたかもしくはお仲間でしょうね」


「つまりお正月に東京上空で私たちを偵察していたというわけね。おそらく理由としては私たちの反重力システムの発明というところかしら」


「さすが察しが良いですね。その通りです。地球にはエーテル素子がなぜか少なすぎるのですよ。将来、私たちが地球を侵略した際にこれでは困ります。でもあなた方はそのエーテル素子の圧縮に成功したという訳ですね。これは朗報ということですでに本国に連絡済みです。本国としては力づくでその情報を得ても良いということですが、ここはまず穏便に取引ということであなたをここに呼んだ訳です」


 実は地球にエーテル素子が少ない理由はすでにアリアの研究施設に俺が理由を説明し解明している。その理由とは異世界に通じるマイクロゲートがランダムに地球上に現れ大量のエーテル素子が異世界に流れ込んでいるからだ。その最大の流出先が俺の元いた魔界、アークランドであるのは言うまでもあるまい。

 にしても地球侵略とは穏やかではない。ここは一つ探りを入れ情報を収集した方が良いかもしれない。


「地球侵略とは穏やかではないわね。そんなことに協力して何かメリットでもあるのかしら」


「はい、それはもう凄いメリットを用意していますよ。とりあえず地球侵略の際には日本は除外しましょう。下調べでは日本さえ地球上にあればほぼ全世界の文化、娯楽、食事が楽しめますからね。残りの国というか都市は全て灰塵にしてしまう予定です。もちろん人間も含めてですが。その後、我がラカル帝国を再建する予定です」


 ラカル帝国。なんだか聞き覚えのある名前だ。が、はるか昔のことのようでよく覚えていない。


「残るのは日本だけってことね。それって脅しかしら」


「そう受け取ってもらって構いませんよ。我々の科学力は地球の数百年先をいっていますからね。我々の先遣隊本隊はすでに月の裏側で待機しています。戦艦ウロボロスに二億人の戦闘兵が冷凍睡眠の状態で待機しています。純度の高いエーテル素子が手に入ればすぐにでも地球にやってくる予定です」


「あなた方はバカなの。そのエーテル素子の圧縮方法を私たちが教えるとでも思っているのかしら。教えなければ地球侵略できないでしょ?」


「いえいえ姫様。あくまで先遣隊ですので本隊が二年後にはやってくるのですよ。その数は20億に達します。莫大なエーテル素子を保有している本隊は力づくで地球を侵略するでしょう。要は遅いか早いかの違いです。そうなれば地球上の人類は完全抹殺ですよ。わかりますね」


「つまり今、協力すれば日本だけは生き残ると」


「そういうことです。是非ともご協力をお願いします」


「お願いとか言って半ば強制でしょ? にしてもあなた方にも精神コントロールの術があるのならなぜ私にかけないのかしら。何か理由でもあるの?」


「ええ、バンパイア種族にはどうやら効かないようで。そしてもう一つの問題が。ここにいる兵隊は全てクローン兵士で頭脳がコンピュータというアンドロイドなのです。これでは私たちにはどうしようもありません」


 驚いた。想像以上に極東連合の科学力は進んでいるようだ。いや、もしかしたら日本にもスパイがいたのかも知れない。俺の体自身もユリカのクローンボディだしな。


 そしてグレイから具体的な計画を聞く。ナホトカの北15キロのところにもう1機の円盤が不時着しているそうだ。そこまでクローン兵をなんとかしながら脱出。その後、その円盤で月のウロボロスまで戻る予定とのこと。驚いたのは俺が大量のエーテル素子、つまりマナ鉱石を大量に持っていることがばれたことだ。魔法パントリーに地球を5回は滅亡させるだけの量を持っていたのだが、あまりの量に漏れ出たものが検知されてしまったようだ。ラカル帝国でも簡易な亜空間技術は開発されており、俺が魔法パントリーを持っていても不思議には思われなかった。そのエーテル素子の固まりであるマナ鉱石でウロボロスは地球侵略が容易くなるということらしい。


