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我が家に女子が来るなんて、妹の友達以外ありえないと思っていた。
まぁ、妹の友達だが……
カリカリ……ゴシゴシ……
ペンで書き、消しゴムで間違いを修正する音がせわしなく聞こえる。
カリカリ……ゴシゴシ……カリ、ゴシゴシ……
消しゴムの割合多くない?誰かわからないが、苦労している人がいるみたいだ。
内心でツッコミながら苦手教科である英語の教科書を睨む。
基礎が出来ていないため、教科書の本文と和訳のプリントを交互に見る。そして表情が歪む。
俺の右隣に座るタイガをチラッと見る。さすがは優等生、まじめに勉強中だ。
次に左隣の千鶴を見る。すると丁度こちらを見ていた千鶴と目が合った。だがすぐに目を逸らされる。
千鶴も勉強に集中できずに、キョロキョロしているのだろうか?
「シュンくん、英語やらなくていいんですか?」
壁を見つめる俺にタイガが声をかける。
「周りに人がいないとどうも落ち着かなくて……」
「おにぃは基本的にボッチだもんね」
「余計なこと言うな、深夜にお前の部屋の前でホラー映画のBGM流すぞ」
「地味に嫌なのやめて、トラウマになったらどうするの?」
妹を黙らせるとせっかく終わった話題を千鶴が蒸し返す。
「シュンさんってボッチだったんですか?」
「あぁもう、うるさいなぁ……いいだろ、別に」
人には聞かれたくない過去というものが少なからず存在しているんだよ。という言葉はあえて言わなかった。それではあると言っているようなものだ。
「でもアスカ先輩とかヒロキ先輩とは仲いいじゃないですか。あ、あとタイガ先輩」
「うぅん、まぁそうだな」
するとまた妹が余計なことを言おうと口を開く。
「アスカさんとヒロキさんの二人と仲良くなる前はすごくて……」
「ナギ!」
急に大声を出したため、四人の視線がこちらに向く。それを見てからやってしまったと感じた。
居心地が悪くなり、今からもとの空気に戻そうとするのは不可能と言ってもいいだろう。
「すまん、ちょっとコンビニ行ってくる」
言われたくないことを言われたら誰だって怒るだろ?俺も例外なくそれだったのだ。
だから家を飛び出した。少し冷静になるともう少し別の対応があったのではないか、自分の行動は対応は子どもだったのではないかと振り返ってしまう。
自転車のロックを外し、無心でペダルを漕ぐ。
「はぁ……」
妹の渚はいいとして、千鶴、幸花、タイガの三人には悪いことをしてしまった。
夕方にはあいつらも帰るだろうか。次に会った時の弁明を考えながら……
「よし、カラオケ行くか」
一旦ストレス発散に行くことにした。




