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時刻は夜八時、外は日が伸びていると言えども流石に暗くなっている。
夕食を終え、変えるだけになった三人を送ることになった。
「そういえば私、牙狼タイガーヴァンプ見たんですよ」
隣を歩く千鶴が話しかけてくる。
「そうなんですか!いいですよねヴァンプ、シュンくんの好きな剣矢も出てきますしね!」
俺を真ん中に置き、左右の二人が盛り上がる。
歩いて帰ることが出来る石田さんを母と渚が送り、仙台駅まで行く千鶴とタイガを俺が送ることになった。
「シュンさんも剣矢が好きなんですか!」
歩いている中、千鶴が顔を覗き込む。
「え、うん。まぁ、そうな」
俺は吉田明日香さんのことが好き。それは何も変わらないが、それでも千鶴が可愛いことはわかるし、いきなり目前に来られるのは心臓に悪い。男心を弄ぶなという話だ。
「でも、なんで中田さんは剣矢が好きなんです?女の敵みたいな人じゃないですか」
「確かに剣矢はチャラいですし、のらりくらりしてますし、非常識なことも、女性相手の軽い発言も数えられないほどしてましたけど……」
「めちゃくちゃ悪口出てくる」
「でも!でもですよ、息子の前では虚勢貼ってでもかっこいい男を演じますし、一人惚れた女性には純情といいますか、ゾッコンといいますか、女好きとは思えないほど惚れ込むじゃないですか、かっこよくないですか?」
その意見に大変同意な俺は大きく頷く。
「わかる、かっけーよな本当に」
牙狼タイガーヴァンプが好きという部分で三人の趣味が合致し、会話が盛り上がる。
「タイガは確か語派だよな」
「え!剣矢じゃないんですか!」
以前初めてタイガと昼休みに牙狼タイガーヴァンプの話をしたときに確かそう言っていた。
「え、いいじゃないですか語かっこいいし、優しいし、彼は彼なりに良いところがあるじゃないですか」
決して剣矢派じゃないことを叩きたいわけじゃない。語にもいいところがあることは俺だって知っている。
そのまま牙狼タイガートークを続けていると公園があった。それは以前、タイガとともに弁当を食べた公園だ。
『俺は、いずれみんなに……少なくともこの三人には自分の口から告げておきたい』
ふとそう思った。本心だ。
そして時間が悪かった。いつもだったら話さないことも深夜テンションと呼ばれるテンションで低いハードルで話せてしまう。
「俺は……」
そして俺が話したのは高校二年生のこと。
後悔はある。だが、何度あの日を繰り返したところで俺はきっと同じ行動を繰り返す。