 にしても不時着したもう一機の円盤の仲間はどうしたのかと聞くと、船外に出た途端にアムール虎に襲われどうやら亡くなったとのことだ。最後の念話は悲鳴だったそうだ。


 とにかくその不時着した円盤まで行くことにする。外は寒いので2人のグレイに服を着るように勧めるが拒否された。体内に熱核融合炉を持っているので体温維持は問題なとのこと。どうやら地球の常識は通用しないようだ。

 部屋の外で見張っている兵士に精神干渉をかけるがやはり効かない。やはりアンドロイドみたいだ。人間でないなら情けをかけることなく処分できる。俺はエアカッターの魔法で外のアンドロイドごとドアを切り裂く。


バシューン


 ドアは外側にゆっくりと崩れ落ちる。グレイの2人を道連れに脱出行。

 途中、50体ほどのアンドロイド兵が迫ってきたが、エアカッター、ファイアボールで次々と破壊していく。


「おお、すごいですね。バンパイアは魔法を使えるのですね。伝説のマスターと同じですね。もしかしてマスターと同種族なのでしょうか」


 逃げながらカルキンが聞いてくる。いや逆に俺が聞きたい。そのマスターとやらを。不時着した円盤にたどり着いたら答えると返答し今は先を急ぐ。出口までは200メートルほど。ソルゲイに聞いた科学者の数は20人ほど。こいつらは兵士ではないので追ってこないはず。出口の詰め所にソルゲイがいたが雷撃魔法で気を失わせる。が、そこに船で俺に世話を焼いてくれたナターシャがいた。

 俺が電撃魔法で気を失わせようとすると待ったがかかる。


「私は味方よ。まあ米国の二重スパイなので完全に味方というわけではないけど少なくとも今はあなた達を助けるわ。車のキーはここにあるわ。あそこのオフロードタイプの車で行くわよ」


 詰所を出て外の車に向かう。オフロードカーと言っても花菱自動車のジープタイプのSUVだ。寒冷地仕様なのかすぐにエンジンがかかる。運転はナターシャだ。俺は助手席。

グレイの2人は後部座席に座る。


「これに着替えといて」


 ナターシャから軍服を渡される。大きめのセンターコンソールに収納されていたようだ。極東連合の正規冬季戦闘服。今まではパジャマの上から船員の船外活動用ジャケットを羽織っていただけだ。少し寒かったのでちょうどよかった。サイズはSサイズだがまだ少し大きい。が、今は我慢するしかない。靴も船にあったデッキシューズであったが軍用ブーツに履き替える。靴下もあったので暖かい。


・・・俺を助け出すことをあらかじめ計画していたのか。にしても解せないことがありすぎる 


 ナビの地図を見ると俺たちの目的地であるナホトカの外れの森林地帯となっている。

 しばらく走り追っ手が来ないことを確認して俺はナターシャに尋ねる。


「なぜ私たちが逃げてどこに向かうの知ってるのかしら。私たちは念話で会話していたはず」


 俺は素朴な疑問をナターシャにぶつける。


「アメリカの技術力を見くびらないでね。念話はエーテル素子の振動で行われていることくらいとっくに解明済みよ。半径1キロ以内の念話はこの装置で傍受できるのよ。あなた達の会話はすべて聞いたわ。ついでに言えばすでに米国国防総省にも連絡済みよ。おそらくラカル帝国の戦艦ウロボロスに対抗する手段を考えている最中だと思うわ。ま、下っ端の私では想像することしかできないけど」


 見せてくれたのはただのスマホだった。にしても事態はのっぴきならないこととなる。米国が出てくれば核兵器でウロボロスを攻撃する可能性もある。月の裏側なので今のところ知ったところではないが、その後の本隊とかが来ればまずい事になるのではないか。少し不安がよぎる。

 

