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一人でカラオケに行き、デパートをうろつき、本屋で漫画の新刊が出ていないかチェックした後、俺はようやく家に帰った。
時刻は六時半、六月ということもあってまだ少し明るい。
昼前に始まった勉強会もそろそろ終わっていても良い頃合いだろう。
「ただいま」
家のドアを開けるとそこには綺麗に並んだ様々な靴が……
「終わった」
読みを外し、一人で呟く。すると、リビングの方から一人飛び出してくる。
「あっぶね!」
猪突猛進、文字通りだ。俺がいた場所に勢いよく蹴る。
「おにぃ、避けんな!」
「無茶言うな!筋の通ってない暴力を受け入れる俺じゃない!」
「うるさい!こっちには蹴り飛ばす理由があるんだよ!」
「それはこっちのセリフだわ!」
この暴君は誰のせいで俺がこんな時間まで外にいたのだと思っているのだろうか。
「う、そ、それは、私が悪かった……ごめん」
「お、おう」
珍しく、正直に謝る妹に何も言えなくなる。
「ッドゲフ!」
と、思っていたのも束の間、頭を下げていた妹はピッチングマシーンのように腕を回し、肩を叩いてくる。
「でも、それとこれとは話が別だから」
「おま、今の雰囲気返せよ!」
俺たちのケンカに嫌気が刺した第三者、母がリビングから怒声を飛ばす。
「シュン!ナギ!いつまでやってんの!」
その言葉に二人で目を合わし、リビングを見る。
「「はい」」
と、同時に返事をしてリビングに向かう。
リビングにはいつも一緒に弁当を食べるタイガ、石田さん、千鶴と俺の両親が仲良く食卓を囲んでいた。
「うぅん、わけわかんない」
そう呟くと、ご丁寧にタイガが返答してくれる。
「色々あって夕飯をご馳走してくれるとのことなので」
「うぅん、わけわかんない」
何が色々あったのかがわからないのだが。
「シュンさんがどこか行った後にちょっと色々あって夕飯をご馳走してもらうことになりまして……」
まだ理解していない俺に千鶴が補足しようと説明するが、肝心なところが不明なままだ。
「うぅん、わけわかんない」
そう言うと待っていましたと言わんばかりに石田さん。
「だからシュンさんがどこか行った後に……」
「だから色々あったんだろ?何があったんだよ!何が色々あったんだよ!」
三回目の説明でとうとうツッコミを入れた。
「まぁまぁシュンくん、こっちに座ってくださいよ」
「頑として説明しない気じゃん!お前らなんなんだよ……」
結局どんな色々があったのか教えてくれない三人。
「だぁ、もういいよ!」
色々なことを諦め、夕飯を食べることにした。




