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キミと紡ぐ【BL編】  作者: Motoki
19/55

ある事に気がついた 2


 ソファへともたれなから、浩行は拗ねた口調で言った。


「なんで?」


「知らない」


 プイと顔を背ける。


「今日だってなー。あいつが見たいって言ってた映画観て、食事して、一体何が不満だって言うんだーッ!」


「へえ? 何観たの?」


「なんか……洋画だよ。恋愛もの。『運命のどうちゃら』とか言う……」


 ……どんな映画だよ。『運命のどうちゃら』って。


「また寝てたんだろ」


 呆れて言うと、「うん」とあっけらかんと頷いた。


「そこじゃない? フラれた理由は」


「ちっがう! 麻美はそこは寛大なの。笑って許してくれる」


「じゃあなんだよ?」


「だから、知らないってば」


 ぷぅと頬を膨らませる。フラれた理由が判らなければ、慰めてやる事も出来やしない。


 そもそも浩行は、決してつまんない奴ではない。甘えたな性格ではあるが、そこもまた、女達からモテる理由の1つだった。


「じゃあ、なんて言ってフラれたんだよ? 突然『つまんない』って言い出したのか?」


「いや。『浩行君って、矢野君の話ばかりするよね。つまんない』って」


「俺ぇ?」


 突然俺の名前が出てきて、びっくりした。


「いや、だってするだろー? 麻美より修といる方が長いんだもん。話にだって、出てくるだろー?」


 俺が原因だと言われて怒るとでも思ったのか、慌てて言い訳してくる。


 短く息を吐いてビールをあおると、「お前は?」と訊かれた。


「何が?」


「お前は話する時、俺の事話に出てきたりしないの?」


「そもそも、自分の話なんかしない」


 は? と、浩行が怪訝そうな顔をする。


「じゃあ、なんの話すんの?」


「俺から話なんかしない。大体女は、勝手に話すんだろ? それにふんふんと頷いてやれば、話は途切れない」


 目の前で固まる友人を見ながら、再びビールを口へと運んだ。


「……そんなんで、面白い?」


 不思議そうに訊いてくる浩行に即答する。


「つまんないよ」


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