 車は小一時間ほど走りやがて舗装路を外れ未舗装の道路に入ったようだ。ガタガタと揺れがひどくなる。真っ暗だがライトに照らされた範囲を見る限り少しひらけた場所を走っているようだ。どうやら森林地帯を抜けたようだ。


「ここは見たところ河原のようね。どうやらあれらしいわ」


 ナターシャが指差す先には銀色の物体があった。車のヘッドライトに浮かび上がる物体。墜落した円盤だ。基地にあったものとは違いこちらはかなり良い状態だ。ランディングギアが破損しているだけに見える。


「扉は開いているようね。行ってみましょう」


 俺たちが降りるとグレイの2人もついてくる。そして念話で、


「仲間がいたはずですが見当たりませんね。やはりアムール虎にやられたのでしょうか。だとすると危険ですよ。まだいるかもしれません」


 ナターシャにも聞こえていたのか小型の機関拳銃を構えている。虎なら十分な威力だ。が、俺の魔力センサーが危険を訴える。


・・・この反応は魔獣だ


 こんなところに魔獣なんているのだろうか。一瞬そう思ったが間髪を入れずにそいつは現れた。

 ワーフルフ。しかもかなり大きい。体毛がグレイから白に変わりつつある老齢種だ。ワーウルフは老齢種ほど厄介だ。経験値が高く、また体毛の硬度化が進んでいる。魔界であるアークランドではA級、老齢種はS級の魔獣だ。おそらくこいつが墜落した円盤の乗員を喰らったのだろう。


 俺たちを見るなりそいつはもうダッシュで近づいてくる。距離は二十メートルもない。ナターシャが機関銃を連射。が、ワーウルフの体毛は鋼鉄並みに硬い。簡単に弾き返される。ジャンプしてナターシャに襲い掛かろうとする。まずい!

 俺は魔力を解放してファイアボールで応戦する。直径1センチほどにしてそれを散弾銃のように百発同時に放つ。散布範囲は直径1メートルに調整。


バシュー!


 ナターシャの手前50センチ手前でワーウルフは上半身と下半身を分断させられる。そして地面にドッと崩れ落ちた。

 あっけに取られるナターシャ。おそらく俺が魔法少女もやっているのは知っているだろうが、流石に目の前で魔法をぶっ放されると驚くのも仕方ない。にしてもなぜここにワーウルフがいたのか疑問だ。が、それにはグレイ達が答えてくれた。


「おそらく墜落した時にエーテル素子が一気に漏れ出して時空に裂け目を作ったのでしょう。我々の科学力を持ってしてもこの時空の裂け目のコントロールは未だ叶いません。今回は不可抗力の事故だと言えますね」


 そういうことか。というより時空の裂け目をある程度コントロールし、異世界との行き来をこなしている魔族はそれなりに優秀ということか。するとグレイ達は、


「今の攻撃はエーテル素子の解放による事象改変。それはこの世界で魔法と呼ばれるものですね。先ほども拝見しましたが素晴らしいものです。するとアリア。いえアリア様はグランドマスターなのですか?」


 グランドマスター。おそらく念話による変換ミスなのかもしれない。そこで俺はグレイ達にグランドマスターの意味を聞く。


「こちらの世界で一番わかりやすい表現ですか。つまり、神ですね。そう神です。これは失礼しましたアリア様。どうか我々をより良い道にお導きください」


 グレイ達は地面にひざまづき俺を敬うような態度に出た。


・・・これはどういうことだ?


 周囲は放射冷却による冷え込みでダイヤモンドダストが発生している。そして俺の周囲にはそれが集まり月明かりに照らされる。俺に後光が差したような状況だ。

 ナターシャも思わず呟く。


「あなたは神なの?」


 俺は大魔王なのだけど。


その3に続きます。ラカル帝国。はたして地球侵略はなるのでしょうか?

「三体」の異星人とは違いカレラは光速に近い速度をだすことが出来る宇宙船でやってきます。

その正体は次回であきらかに・・・

アマゾンKindleにて他のTS作品も出版中。こちらも面白いですよ!

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