41
五月も月末になり、前期の中間テストが近づいてきた。
俺も三年生になってから勉強にそれなり時間を費やすようになった。しかし、おれはあくまで受験勉強であって学校のテスト勉強とはまた違う。
受験勉強は一夜漬けの中間テストなどとは違い、長期的な記憶が必要になる。現在のゴールを受験と見ている俺は中間テストで良い点を取る必要は無い。
「赤点回避くらいでいいんだよ」
と言うと、三人が三者三様のあきれ顔をした。
「シュンくん、英語苦手でしたよね」
「おうよ」
「前回の学年末、何点でした?」
「まぁ普通に四十五」
そう言うと、三人が顔を引きつらせる。
「赤点って確か、四十点未満ですよね……」
頭の良いタイガには無縁の話なのか、確信を持っていない。
「あぁ、そうだな」
常連というか、歴戦というか、その点数を意識しているからこそ確信を持って肯定する。
「それにしてもギリギリですね……」
思案顔で石田さんが呟く。その石田さんの袖を千鶴がクイクイ引っ張る。
「ねぇ、この学校のテストって結構難易度高いんじゃ……」
今年入って未だに試験を受けたことのない一年生的には初めて聞いたテストの点数が赤点ギリギリだと、やはり不安らしい。
「武田先輩はどれくらいだったんですか?」
石田さんが恐る恐るタイガに問う。
「えーっと、全部同じくらいだったんですけど……」
「終わった……」
タイガの言葉を聞いた瞬間、千鶴が椅子から崩れるように落ちていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ、勘違いしてるよね?別にシュンくんと同じくらいの点数ってわけじゃないよ?」
「へ?」
「えっと、詳しくは覚えてないけど、全部九十とかだったかな」
そう聞くと千鶴が目を見開いて驚く。忙しいやつだ。
「だってコイツこんなんだけど、学年二位だからな」
「え、そうなの?」
成績悪い奴には敬語すらなくなるのか、または興奮のせいか、敬語が抜けている。まぁ、いちいちそこを突く気にもならないが。
「あはは、別にそんなにすごくないよ」
「って、言ってますよ?」
千鶴がニヤつきながら言ってくる。だが、事実のため反論すらできない。
どうしようもなく口を尖らせる。
「ほら、中西先輩困ってるじゃん」
困りあぐねた俺に石田さんが助け船を出す。
「牙狼シッダー……」
「足しましたねぇ~」
「千鶴、男はなぁ、細けぇことは気にしちゃいけないんだよ」
開き直り、元気になった俺は千鶴にそう言った。
「今私のこと男と言いましたか?ふざけるな誰が貧乳だ」
そう言って殴り掛かってくる。
「言いがかりじゃないか!」
そんなこんなで勉強会をすることになった。




